レビュー改善が稼働率を変える―収益アップの仕組み【2/5】

沖縄で民泊を運営しているオーナー様がよく口にする悩みの一つに、「予約を取るには値下げするしかない」という思い込みがあります。確かに価格を下げれば一時的に予約は入りやすくなりますが、長期的には収益の悪化や客層の質の低下につながり、結果としてオーナー様の資産価値を損なう危険があります。本当に必要なのは「価格を下げずに選ばれる戦略」です。沖縄ならではの季節需要を読み解き、適切に価格を調整すれば、単価を維持したまま稼働率を改善し、収益を最大化できます。
【値下げ依存のリスク】
オーナー様が陥りがちな「値下げ依存」には、次のようなリスクがあります。
1. 収益の悪化
単価を下げれば利益は減り、稼働率が多少改善しても追いつかない。
2. 客層の変化
安さだけで選ぶゲストが増え、トラブルや低評価レビューにつながりやすい。
3. 地域全体の価格下落
周辺物件も追随して値下げし、地域相場が下がる悪循環を招く。
【沖縄の年間需要カレンダーを読む】
沖縄の民泊需要は一年を通して存在しますが、月ごとに波があります。この波を理解することで、「強気に価格を設定すべき時期」と「工夫して稼働を確保すべき時期」を見極めることが可能です。
- 1月:正月・旧正月(春節)で観光需要が高まる。国内外から旅行客が集中。
- 2月:旧正月(春節)、プロ野球キャンプ、桜まつりなどイベント需要あり。
- 3月:海開き、卒業旅行、春休みで需要のピーク。
- 4月:春休みとGWで前半後半ともに高稼働。
- 5月:GW序盤がピーク。中旬以降は梅雨で落ち着く。
- 6月:梅雨で需要減。下旬から回復傾向。
- 7月:中旬から下旬にかけて夏本番で稼働増。
- 8月:連休・夏休みでトップシーズン。強気の価格設定が可能。
- 9月:安定した気候、ビーチも営業。連休・シルバーウィーク需要強し。
- 10月:過ごしやすく、ビーチ営業も続く。連休が山場。
- 11月:一部地域でマリンアクティビティ可能。週末・連休が中心。
- 12月:年末に向けて観光需要回復。高単価を狙える時期。
【戦略的価格設定のポイント】
1. 繁忙期は強気に設定
8月・9月・GW・年末年始は単価を引き上げても予約が入る。
2. 閑散期は長期滞在割引で対応
1〜2月、5〜6月は需要が薄い。ここでは「1週間以上の割引」「ワーケーション利用」を打ち出すことで稼働を確保。
3. イベントに合わせた価格調整
プロ野球キャンプや花火大会など、短期的に需要が高まる時期を見逃さない。
【数字で見る価格戦略の効果】
単価を維持したまま稼働率を改善するだけで、収益は大きく変わります。
- 条件:平均単価25,000円 × 365日
- 稼働率30%=「約110泊 → 年間売上275万円」
- 稼働率50%=「約183泊 → 年間売上457万円」
差額は182万円。
これは「値下げで埋める数字」ではなく、「シーズン需要を読んで戦略的に稼働を伸ばす」ことでこそ達成できる結果です。
【価格以外の差別化要素】
ゲストは価格だけで物件を選ぶわけではありません。むしろ「清潔さ」「写真の印象」「チェックイン体験」が決定打になることが多いのです。
- 清掃品質を徹底し、高評価レビューを安定的に獲得
- 写真を改善し、検索画面でのクリック率を向上
- チェックイン時に安心感を与える工夫を追加
これらは「多少高くても選ばれる理由」につながります。
【チェックリスト:価格戦略を最適化するために】
□ 年間の繁忙期・閑散期を把握しているか?
□ 繁忙期に強気の価格設定をしているか?
□ 閑散期に長期滞在割引や付加価値を提供しているか?
□ イベント時期に合わせて価格を調整しているか?
□ 価格以外の差別化要素を磨いているか?
【まとめ】
沖縄の民泊運営で成功するためには、「値下げ」ではなく「シーズン需要を読んだ価格戦略」が欠かせません。繁忙期は単価を引き上げ、閑散期は長期滞在や付加価値サービスで稼働を確保する。これを徹底すれば、単価25,000円を維持しながら稼働率を30%から50%へ改善でき、年間182万円もの収益差を生み出せる可能性があります。しかし、価格戦略だけでは安定した成果にはつながりません。なぜなら、レビュー評価そのものが予約数を左右する大きな要素だからです。特に外国人観光客と日本人ゲストとでは「何を評価するか」の基準に違いがあり、この点を理解せずに運営を続けると評価が伸び悩みます。
次回は「外国人観光客の期待と文化の違い」をテーマに、レビューを左右する具体的な要因と改善策を掘り下げていきます。



