葬儀とそれに関わる問題解決を目指す専門家川波俊平

葬儀とそれに関わる問題解決を目指す専門家

川波俊平

生前から式後までの問題に一括対応する「ライフエンディングサポート」

　「これまで、1000人近くの方をお見送りしてきました。葬儀のご用命を受けるほか、終活に関わるコンサルティングを行っています」と話すのは、葬祭事業者「せれもに」の代表・川波俊平さん。人生を締めくくるにあたっての不安や疑問にこたえ、心穏やかに過ごせるよう尽力しています。

　介護施設への入居や後見人の任命、遺言作成や相続手続きなど、一口に「葬儀」といっても、その前後にはいくつものプロセスがあり、「誰に聞けばいいのか分からない」「適切なアドバイスがほしい」という人も多いのではないでしょうか。

　「弊社が取り組んでいる『ライフエンディングサポート』では、生前から式後の悩みをお伺いし、解決のお手伝いをしています。相談自体は何回でも無料ですが、最初の段階できちんと提案し、納得いただけることがほとんどです。元気なうちから備えていただくことで、日々の心配ごとを減らしてほしいですね」

　川波さんのもとでは、介護サービスの利用や死後事務委任など、それぞれの問題について専門知識と実務経験を有するスタッフが丁寧にヒアリングします。相続税の算出であれば同社グループ内の税理士が担当。代理人交渉が必要な場面では弁護士と連携するなど、士業とのネットワークを生かして対応しています。

　「葬儀プランは、お通夜なしの1日葬や、お身内の方だけの家族葬など4つの形式と、ご予算に合わせて選んでいただける3つのグレードを用意しています。あらかじめ決めておくと、ご家族の負担を減らすこともできます」

葬祭業への転職を決意した第一子との別れ

　以前は、葬祭業とは別の業界で働いていたという川波さん。2005年に大阪の葬儀会社に転職し、約10年勤めた後、会計事務所の資産税部に所属。2019年に同社を創業しました。

　「私の第一子は、生後3日で亡くなりました。まわりに言われるがまま自宅でお葬式をあげましたが、あまり納得のいくものではありませんでした。『父親としてこれでよかったのだろうか』と日増しに後悔の念が強くなり、贖罪の意味も込めて葬儀会社に入ることを決意しました」

　その後、葬儀会社をいったん退職して会計事務所に移り、遺言・登記・相続税務といった業務に携わり、知見を深めました。「気力や体力が十分なあいだに残りの人生について考えていただき、困り事があれば事前に対処しておくことで、大切なお別れに集中してもらいたい」という思いからです。

　「弊社では、救護・高齢者施設などにおいて傾聴ボランティアを行っています。傾聴とは『聴くことはそれだけで援助』という理念のもと、ひたすらに相手の思いに耳を傾ける態度のこと。実は、第一子を亡くした数年後に妻と離婚し、もう一度家庭を築こうとした相手も亡くなりました。その境遇にうろたえて、あるご住職に気持ちをとつとつと話している自分に気付きました。耳を傾けるだけで一切お話をされないそのご住職は、『日本傾聴塾』の傾聴僧でいらっしゃったのです。それらの経験をもとに、少しでもお役に立てればという思いで続けています」

　人々の声に耳を傾け寄り添う姿勢が、安らぎのある人生につながるのではないか。川波さんが歩んできた道のりが、「ライフエンディングサポート」というサービスに結びついているようです。

顧客の一歩先に立ち、明かりをともす存在に

　「社会全体における世帯収入の減少も関係しているのかもしれませんが、近頃では葬儀保険についてのお問い合わせが増えました。これは葬儀費用に充てることができる少額短期の保険です。弊社は代理店業務も兼ねていますので、葬儀費用で気になることがあればご相談ください」と川波さん。

　核家族化や少子高齢化、昨今のコロナ禍の影響により、葬儀に求められるものも変わりつつあります。時代のニーズに応じたサービスを提供したいと、2021年11月からは、LINEで無料相談を受け付ける準備もしています。

　「雨の中で立ち尽くす人に傘を差し出したら、『ありがとう』と感謝されるのは当たり前のこと。それで満足するのではなく、家を出る前に傘を用意しておくことを伝えられたら、その人はもっと助かるのではないでしょうか。現在の葬祭業界は、その傘すら用意できていない状況にあるとも感じています。『もっと皆様のお役に立ちたい』と、気軽にコミュニケーションがとれるツールを活用することにしました」

　どんなことでも遠慮なく話してもらえるように、依頼者と信頼関係を築くことも大切にしていると言葉を続けます。

　「ご依頼者さまの一歩先に立ち、明かりをともしてあげられる存在になりたい。皆様の道を照らすパートナーとして認知され、業界全体がより良くなることを願ってやみません。誰もが満足のいく最期を迎えられるように、またご家族に悔いが残らないように貢献していきたいですね」と語りました。

（取材年月：2021年10月）

葬儀に関わる悩みにこたえ、真に安らぎのあるお別れを

生前から式後までの問題に一括対応する「ライフエンディングサポート」

葬祭業への転職を決意した第一子との別れ

顧客の一歩先に立ち、明かりをともす存在に

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