価格戦略とシーズン需要【3/5】

4回にわたり、民泊運営を成功させるための稼働率改善、レビュー戦略、価格設定、文化的な違いへの理解について解説してきました。これらを実践すれば、確かに収益は改善します。しかし、多くのオーナー様が抱える本音は「ここまで手間をかけられない」「本業や家庭との両立が難しい」という悩みではないでしょうか。実際、民泊運営は収益性の高さが魅力である一方、清掃やゲスト対応、価格調整、レビュー管理といった日々の業務は膨大です。だからこそ、オーナー様にとって現実的で負担の少ない選択肢として、「自分で運営するのではなく、民泊をやりたい借主に貸す」という方法が注目されているのです。
【沖縄の家賃動向と民泊需要】
2024年の調査によれば、沖縄県全体の家賃は上昇傾向にあり、特に北部と中部でその伸びが顕著です。本島北部(名護市等)では、30㎡以下のシングル向けマンションが前年比43.1%増(58,477円)、50〜70㎡のファミリー向けでも18.8%増(77,923円)と大幅な上昇を示しました。ジャングリア沖縄の開業に伴う雇用需要が加わり、シングル層を中心に賃貸ニーズが急拡大していることが背景にあります。本島中部(沖縄市・北谷町・うるま市等)でも上昇幅は大きく、特にアパートの50〜70㎡ファミリー向けは22.7%増(79,527円)、マンションの同サイズでも21.1%増(103,279円)と、北部に匹敵する水準です。移住希望者が多いことに加え、駐車場付き物件の比率が9割超と高く、生活利便性の高さが支持されています。一方で、本島南部(那覇市等)はもともと家賃水準が高く、30〜50㎡マンションは前年比12.0%増(78,700円)と堅調な伸びを見せています。ただし上昇率では北部・中部に及ばず、エリア間のバランスに変化が生まれています。このように、沖縄本島では通常賃貸でさえ賃料が全域で上昇している状況です。そこに訪日客の過去最高更新やジャングリア沖縄開業といった観光需要の追い風が加われば、民泊用賃貸としてさらに高い賃料を設定できる余地があるのは明らかです。実際に「民泊を運営したい借主」は増加しており、オーナー様にとっても新たな選択肢となりつつあります。
(出典:アットホーム「沖縄県の家賃動向調査」)
【通常賃貸と民泊用賃貸の比較】
例えば、那覇市内の物件で月8万円(年間96万円)の通常賃貸を想定した場合、同じ物件を民泊用に借りたい運営者は、年間収益ポテンシャルを背景に、より高い家賃を支払う余地があります。試算すると、1泊25,000円・稼働率50%(183泊)で年間売上は約457万円。通常賃貸の約5倍近い売上ポテンシャルがあるため、借主は月12万円、場合によっては15万円の賃料を提示しても十分採算が取れるのです。つまりオーナー様は、自分で運営することなく、安定かつ高水準の家賃収入を得られる可能性があるということです。
【運営リスクを借主に委ねるメリット】
1. トラブル対応を任せられる
近隣住民からのクレーム、文化的ギャップによるレビュー低下など、民泊特有のリスクはすべて借主が負担。オーナー様は巻き込まれにくくなります。
2. 資産価値を維持できる
民泊用として利用される物件は、清掃・維持管理が定期的に行われるため、放置されがちな空き家よりも状態が良く保たれます。
3. 安定収益を確保できる
市場の需給バランスを背景に、通常賃貸よりも高額な賃料で貸し出せるチャンスがあります。
【チェックリスト:オーナー様が今すぐできること】
□ 自分の物件が「通常賃貸」と「民泊用賃貸」でいくら差が出るか試算したか?
□ 借主候補が民泊運営の実績を持っているか確認したか?
□ 契約条件に「管理責任」「トラブル対応」を明記する準備をしたか?
□ 専門家やマッチングサービスに相談するルートを持っているか?
【まとめ】
これまでのコラムでお伝えしてきたように、民泊運営は高い収益性を秘めています。しかし同時に、日々の清掃管理やゲスト対応、価格調整といった多くの業務を継続するには相応の時間と労力、そして専門的なノウハウが必要になります。オーナー様の中には、「ここまで手をかけるのは難しい」「運営を続ける自信がない」と感じる方もいらっしゃるはずです。そうした場合、必ずしも自分で全てを抱え込むのではなく、別の形で物件を活かす方法もあります。たとえば、通常の賃貸として貸し出すだけでなく、民泊として利用したい借主に貸すという選択肢もあります。どの方法が一番安心でき、資産を守り育てられるのか、オーナー様ご自身で比較・検討することで、選択肢の幅が広がり、その検討には十分な価値があります。
【結び】
本シリーズは今回で完結となります。これまでの内容を振り返りながら、ご自身の持ち家などを「負担」から「資産」へと変える一歩を踏み出すきっかけとしていただければ幸いです。さらに詳しいサポートや相談をご希望の方は、ぜひ【スマートオーナーズ】をご覧ください。オーナー様の持ち家や空き家を民泊運営者につなぎ、収益最大化と地域への貢献を両立する仕組みをご紹介しています。
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