ブーツの筒を拡げたい
こんにちは。
フットライト.梶田です。
靴を購入する際、買おうとしている靴が「ちょっときついかな。」とか、「足入れが少し悪いかも。」と思うことはありませんか。
この悩みを店員に相談すると、「履いているうちに伸びますよ。」や「だんだん馴染んでくるので大丈夫ですよ。」と対応されただけで終わってしまい、履けない靴を増やしてしまうことがあります。
ここで残念な話をしてしまいますと、「履いているうちに伸びます」は、販売店員の悪い対応の一例なんです。
では、「履いているうちに伸びる」という言葉を、何故悪いと言い切るのでしょうか。
具体的な例として添付写真のブーツで話をしますと、オーダーで作ってもらったブーツを履こうとすると甲部が当たり非常に足入れしにくいので、購入店に「足入れし辛いのはどうにかならないか?」と相談するも、「履いているうちに伸びますよ。」の言葉だけで済まされたため、当店で伸ばし作業を行っている最中の写真です。
さて、「履いているうちに伸びます」で終わらせる接客対応については、3つの大きな問題があります。
1つ目は、「履いているうちに伸びる」前に、まともに履くことの出来ないような靴であれば、今後履く事も無く仕舞ったままになる確率は高くなるにも関わらず、店員が何ら他の対応策を提案しない点です。
2つ目は、「履いているうちに伸びます」と対応する店舗には「伸長器具」を置いていないと思われる点です。
3つ目は、器具で伸ばす程に力の必要な作業を、客自身の足で行えばどういう弊害が出るであろうかを認識した上で話しているのか、という点です。
1つ目の、「履いているうちに伸びる」という言葉は、まず大前提として「履ける靴」でなくてはなりませんから、そもそも「履けない靴」を客自身の足で伸ばすことは不可能であり、「履いているうちに伸びますよ。」という回答は的を得ていません。
2つ目の、「伸長器具」は、ブーツ用としてはこのような器具になります。
本来であれば、靴販売店がこのような専用の伸長器具を用いて販売時に責任を持って伸ばし作業をするべきなのですが、多くの靴店では伸長器具を持っておらず、売りっぱなしか靴修理店に丸投げをしているのが現状です。
3つ目の、客自身の足で伸ばしをしようとすると足に弊害が出やすい点は、以下の写真を見ると一目瞭然かと思います。
器具の構造が自動車のジャッキと同じ構造になっている様に、革を伸ばすにはかなりの力が必要になります。
この力を客自身の足で行おうとすれば、足にどれだけの負荷がかかり、またどのような弊害を引き起こしやすくなるかについても容易に想像がつくかと思います。
購入した足入れの悪い靴や当たって痛い靴に対して、販売店員が「履いているうちに伸びます」「そのうちに馴染んできます」の言葉だけで終わらせてしまう現状は如何なものでしょうか。
当店では、様々な知識・技法を用いたサイズ調整を行っておりますので、一度ご相談ください。
※サイズ調整には限度があり、調整不能の場合もある点にご注意ください。