レビューから見た強みと弱みの徹底分析【2/5】

多田進吾

多田進吾

テーマ:沖縄民泊


Airbnb運営において、レビューは最大の資産であり、同時に改善点を教えてくれる羅針盤です。
今回は、南城市物件で得られた202件のレビューを軸に、強みと弱みを8つのカテゴリーに分解。
数値と比率をもとに「実際に運営したらどう評価されるのか」を明らかにします。

【星5の裏にある15%の声にどう向き合うか】
まず最初に注目すべきは、202件のレビューに基づく星評価の分布です。集計結果は以下の通りでした。


星5が全体の約85%を占め、Airbnbリスティング全体の評価は4.8に達しました。これはゲストの多くが「期待以上の滞在だった」と感じていた証拠であり、物件そのもののポテンシャルや運営の基本品質が十分に備わっていたことを示しています。正直に振り返ると、常に星5を目指して運営した結果が、この数字に反映されたといえます。一方で、星4以下の合計は30件(全体の15.9%)。数としては少なく見えますが、この層こそ改善のヒントの宝庫です。星4を選んだゲストは「おおむね満足だが、あと一歩改善がほしい」と感じており、その理由は立地や設備、アメニティの細部などに多く見られました。さらに星3や星2では、具体的な不満や不便さが示されており、少数派とはいえ「満足度を下げるリスク因子」として無視できません。ただし、こうした声もメッセージ対応の内容やタイミング、頻度によってリカバリーできるケースが多々ありました。結局のところ、星の数に関わらずゲストのフィードバックを的確に拾い、改善を続けていくことこそが、星5比率をさらに押し上げる鍵となります。


【レビュー内容を8つの軸で分解】
202件のレビューを「強み」「弱み」に整理し、8つの軸に振り分けたところ、以下のようなランキングが浮かび上がりました。

-1位 清潔さ 28%
 「spotless」「とても清潔」「快適」といった声が圧倒的。特に小さな子ども連れや長期滞在で信頼を得やすい要素。
-2位 ホスト対応 22%
 レスポンスの速さ、親切さ、臨機応変さが評価。信頼感につながり「また泊まりたい」との声を生む。
-3位 設備16%
 キッチン、乾燥機、寝具などが高評価。特に「ガス乾燥機」は便利さの象徴として繰り返し言及。
-4位 ロケーション・環境 13%
 「静か」「眺望が良い」といったプラス要素の一方、「車必須」「不便」との指摘もあり二面性を持つ。
-5位 体験価値 9%
 「家族旅行に最適」「非日常感」「ワーケーションにも良い」など、多様な利用価値が語られている。
-6位 建物条件 6%
 「エレベーターがない」「駐車場が広い」など、利便性に関するプラス・マイナス双方のコメント。
-7位 周辺環境 4%
 「商店が便利」「飲食店が少ない」といった声。滞在スタイルによって評価が分かれる。
-8位 その他 2%
 Wi-Fi速度や小物など、細かな要望が散発的に見られる。

【強みは「清潔さ」「ホスト対応」「設備」】
ゲストが最も高く評価しているのは、やはり「清潔さ」と「ホスト対応」です。清潔感は民泊運営における普遍的な価値基準であり、部屋に入った瞬間の第一印象を左右する要素です。どれだけ立地や価格が魅力的でも、清掃の行き届いていない物件では満足度は一気に下がります。その意味で「spotless(汚れひとつない)」「快適」といったレビューが繰り返し寄せられたことは、日常的な清掃・管理がゲストに安心感を与えていた証拠といえるでしょう。また、ホスト対応についても同様に重要なポイントです。問い合わせへの迅速な返信や柔軟な対応は、ゲストにとって「信頼できる滞在」の前提条件になります。私自身、レスポンスの速度と丁寧さを徹底していたため、「親切」「安心できた」といった声が多く寄せられました。さらに、物件の魅力を補強したのが「設備の充実」です。寝具の質やアメニティの揃え方もさることながら、特に「ガス乾燥機」は繰り返しレビューに登場しました。沖縄の湿度の高い気候において、衣類やタオルを短時間で乾かせる利便性はゲストに直結する価値であり、「ホテル並み」「便利だった」という声につながっています。清潔さ・対応・設備という三本柱が、総合評価4.8を支える基盤となっていました。

【弱みは「立地」と「建物条件」】
一方で、弱みとして繰り返し指摘されたのが「立地」と「建物条件」です。南城市という立地は「車が必須」「飲食店やコンビニが近くに少ない」といった点で利便性に欠ける側面がありました。また、建物自体が3階建てでエレベーターがなく、荷物を持って上がるのが大変だったという声も複数ありました。これらは物件の構造やエリア特性に起因するため、ホスト(運営者)側で直接改善するのは難しい、いわば「動かせない条件」です。しかし、これらの弱みも工夫次第で不満を最小化できます。事前に「車でのアクセスが前提」「階段利用になる」と明記し、写真や説明文でしっかりと伝えることで、ゲストの期待値をコントロールできるのです。実際に、「想定していたので問題なかった」「静かで落ち着いた環境が良かった」といったレビューも見られ、同じ条件でも受け止め方が変わることがわかります。むしろ「利便性が低い=観光客の喧騒から離れ、自然を感じながら滞在できる」とポジティブに解釈するゲストも多くいました。周辺の商店や地元カフェ、星空や静けさといった付加価値とセットで伝えることで、弱みを「選ばれる理由」に転換できるのです。つまり、弱みは単なるマイナス要素ではなく、ホストの伝え方次第で強みに変わる可能性を秘めています。

【まとめ】
レビュー202件を精査した結果、強みとして際立ったのは「清潔さ」「ホスト対応」「設備」の三本柱でした。一方で、課題として繰り返し浮かび上がったのは「立地」と「建物条件」という、運営者が容易には変えられない要素です。南城市という環境が持つ静けさや自然の豊かさは、多くのゲストにとって大きな魅力である反面、アクセスや利便性の不便さを伴う両刃の剣でもありました。私がスーパーホスト(総合評価4.8以上)になれたのは、清掃の徹底、迅速かつ丁寧な対応、そして利便性を補う設備の工夫といった日々の努力を積み重ねた結果です。ゲストの声を一つひとつ拾い上げ、改善を続けていくことこそが、安定した高評価を維持する、最も確かな方法だと実感しています。
そして次回は、高評価を支えた要素や改善が求められた要素が、実際の「収益」にどう結びついたのかを明らかにします。南城市の売上データを基に単価や稼働率を割り出し、シミュレーション形式で「運営の収益性」を解き明かしていきます。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

多田進吾
専門家

多田進吾(不動産仲介)

沖縄リアルエステート株式会社

東京で富裕層向け不動産仲介に従事し交渉力や提案力を磨く。沖縄移住後は宿泊施設を開業し運営ノウハウも取得。迅速かつ丁寧な対応を強みに、空き家活用から収益化の提案までオーナー様に寄り添った不動産取引を支援

多田進吾プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

沖縄での新規事業・不動産投資・移住をサポートするプロ

多田進吾プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼