法律相談ちょっとした工夫~現在・過去・未来
法律相談ちょっとした工夫~時間配分
法律相談は、弁護士会や法テラス、市町村役場などで定期的に開催されているほか、各弁護士事務所でも予約のうえ、個別に実施されています。
おおむね、1回あたりの時間は30分から40分程度です。
紛争が生じていて、困っている相談者から、事実関係をお聞きして整理したうえで、法律上の問題点を抽出して、法的な視点から情報提供を行う、さらにいくつかの解決案を示すことができれば、相談としては完結します。
短い時間の中で、それぞれの局面で全神経を集中して相談を進めていくわけですが、よりよい相談となるよう、局面ごとに様々な工夫を重ねることになります。
相談の時間配分は、相談者のニーズにより、ケースバイケースです。
大きく分けると、「聞くこと」と、「説明すること(話すこと)」に分かれます。
企業や行政の方、顧問先の相談については、紛争の実情・背景部分は事前に集約して弁護士に情報提供されることが多く、むしろ弁護士に期待されているのは、「紛争解決をどう考えればよいか」、「解決策はこれでよいか」等、回答部分にウェイトが置かれることが多いです。
生じた紛争の事実関係、想定される問題点を整理したうえで、解決策に関する法的問題点について助言を求める、あるいは内部的に解決案を考えたが弁護士による法的視点からの助言(ゴーサイン)がほしいという場合です。
このような相談に対しては、法的問題点の点検、裁判例や解決事例の検索・収集、解決案の選択肢と想定される問題点あたりまでは事前準備できるので、相談場面ではわかりやすく説明することと、方針選択・決定への助言を行うことが中心となります。
一方、市民相談や犯罪被害相談などの場合は、目の前に起きている事態について、不安や混乱などの心理状況もあいまって、相談者ご本人が「何が起こっているのかわからない」ということも少なくなく、事実の確認作業を慎重に行う必要があり、少なくとも相談時間の3分の2程度は「聞く」ことにウェイトが置かれます。
こうした場合は、相談の入り口部分で、不安や緊張を解除し、語りやすいことから語っていただき、一方で話を聴きつつ、問題点の集約整理を行い、弁護士から相談者に要約してフィードバックして立ち位置を確認していただきながら、おかれている問題状況と、何を解決されたいのかを抽出し、残った時間でポイントをしぼって説明をしていくことになります。
こうした相談の場合は、20~30分でお話を「聞くこと」ためには、かなりの工夫が必要となりますし、残り10分前後で解決案の提示まで含めた回答を行うことにも様々な工夫が必要となります。
次回以降、「話を聞く」うえでの工夫、「わかりやすく説明する」うえでの工夫について考えてみたいと思います。
※ 本コラムは法律コラムの性質上、弁護士の守秘義務を前提に、事例はすべて想定事例にしており、特定の個人や事件に関する記述はありません。