「高く売ります」に潜む落とし穴──本当に信頼できる不動産会社の見分け方

「沖縄の不動産価格は上がっているらしい」――そう耳にしたことのあるオーナー様も多いのではないでしょうか。しかし、実際にどの地域でどの程度の変動があり、それが所有不動産の資産価値にどう影響するのかを把握している方は意外に少ないのが現状です。令和7年の沖縄県地価調査が公表され、県内41市町村の基準地における標準価格(いわゆる基準地価)が明らかになりました。地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき都道府県知事が毎年7月1日時点の価格を調べるもので、国が行う地価公示(1月1日時点)とあわせて一般取引価格の重要な指標となります。今回は、この調査結果を単なる「統計」として眺めるのではなく、オーナー様がご自身の資産活用にどう結びつけられるのかを考えていきます。
【沖縄地価調査の位置づけ】
まず押さえておきたいのは、地価調査の役割です。不動産売買や賃貸の取引価格は、市場の需給関係で決まります。しかし市場には「適正価格はどの程度か」を示す基準が必要です。そこで国は地価公示を、都道府県は地価調査を行い、基準地の標準価格を示しています。
両者の違いは調査時点にあります。
- 地価公示:1月1日時点(国が実施)
- 地価調査:7月1日時点(都道府県が実施)
つまり、半年ごとに公的な基準価格が示される仕組みです。このデータは、銀行融資の査定や税務上の参考資料としても活用され、取引の客観的な目安となっています。
【令和7年沖縄県の地価動向】
調査結果を概観すると、県全体で地価は上昇傾向を続けています。ただし、エリアごとに特徴が大きく異なります。
- 那覇市を中心とする南部
住宅地・商業地ともに堅調な上昇。特にモノレール駅周辺や国際通りエリアでは観光需要と再開発の影響で価格が押し上げられています。
- 中部(沖縄市・北谷町・うるま市など)
住宅需要の高さと、外国人居住ニーズに支えられて上昇幅が拡大。マンションやアパートの賃料も上がっており、居住用・投資用の双方で注目を集めています。
- 北部(名護市・本部町・今帰仁村など)
観光リゾート需要の高まりにより、住宅地も商業地も強い上昇。特に名護市や本部町はジャングリア沖縄の開業効果も追い風となっています。
この結果から見えてくるのは、都市部の利便性需要とリゾート地の観光需要という「二極化の成長」です。
【オーナー資産への影響】
ここで重要なのは、この数字をオーナー様がどう活かすかという点です。
1. 売却の判断材料に
地価が上昇しているエリアでは、今が売却の好機になる可能性があります。特に相続した空き家や遊休地をそのままにしている場合、需要が高い時期に売却すれば想定以上の価格で取引できるケースもあります。
2. 賃貸経営の見直しに
地価の上昇は賃料相場にも影響します。実際、中部や北部では賃料が前年比で10〜20%上昇した地域もあり、既存の賃貸借契約を更新する際に適正賃料を見直す好機です。
3. 民泊用賃貸への活用に
観光需要が高まるエリアでは、民泊運営を希望する借主のニーズも増加しています。通常賃貸より高い賃料を設定できる可能性があるため、直接自分で運営せずとも「民泊用に貸す」という方法で資産を活かす道もあります。
【オーナー様への具体的アドバイス】
今回の地価調査を受けて、オーナー様が実践できる行動を整理すると次のようになります。
- 自分の物件が調査対象エリアに含まれているか確認する
- 価格が上昇している場合は「売る」「貸す」「民泊用に貸す」を比較検討する
- 横ばいや下落のエリアでは「資産の守り」を意識し、賃貸条件や管理体制を見直す
- 不動産会社や専門家に相談し、地価動向を反映した資産戦略を立てる
数字を知るだけで終わらせず、「自分の物件にどう結びつけるか」を考えることが重要です。
【まとめ】
令和7年の沖縄県地価調査は、県全域41市町村の不動産価格を示す貴重な指標です。単に「上がった」「下がった」と確認するだけではなく、オーナー様にとってはご自身の資産をどう守り、どう育てるかを考える絶好の機会となります。那覇市を中心とした都市需要、中部・北部における観光需要――これらの数字の裏にある市場の動きを読み解けば、資産を最大化する道が見えてきます。今こそ、公的な調査データを活かし、所有不動産の未来に向けた最適な一手を検討してみてはいかがでしょうか。
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