東アジア連休を味方にする民泊運営

多田進吾

多田進吾

テーマ:沖縄民泊


民泊運営において、意外と見落としがちなポイントのひとつが「海外の休日・祝日」です。日本のカレンダーだけを基準に価格設定や清掃シフトを組んでいると、海外からの大きな需要の波を逃してしまう可能性があります。特に沖縄は那覇空港をハブとしてアジア各国から直行便が運航しており、東アジアの祝日はそのまま需要のピークに直結します。
今回は、2025年10月〜12月にかけての東アジア主要国(日本・中国・韓国・香港・シンガポール・台湾)の祝日を整理しました。宿泊料金の調整やカレンダー公開の戦略、さらにはメッセージ対応にぜひ役立ててください。直近3ヶ月の稼働が伸び悩んでいる方、宿泊単価を少しでも上げたい方は、今すぐ行動に移すことをおすすめします。

【なぜ海外の祝日を意識するのか】
海外から訪れるゲストは、日本人とはまったく異なるタイミングで休暇を取ります。たとえば、中国の国慶節や台湾の国慶日、韓国の秋夕(チュソク)といった大型連休は、現地では家族や友人と過ごす特別な時期であり、多くの人が一斉に海外旅行へ出かけます。その結果、普段は平日で動きが鈍い沖縄でも、突然需要が高まり、平日が一気に“繁忙日”に変わることが珍しくありません。
つまり、「日本の平日=空室が多い」と決めつけてしまうのは危険です。もし海外のカレンダーを把握していれば、平日でもあえて強気の価格を設定したり、直前割引を控えたりする判断が可能になります。逆に、知らなければ通常の平日料金のまま予約が埋まり、せっかくの繁忙チャンスを取り逃してしまうことになります。海外の祝日を意識することは、単なる情報収集ではなく、売上を伸ばすための実践的な武器になります。民泊運営において「料金調整の余地」を広げる最大のカギは、ゲストのカレンダーを自分ごととして読み解くことなのです。

【2025年10月〜12月 東アジア主要国の祝日一覧】
■日本
•10月13日(月) スポーツの日
•11月3日(月) 文化の日
•11月23日(日) 勤労感謝の日
•11月24日(月) 振替休日
•12月23日(火) 天皇誕生日(2025年施行予定)

■中国
•10月1日(水)〜8日(水) 国慶節・中秋節連休

■韓国
•10月3日(金) 開天節
•10月5日(日)〜7日(火) 秋夕(チュソク)
•10月8日(水) 振替休日(秋夕)
•10月9日(木) ハングルの日
•12月25日(木) クリスマス

■香港
•10月1日(水) 国慶節
•10月7日(火) 中秋節の翌日
•10月29日(水) 重陽節
•12月25日(木) クリスマス
•12月26日(金) クリスマス翌日

■シンガポール
•10月20日(月) ディーパバリ(ヒンズー灯明祭)
•12月25日(木) クリスマス

■台湾
•10月6日(月) 中秋節
•10月10日(金) 国慶日
•10月25日(土) 台湾光復節(振替あり)
•12月25日(木) 憲法記念日
※出典元:NNA World Calendar (アジア・欧州、主要国の祝祭日)

【どう活かすか ― 実務での工夫】
①料金設定の強化
祝日前後は需要が急増します。特に中国の国慶節や韓国の秋夕などは、日本のゴールデンウィークに匹敵するレベルです。需要の波を予測し、1〜2か月前から料金を段階的に調整するのが効果的です。
②カレンダー公開のタイミング
ゲストは祝日に合わせて旅行計画を立てます。OTAのカレンダーを早めに公開しておけば、海外の旅行者がフライトを確保するタイミングで予約が入りやすくなります。
③メッセージ対応の工夫
祝日の滞在理由を意識したメッセージが効果的です。
例:「国慶節のご旅行ですね。連休中の沖縄は混み合いますので、レンタカーはお早めに」こうした一言を添えるだけで、安心感と信頼を与えられます。

【数字の裏にある文化を読む】
OCC(稼働率)、ADR(客室平均単価)、RevPAR(収益効率)といった数字は、単なる統計や経営指標ではなく、すべてゲストの行動の積み重ねから生まれる「結果の数字」です。つまり、数字を正しく読むには、その裏側にあるゲストの文化や習慣を理解することが欠かせません。
たとえば、中国では国慶節の大型連休に家族で海外旅行を楽しむ傾向が強く、韓国では秋夕(チュソク)の時期にまとまった休暇を取る文化があります。台湾や香港でも、国慶日や中秋節を境に旅行需要が急増します。これらはいずれも日本とは異なる「休暇のリズム」で動いており、その影響がダイレクトに稼働率や単価の変動として表れます。海外の祝日を知ることは、単なるカレンダー知識を超えて「数字の背景にある文化や生活習慣を理解すること」につながります。
数字そのものを追うのではなく、その数字が生まれた理由や背景を読み解くことで、次にどのような戦略をとるべきかを冷静に判断できるようになるのです。

【春節戦略をどう活かすか】
2026年の春節は 2月17日(火) です。春節は中国や台湾を中心に、東アジア全体で最も大きな旧正月の連休(およそ7連休)であり、沖縄にも需要が集中します。
私の運営物件でも、すでに2026年2月の予約が入り始めています。特徴的なのは、予約が非常に早いこと。だからこそ、価格設定や受け入れ準備を前倒しで行うことが収益拡大の鍵となります。私の経験上、こうした早期に動くゲストは旅行予算が高く、計画的なため、滞在態度も良好な傾向が強く、まさに「優良ゲスト層」を取り込む好機といえるでしょう。

【まとめ】
民泊運営では、日本の祝日や連休だけに目を向けるのではなく、海外の大型連休も確実に意識する必要があります。特に春節をはじめとする東アジアの祝日は、普段は落ち着いている平日を一気に「繁忙期」に変える力を持っています。数字の裏にある文化や習慣を読み解き、料金設定・カレンダー運用・メッセージ対応に落とし込む。
この小さな工夫の積み重ねこそが、収益を安定させ、長く選ばれる宿へと育てていく第一歩なのです。

本日もここまでお読みいただきありがとうございます。気になる点や感想などがあれば、ぜひメールやLINEでお知らせください。皆さまの声が次回のテーマづくりにもつながります。
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多田進吾
専門家

多田進吾(不動産仲介)

沖縄リアルエステート株式会社

東京で富裕層向け不動産仲介に従事し交渉力や提案力を磨く。沖縄移住後は宿泊施設を開業し運営ノウハウも取得。迅速かつ丁寧な対応を強みに、空き家活用から収益化の提案までオーナー様に寄り添った不動産取引を支援

多田進吾プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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