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コラム

ものづくりは、手ではなく脳でしているって知ってましたか!?

2017年8月30日 公開 / 2020年1月23日更新

テーマ:沖縄ジュエリー職人の技術

コラムカテゴリ:くらし

皆さんこんばんは。
JewelrySalonPlanetのヒロセです。

ものづくりに対して人とお話をするときに、よく「手先が器用じゃないと出来ないですよね。」とか、
「私は、絵心が無いので。。。」とうような表現を聞きます。

私のしている仕事においても、職人として「手に職を持つのってよいですよね。」などといわれることも多くあります。

確かに手で物をつくっていますし、絵も手で描くので、手先の動きというのは重要ではあります。
ですが、その手を動かしているのは、「脳」です。
脳が身体を動かしているのは皆さん周知の事実ですよね。

よくテレビで、脳科学者がアスリートなどの脳について、一般の人との違いを検証している番組があります。
それは、どのような脳の動きの違いが、パフォーマンスの違いを生んでいるのか。
パフォーマンスの違いは脳の動きの違いであると言っていることになります。

ということは、物をつくることにおいても、大切なのは脳の働き方と言えます。

この点について、私自身がいくつも体感したことがあります。
その一つとして、私にとって今があるのはこの経験が本当に大きかったと感じることがあります。

それは、私が大学を受験する時にデッサンの勉強をしてたときのことです。
受験の科目の中にデッサンがあり、高校の美術の先生に頼んでデッサンを習ってました。
その先生は東京芸大出身でした。東京芸大と言えば、日本の芸大では最高峰です。
でも、習うといっても、試験の課題である石膏像を見ながら、それを自分なりに描いて、ただ見てもらうだけのものでした。
アドバイス的なものは、何を言われたか覚えてないですが。。。


あるとき私の父の会社の広告を受けていた広告代理店の社長さんが、私がデッサンの勉強をしていると言う話を聞いて教えてくれることになったのです。その社長さんは、自身が画家で、1枚300万の値がつくほどの方でした。
見ていただけるということで、私が描いたデッサンを持って、社長さんの家に伺いました。
そこで、私のデッサンを見せた瞬間、「これはデッサンとは言わないね。」とあっさり言われました。
ただ何が違うのかは私自身全くわかっていなかったので、「どういうことなんですか?」と尋ねると、
その社長さんが奥様に「何か鉛筆と消しゴムない?」と言いました。
でも、鉛筆がなかなか無くて、唯一ゴルフのスコアを書くためにゴルフ場で配られている、
プラスチックの枝に鉛筆の芯だけがついている、これでデッサンした人はいないでしょと言うようなものと、
お孫さんが忘れてった消しゴムだけが見つかりました。

社長さんは、「何でもいいよ。大丈夫。」と言って、その二つで私のデッサンを使って、
デッサンとは何かを教えてくれると言ったのです。

「あなたの絵の一部を消していいかい?」と社長さんが言ったので、私は「全然、何しても平気です。」と答えました。
すると、「ここを見ててね。」と言って、社長さんが私のデッサンの1.5cm四方ぐらいを消しゴムで消して、
おもちゃのような鉛筆で描き始めました。
すると、どうでしょう。その描き直した部分だけが、いきなり浮き上がる様に立体になったのです。
本当に驚きました。こんな道具で、こんなに少しのスペースで、何気なくサラサラと描いただけなのに、
私の絵がデッサンではないと言うことを、完全に教えてくれました。

その時の社長さんの言葉を今でも覚えてます。
「デッサンと言うのは、その物をありのままに描いたものをデッサンと言うんだよ。」
「光が当たっているところは白いよね。だったら白く描かないといけないんだよ。」
「これをわかっている人は、とても少ない。だからこれを知って、後はそれをどう表現すべきかを知りながら、
その解ったことを手が忠実に表現できる様に訓練すればいいだけだよ。」
と言われました。

本当に衝撃的でした。この経験が無かったら、この言葉に出会えなかったら、
私はデッサンを描ける様にはならなかったと、確信しています。

その日から、その社長さんの会社の部長さんに教えていただける機会をいただいて、
何度か会社まで行って教えていただきました。
そのお陰で今の私の基礎が出来たのです。(ちなみにその試験のある大学には合格できなかったですが笑)

この大きさを一言で伝えるのはあまりに難しいですが、
小手先で自分流に描いていたものは、タダの絵であって、この絵が上手かどうかはどうでもいいことです。
なんの技術でも何でもありません。

プロと素人の差を凄く感じました。仕事としてデザインなどの職についている方でも、
このことを知らない方大勢います。
これを知らないと、ものつくりが出来ないわけではありません。
ですがこれを知ることで、この本質を脳が知ることで、それまでの脳の動きとは全く変わりました。
そこからのすべての派生で今があると、完全に実感しております。

私が、今の仕事をしていて、やったことがない事や、触ったことがない道具などを使う時も、
この本質を知ることで、簡単にやり方が浮かんでくるようになりました。
脳が理解できれば、あとは手を訓練するだけなので、出来るようになるのは時間の問題です。

この脳の捉え方を養うには、デッサンは本当に大切だと思います。
ものすごく多くの要素が詰まっており、やればやるほど色々な感覚が身につきます。
この本質がわかって描くデッサンは、立体設計図みたいなものなんです。
描ける様になればなるほど、頭の中に立体がハッキリと浮かぶようになります。
そのイメージを言葉で表現すると、
「頭の中に浮かんだイメージを、紙や物に投影して、その通りに形にするために手を動かしているだけ。」
と言った感じですかね。
デザインを描いているときは、すでに頭の中に形が出来ているんです。
それを紙に投影して、その投影したものをなぞる様に描いているイメージです。

これってまさに手ではなく、頭で脳で描いていると言えますよね。

ですから、脳をどのように動かせばいいのかを知ることが出来れば、誰でも描ける様になると思います。
知らないだけなので、知ればいいだけなんです。

では、何をどう知ればいいのかについては、また別の機会にお話させていただければと思います。

長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

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