眠れる骨董・古美術品に光をあて世に送り出す専門家
葉山彩子
Mybestpro Interview
眠れる骨董・古美術品に光をあて世に送り出す専門家
葉山彩子
#chapter1
「最近は生前整理や断捨離といった意識が広がり、一般のお客さまからの問い合わせが増えてきました」と話すのは骨董品の買取販売を手がける株式会社 縁の代表取締役社長、葉山彩子さんです。縁では「埋もれる“古きよきもの”を発掘し世に送り出すこと」をコンセプトに掛け軸や屏風といった書画や焼物などの古美術品を主に取り扱っています。
実は葉山さん、もともとは骨董とは無縁の保育士の仕事をしていました。仕事のパートナーであり、夫でもある隆雄さんとの出会いから古美術の世界に入ったのですが、現在も自らを“素人”と自認し、“素人”だからこそできる画期的な取り組みに邁進しています。
「夫は根っからのバイヤー。古美術の業界は古くから徒弟制度が主流なのですが、独立独歩でやってきた夫とド素人の私。2人とも新しい試みに抵抗がなかったんです」と笑う葉山さん。
時代に先駆けてネットオークションの売買を開始し販路を海外にまで拡大、業界では異例の会社組織を構築、若手バイヤーの育成など、二人三脚で次々と革新的なアイデアを実現します。師事した師匠の専門分野しか勉強できない古美術の世界において、隆雄氏は日本絵画、焼物、茶道具、仏教美術などあらゆる古物に精通。それぞれに専門分野を持つ平均年齢30代の若手バイヤーたちを育成してきました。
「例えば、蔵ひとつの査定を依頼された場合、各分野の専門家が集まりそれぞれに査定するのが通例ですが、当社では一括査定が可能です」と葉山さん。中間に入る業者が多ければ多いほど利益が薄くなるのは自明の理。国内外に幅広い販路を持つ縁では、ワンストップで売買できるとあって、相場に沿った適性価格を提示してくれます。
また、骨董品買取に対して漠然とした警戒心を持つ人が多いことから、査定の際に必ず女性を同行させています。紹介による依頼が多いのは、社会的な意義を大切にした誠実な対応が売り手の安心感につながっているに違いありません。
#chapter2
「査定をご希望のお客さまの中には、先祖代々受け継がれてきた品々を自分の代で手放すことに罪悪感を感じている方もおられます。ただ、長年人の目に触れない場所に置かれ続ける状態は、作者はもとより、愛好したご先祖にとっても本望とは言えません。保存状態が悪いと救済の余地がなく、廃棄せざるおえないケースもあります」と葉山さんは警鐘を鳴らします。“捨てる”のではく、“活かす”。古美術品が循環するシステムを構築することが縁のミッションだそうです。
そのためにも、売り手に物の価値を知ってもらうことが重要。「この掛軸はいくら、この茶道具はいくらなど、縁では原則としてとしてひとつずつの買取価格をお知らせします。すると、“この書画は売って、このお茶碗は家で使います”など、売るものと残すものをお客さまご自身の判断で仕分けていただけます」
オールマイティの隆雄氏に加え、毎日ネットオークションで世界中の相場と向き合う若手バイヤーたち。チームで売買にあたる縁だからこそできる丁寧で正確な査定に、最初は罪悪感に苛まれていた売り手から、“肩の荷が降りて、心からホッとした”、“亡くなった父も喜んでいるはず”など、喜びの声を聞くことがほとんどだとか。
「古美術品は“見て・触って・使って”こそ価値があるもの。眠っていた骨董に再び光があたり、次のオーナーへと引き継がれていく。あるいは、お客さまが日常の暮らしに取り入れてくださる。私たちとの出会いによって、古美術品が循環していくことが何よりもの喜びです」と葉山さんは力を込めます。売り手と買い手、どちらも嬉しい売買を目指し、物と人との“ご縁”をつなぐ。これが、社名の由来にもなっています。
#chapter3
「日本では高いもの価値あるものは大切に仕舞っておく風習がありますよね。でも、海外では洋室に掛け軸を飾ったり、茶道具でお酒を飲んだり、骨董品をより自由に楽しんでいます。日本人にももっと身近で愛用してほしいという願いからショールームを開設しました」
ショールーム「美想空 EN art gallery & space」はオフィスのあるビル9Fに位置。現在は“心斎橋 暮らしのこっとう”と銘打ち、1000〜3000円台を中心にした普段使いの骨董品を展示しています。
縁では査定は無料、自宅訪問も対応可能。訪問に抵抗のある場合は、スマホなどオンラインで簡単にできるビデオ査定も好評です。「生前整理や遺品整理はもちろん、専門市場への出品の仲介も対応しています。まずは気軽にお電話でご相談ください」と葉山さん。
どこに頼めばいいか分からない、売れるかどうか不安など、骨董を売りたい人も、買ってみたい初心者も、古美術品のプロフェッショナル集団“縁”になら、安心して任せられるのではないでしょうか。
(取材年月:2020年07月)
リンクをコピーしました
Profile
眠れる骨董・古美術品に光をあて世に送り出す専門家
葉山彩子プロ
古美術品のバイヤー
株式会社 縁
ネットオークションで販路を海外まで拡大、若手バイヤーの育成など、業界の慣習にとらわれない“素人目線”で革新的な試みを実現。古美術品の循環を目指し、 売り手と買い手双方が満足する売買を手がける。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ大阪に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準]