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高所作業における墜落事故では、
「墜落そのもの」だけでなく、墜落後の宙づり状態にも大きな危険が潜んでいます。
この状態が続くことで起こるのが、
”ハーネスサスペンション症候群(血流障害)”です。
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■ ハーネスサスペンション症候群とは
ハーネスサスペンション症候群とは、
墜落後にハーネスで宙づり状態となり、
自力で体を動かせない状況が続くことで血流が阻害される症状を指します。
人は直立姿勢のまま動けなくなると、
重力の影響で血液が下半身に溜まりやすくなります。
さらに、ハーネスによって太ももや腹部が圧迫されることで、
心臓へ戻る血液量が減少し、
脳や重要臓器への酸素供給が不足します。
この状態は短時間でも進行し、
命に関わる危険な状態へとつながります。
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■ 胴ベルト型の場合
胴ベルト型は、腰部一点で体重を支える構造のため、
腹部や大腿部の血管を強く圧迫しやすく、
ハーネスサスペンション症候群のリスクが高くなります。
また、宙づり状態で姿勢を保つことが難しく、
救助までの時間が延びるほど、
意識障害や失神などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。
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■ フルハーネス型の場合
フルハーネス型は、肩・胸・脚部で体を面で支える構造となっており、
体重や衝撃を分散できるため、
血流障害のリスクを大きく軽減できます。
姿勢が比較的安定しやすく、
救助までの時間を確保しやすい点も、
胴ベルト型との大きな違いです。
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■ リスクを少しでも軽減するための器具
宙づり状態による血流障害を少しでも軽減するため、
現在では以下のような補助器具も販売・活用されています。
”足掛け補助具(リリーフストラップ)”は、
墜落後に足を掛けて体重を分散させることで、
太ももへの圧迫を和らげ、血流の停滞を軽減する器具です。
姿勢を変えられるようになるため、
救助までの時間を待つ間の身体的負担を抑える効果が期待されます。
また、”腿パッド(レッグパッド)”は、
腿部にかかる圧力を分散し、
局所的な締め付けを軽減する役割を果たします。
ただし、これらの器具は
宙づり状態を安全にするものではなく、あくまで補助的な対策
であることを正しく理解する必要があります。
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■ 短時間でも安心はできない
重要なのは、
フルハーネス型であっても宙づり状態が安全というわけではないという点です。
数分から十数分程度でも、
めまい、吐き気、冷や汗、意識障害などの症状が現れることがあります。
そのため、
フルハーネスの着用に加え、
墜落を想定した救助体制の整備が不可欠です。
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■ 命を守るために必要なこと
フルハーネスは「落ちた後の命を守る装備」です。
しかし、本当に命を守るためには、
・正しい器具の選定
・正しい装着と点検
・救助計画の策定
・教育・訓練の実施
これらを含めた総合的な安全管理が必要です。
「墜落しない対策」と「墜落後を想定した準備」
その両方が、安全な作業環境をつくります。



