「酒屋さんって、注文したらお酒を届けてくれるだけでしょ?」そう思われることが多いのですが、私の仕事はそれだけではありません。
私は沖縄県那覇市古波蔵を拠点に、業務用酒類卸を手掛ける有限会社鏡原酒販の2代目代表・島袋偉(しまぶくろすぐる)と申します
当社は1980年に両親が始めた「鏡原酒米販売店」を原点とする、創業40年以上の総合酒類販売業者です。私がこの仕事で最も大切にしていること、それは「人と人とのつながりを大切にすること」──この一言に尽きます。
本音を聴くために、まず一緒に飲む
飲みニケーションとは、飲食の場を通じて本音の対話を生み出すコミュニケーションのことです。私はオーナーさんのお店に顔を出して、一緒にお酒を飲むことを自分の仕事のひとつだと本気で思っています。
なぜなら、お酒を一緒に飲むからこそ、本音の言葉が出てくるからです。「最近、客足が落ちてきて……」「このメニュー、あまり出ないんだよね」──こういった悩みは、商談の場では絶対に出てきません。杯を重ねながら語らう中で初めて聴けるのです。
私が大切にしているのは、先回りしてニーズを満たすことと、会話の歩調を合わせることです。相手のフィーリングに応じて臨機応変に話す対話力は、学生時代に沖縄を出て経験した営業職の現場で身につけました。
「業者」としてではなく「仲間」として信頼される存在になりたい──その思いで、私は毎晩のように取引先のオーナーさんのもとへ足を運んでいます。
この姿勢が実を結び、紹介や口コミを通じて毎年20〜30件の新規案件を獲得し続けています。インターネット広告でも飛び込み営業でもなく、「あの人に頼みたい」と思ってもらえる信頼の積み重ねが、私たちの一番の営業力です。
コロナ禍、飲食店と共に立ち向かった日々
コロナ禍では、取引先の飲食店が次々と休業する事態に直面しました。「酒屋は飲食店さんが働いてこそ成り立つ商売」という原点に立ち返り、私はとにかく動くことにしました。
那覇商工会議所青年部の仲間と協力して、自宅やオフィスへ出前するフードデリバリーのプロジェクトを立ち上げました。知り合いのお店を活用して地域にお金が回る仕組みを作り、飲食店の売り上げに貢献できるよう必死で動きました。
さらに、YouTubeチャンネル「鏡原酒販の社長が行く!!」を開設し、取引先のお店の料理や宴の様子を配信することで、お客さんが足を運ぶきっかけを作ってきました。「業績のような数字を追うだけではなく、地域に愛され、必要とされる酒屋でありたい」──この思いは、コロナ禍を経てより一層強まりました。
AIに代替できない、血の通ったつながりが私の真骨頂
デジタル化が進む今、私どもでは顧客専用のLINE発注システム「TANOMU」を導入し、4ステップで注文が完結する便利な仕組みも整えています。利用料・配送料は完全無料です。便利さと人の温かさを両立させることが、これからの時代に求められると考えているからです。
スタッフは20代を中心に活気にあふれており、気持ちのいいあいさつや清潔感ある身だしなみを徹底しています。メーカーからも「若くて勢いがある」と評されるチーム力と、要望に応じて迅速に動く機動力が私たちの誇りです。
「AIには代替できない、温かいつながりが僕らの真骨頂」──これは私が心から信じていることです。大好きなオーナーさんたちと血の通ったコミュニケーションを重ね、沖縄の夜を盛り上げていくこと。それが私の変わらない使命です。


