精神科医・ユング派分析家として心理療法を行う専門家池上司

精神科医・ユング派分析家として心理療法を行う専門家

池上司

うつ病、パニック障害ほか、本格的な心理療法を要する方も、症状のない方も

　御堂筋線東三国駅から徒歩1分少々という至便な立地に、精神科医・ユング派分析家である池上司先生の「池上メンタルクリニック」があります。精神科／心療内科の保険診療・自由診療を行っています。

　「精神科治療では、薬物療法と心理療法の併用が最も効果的だと言われています。この場合の心理療法というのは、1セッション1時間のきっちりした精神療法を指します。私が6年間大手企業の診療室で行ったうつ病治療の経験では、患者さんに私が20～30分の通常の精神科治療を行うのと並行して心理士のカウンセリングも施すことにより、症状が完治し復職した人は90％を超えました。」

　こうした経験から、池上先生のクリニックでは、保険診療枠においてもできるだけ時間を取ってカウンセリング重視の治療を行います。そのため予約優先制となっています。本格的な精神療法の必要な方で条件的に可能な方は自由診療によるカウンセリング（精神療法）も可能です。
　「うつやパニックなどメンタルな障害には心理的な対応が肝心であり、それこそが精神科治療の真骨頂です。薬物療法といっても、人はそもそも薬などのみたくありません。依存性を含む薬の副作用も心配で、医師の十分な説明があって初めて少し安心して服薬が可能になります。このプロセスは不可欠です（難しく言うとインフォームドコンセントとなります）。服薬をしていても疑ってかかっていると充分な効果は出にくいものですし、それどころか副作用も出やすくなります。薬物療法こそ心理療法的なのです。」
「心理的な要因の濃い場合、本格的な心理療法が必要です。統合失調症も例外ではありません。ノイローゼ、解離性障害、PTSD、摂食障害などには、根治的には薬は効きません（対症療法は可能）。このような本格的な心理療法を要する方にぜひ当院のカウンセリングルーム「プシケー」を利用していただきたいのです。」
「精神療法（心理療法）が必要だが、自由診療を受ける余裕がない方は保険診療枠内で30分のカウンセリングを受けてもらっています。」

　「ユング派の分析は、症状のない方にもいわゆる来談者の自己実現を促せることが強みです。病気が癒されることによってその人の本来の健康的な人生がやっと可能になってくるわけですが、病気でない人がひとりでは抱えきれない悩みを持った場合に、カウンセリングによって癒しを促すこともこれと同様のことなのです。」

チューリッヒ・ユング研究所で、精神分析の国際資格を取得

　池上先生はスイスのチューリッヒ・ユング研究所で、精神分析の国際資格を取得。最短でも取得に4年間かかる難関資格で、国連からPhD（博士号）相当と認定されています。

　学生時代からユング派の技法の柱である「夢」という現象に興味を持っていた池上先生。精神分析の道に入ったきっかけは、駈け出しの精神科医の頃、ある統合失調症の青年と出会ったことなのだそうです。

　「その青年は高校時代、優秀で父親に期待されていましたが、父が事業に失敗して大学進学を諦めざるを得ませんでした。絶望感の中で彼の心の中には突然『霊』がすみつくようになり、『私の言う通りにしたら、願いをかなえてやる』と彼に命令するようになりました。霊の言うことを聞いているうちに自閉状態となり、霊の幻聴に翻弄される慢性的な幻覚妄想状態に陥っていました。薬物療法とある程度のカウンセリングを3年間程続け彼の病気はかなり改善しましたが、治癒には至りません。私はユング心理学の治療でこのような患者を治した医師の本を読み、この心理学がきっと役に立つと考え、この先生に師匠を頼み本格的にユング派の分析の訓練を受け始めたのです。
そうすると先程の患者さんは次第に安心感を持って自分のこころに向き合うことができるようになり、『霊』の魔力はいつの間にか力を失っていき、彼は心の中の真に自分を慈しみ育む力と出会い、立ち直っていきました」

夢分析や描画など視覚的な手法で心と向き合う

池上先生のカウンセリングは、夢や箱庭、描画といった、視覚的なイメージ表現を多用しています。

　「イメージとは端的に言って私たちの心の表現です。ユング派では夢、絵画、箱庭表現といった視覚的なイメージを多用します。勿論言語表現が心理療法に不可欠ですが、イメージの特徴は、まだ言葉にはならない、はっきりとは認識し難いもの、無意識的な心的内容、言葉では表しえないが、現に存在する何か大切なもの、などを捉える力があるということです。」
「自然治癒力は患者さん自身が持っています。しかし患者さんの心は自分の可能性に対しては閉ざされていて、行き詰まり、途方に暮れています。絵や箱庭作品を自由に制作してもらったり、夢について話し合ったりすることを続けていくと、イメージ表現を通して患者さんの心は徐々に自分の中の治癒力に開かれていきます。自分本来の力に支えられた時、患者さんは自身を取り戻し、真に生きることができます。簡単なことではありませんが、このような体験への道のりを多くの方と共にできるということが、私の臨床家としての幸せです」

　池上先生が講師を務めるセミナーは主に、大学およびユング心理学研究所で定期的に開催されています。

（取材年月：2013年9月）

来談者自身が持つ「治る力」「可能性」が引き出されるようにサポート

うつ病、パニック障害ほか、本格的な心理療法を要する方も、症状のない方も

チューリッヒ・ユング研究所で、精神分析の国際資格を取得

夢分析や描画など視覚的な手法で心と向き合う

専門家プロフィール

Other Interview