資格取得とその活用の専門家高橋潔志

資格取得とその活用の専門家

高橋潔志

資格取得の過程でスキルを効率的に構築

　「どうしたら資格を仕事に生かせるか」を伝授する「キャリアライセンス」は、2006年12月に開業、その代表が高橋潔志さんです。「全日本資格王選手権」で大賞を受賞した高橋さんは、253 の実務系資格を取得し、企業研修では1人でほとんどの分野をこなせるといいます。企業研修は東京や名古屋などが中心で、大阪では大学、専門学校での講習が多くなります。資格取得シーズンに合わせ、5月～8月と10月に出張が集中します。

　高橋さんの講習は、最初にカリキュラムありき、ではありません。「何の資格を取りたい」と、申告してもらうことから始まります。高橋さんが取得している253の資格には、エネルギー管理士、1級管工事施工管理技士、1級販売士などがあり、これらの資格取得についてサポートします。特に情報、建築、財務会計、経営、販売、労務の6分野が得意だそうです。
　教え方は、こうです。まず、資格に興味を持ってもらいます。自分の能力を高めるために、その資格が必要なのだと理解してもらい、スキルが身につくようサポートします。資格を取ることの意義を理解してもらったうえで、受験に向けて効率的な戦術、勉強方法を教え、具体的な内容に進みます。並行して能力開発を取り入れるのも特徴です。
　「資格取得だけが目的ではなく、その過程で仕事をする能力、スキルを効率的に構築することが大切」。これが高橋さんの信条です。

資格を使って新しい夢、将来に挑戦を

　「資格を取っただけで終わるのではなく、その資格を使って新しい夢に、将来にチャレンジして活かしてもらいたい。新しい知識を得たことで、自分の中に新たな可能性が生まれます」と、高橋さんは強調します。
　だから、授業では資格の使い方、資格を将来にどうつなげていくのかに重点を置いて講義をします。「この資格は企業ならこういう場面で、独立するなら、こういう時に役立ちます」などと、具体的な例をあげて進めていくそうです。
　知識を夢につなげ、夢の実現を目指して、スキルに磨きをかけていくわけです。

　教え子のうち、27歳のIT業界で働いていた女性は「資格で人生が変わった。スキル構築に役立てるために、この資格を使っていきたい」と語り、今では企業研修やパソコンスクールで講師を務めているそうです。将来は高橋さんと同じ〈資格コンサルタント〉と、夢を膨らませているとか。
　このように第一線で活躍中の教え子は、彼女を含め4人いるそうです。
　高橋さんは、兵庫県明石市出身。関西大学工学部電子工学科を卒業後、大手給湯器メーカーに入り、中央研究所に配属、6年半の研究生活を送ります。30歳を前に転職。専門家志望の高橋さんにとって、技術者から管理者に移ることで求めていた専門スキルが陳腐化するのが嫌だったそうです。その後、ビルメンテナンス業界のビル管理会社に勤めました。その間にさまざまな技術資格を取得していきました。
　2000年に独立。翌年にリクルート主催の「全日本資格王選手権」に出場。当時、高橋さんの取得した資格は75で、大半が実務系の資格だったそうです。このため、応募者約100人の中から「実務系資格王」として頂点に立ちました。

独立後のインフラ整備も支援します

　2つの教室のほかに2010年、レンタルオフィスを設けました。資格を取得して、活動する場合に一番困るのが、独立のためのインフラがないということです。オフィスがないことで、チャンスを失うことがあります。ですから、部屋を区切って、個人用オフィスとして何人かに利用してもらっています。

　高橋さんが教室で教えたり、大学や専門学校で講義したりした生徒が対象ですが、机、電話、コピー機、パソコン、インターネット、本棚などの環境整備を有償で提供するものです。高橋さんは自らの体験をもとに「最初のステップを支援していきたいのです。事務所があると、企業の見る目も違ってきます」と語ります。
　教え子の中村允さんも高橋さんの新しい試みを活用するつもりだそうです。専門学校で建築を学び、建築設備の会社に勤務していましたが、今年25歳で独立したばかり。35の資格を取得し、国が失業者の再就職支援のために実施する「基金訓練」の講師として、2級ボイラー技士、乙種4類危険物取扱者などの資格講座を担当することができました。中村さんは「事務所を持つことで、チャンスロスをなくせます」と感想を述べます。
　「多くの人が、さまざまな資格を取得、活用することでスキルを高め、将来の夢が実現できるよう、東京や名古屋にも学校を作っていけたらいいですね」と、高橋さんは夢を膨らませます。

（取材年月:2010年12月）

資格取得だけが目的ではなく、その過程で能力、スキルを構築することが大切です

資格取得の過程でスキルを効率的に構築

資格を使って新しい夢、将来に挑戦を

独立後のインフラ整備も支援します

専門家プロフィール

Other Interview