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高校受験の勉強法【理科編】ノートの取り方、暗記で大丈夫?

杉山健司

杉山健司

高校受験において理科の重要性が注目されています。どのような勉強法ですすめていくことで内申点や試験での得点を得ることができるのでしょうか?ノートの取り方や、暗記の仕方などについてご紹介します。


昨今の高校受験における理科の傾向

理科は5教科の中でも扱う分野が多彩です。植物や動物を扱う「生物」、光や音、電流や磁界、エネルギーを扱う「物理」、気体の性質や密度、物質の化学反応などを扱う「化学」、そして、火山や岩石、天気や宇宙などを扱う「地学」。扱う分野が多岐にわたり、各分野がカバーする範囲も広いのが理科という科目の特徴です。



「理科は暗記科目」といわれますが、新しい学習指導要領は知識・技能と共に思考力・判断力を重視しており、図や表を読み取って問題を解く「読解力」が求められるようになっています。

出題傾向

2022年度の大分県公立高校の理科入試問題は、大問5問で構成され、生物、化学、物理、地学の各分野から、学年・分野に偏りなく出題されています。選択問題、文章記述問題もあり、毎年難問といわれる資料やグラフからの読み取り問題もありました。

大問1は植物、配点は10点(生物)。大問2はイオン、配点10点(化学)。大問3は電磁誘導、物体の運動、電力、配点10点(物理)、大問4は天体、配点10点(地学)。そして、大問5は小問集合で光、進化、化学反応、天気と各4分野から5点ずつ計20点でした。合計60点満点です。

点数獲得のポイント

上記は「科学的な思考力・表現力など理科としての総合力をみること」「出題に当たっては、学年、分野・領域のバランスをとるとともに、観察・実験の結果を分析して解釈する力、文章、図、グラフ等により表現する力などを十分みる」(「各教科ごとの出題方針」大分県ホームページ)という出題方針に沿ったものです。大分県の理科の入試問題は、はやくから思考力を見る問題が出題されています。

この出題方針を見れば、理科を簡単に暗記科目とはいえませんが、理科は覚えるべきことを覚えていくことで点数を稼ぐことができる科目でもあります。

理科の勉強法

理科の問題は暗記系と理解系に分けることができます。例えば「青色のリトマス紙で酸性は何色になりますか」という問題に正解を出すには、「青色のリトマス紙で酸性は赤」と暗記しておけばいいわけです。ここではその「しくみ」は問われていません。

しかし、例えば「物質の状態変化」について、「氷、水、水蒸気はそれぞれ何という状態ですか」という問題に対しては、「固体、液体、気体」と暗記系で正解が出せますが、「氷⇔水⇔水蒸気の状態になるのはなぜ?」という問題には、暗記だけではなく「冷却」と「加熱」という語を覚えるとともに、その理解も必要になります。

理科の問題を暗記系、理解系に分けた場合、その割合はどのくらいになるかというと、暗記系が8割、理解系が2割といえるでしょう。

理科で高得点を取るには「覚えること」が大切です。暗記は「ただ暗記してもしかたない」など否定的に捉えられることもありますが、基本的なことを覚えておかなければ、問題が何を答えさせようとしているかを理解することもできません。

中学の理科の勉強法を見ていきましょう。

生物

生物は暗記系の分野といえます。

学習の内容は大きく分けると「生物(植物・動物)の分類」「生物(植物・動物)のからだのつくりとはたらき」「進化と遺伝」です。

生物には耳慣れない用語・単語が出てきますが、例えば「つくり」を示す用語、「はたらき」を示す用語を自分で図を描くなどしてイメージと一緒に覚えていくことがポイントになります。自分で図を描くと記憶に残りやすくなりますし、ノートにまとめておけば復習に役立ちます。

化学

化学も暗記系といえます。元素記号、化学式など基礎的なところはしっかり覚える必要があります。

試験には元素記号を暗記していることを前提とした問題が多く出題されます。化学式はその表し方の決まりごとを理解しておくと、より効果的に暗記できます。
また化学では実験器具の使い方、手順なども出題されます。実験の図を描き、そこに、手順、実験結果を書き入れていくと覚えやすくなります。

物理

物理は覚えなければならない法則や公式がたくさんあります。

ただ物理の場合、公式を覚えるだけではなく、その意味を理解することが大切になります。その方法として一番効果的なのは、やはり実際に問題を解いていくことです。たくさん問題を解くことで、公式の意味が理解できるようになります。そうした基礎固めをしっかりしたうえで応用問題にチャレンジし力をつけていくことが大切です。

地学

地学も暗記系の分野で試験では暗記量がものをいいます。

例えば、火山・地層なども自分で図を描きながら覚えるとよいでしょう。また地学には天体の動きや地震などの計算問題があります。地学の計算問題を解くためには公式を覚えておく必要がありますが、時間や空間の広がりをイメージしながら覚えることがポイントになります。

教科書や参考書を見るだけではなく、自分の手を動かしながら覚えていくとよいでしょう。

ノートの取り方

中学の学習は、理科に限らずどの教科もきちんとノートを取ることが大切です。ノートの取り方に決まりごとはありません。人それぞれ、自分なりの仕方でいいわけですが、ここでは原則的な方法をお話ししたいと思います。

1.方眼やドット入りのノートを使う
理科の学習では、上の「理科の勉強法」でお話ししたように図やグラフを描くことが大切です。手を動かすことで記憶しやすくなるからです。そのため、理科のノートには、方眼ノートやドット入り罫線のノートが適しています。

2.タイトルや見出しを記入
ここでいう「タイトル」とは単元名や実験の名前です。「見出し」とは、例えば「化学式」や「実験の手順」など、その授業で習う項目です。そのうえで先生が板書した内容をノートに取っていきます。

3.板書だけではなく先生の発言をメモする
板書を書き取るときは、板書の丸写しだけではなく、先生がいったことをメモっておくとあとで役立ちます。
「ここ重要だよ」とか「試験に出やすいところ」など、勉強や試験に関係することに限らず、雑談も「面白い」と思ったり、「へえそうなんだ」と思ったことをメモっておくと授業の内容を思い出すのに効果的です。

4.マイルールを作る
ノートを取る時の自分なりのルールを作っておくと、「自分にとってわかりやすい」ノートになります。

すでに知っていたことには「チェック」印を入れる、はじめて知ったことには花マルをつけるなど、自分なりのルールを作ってノートを取ります。マーカーの使い方も、自分なりの色分けルールを作っておくと見やすいノートになります。

5.余白はたっぷりとる
ノートは思い切って余白をとることをおすすめします。あとで書き込むスペースをとっておくわけです。

例えば、ノートに記しておいた化学式「H2O」に、あとで「水素原子が2つ」など、化学式の作り方で理解したことを書き入れます。あるいは「試験に出た」など気づいたことを書き入れていきます。

ノートは「あとで役立つ」ように取ることが大切です。最初からノートを上手に取るのは簡単ではありませんが、自分なりのノートの取り方が見つかると楽しくなります。
理科は、分野ごとに苦手な単元ができる傾向がありますが、ノートを取る楽しさからその単元の苦手意識が薄れることも期待できます。

暗記のコツ




国語で漢字を覚えるには、何度も書くことが一番効果的です。漢字をたくさん覚えると「部首」とつくりの関係がわかってきて、知らない字でも読めるようになりますし、書くことも容易になっていきます。

この方法は理科の暗記にもあてはまるところがあります。例えば化学式をいくつも覚えることで、化学式の表し方の原則がわかってくると暗記量が大幅にアップします。

理科の暗記の基本は、まず基礎的な事柄を覚えることです。「一問一答」形式の教材がありますが、短い時間でもテンポよく学習ができるため暗記には効果的です。「一問一答」で知識量を増しておくと、理解も深まり、記憶も確かになります。

暗記は、まず重要な語句、教科書の太字レベルから始めることが大切です。その際、教科書に載っている写真や図と一緒に覚えることをおすすめします。写真や図のイメージと一緒に覚えるということです。

また理科には、沸点、融点、溶媒、虚像、実像、被子植物、孔辺細胞、震源、活断層など、分野ごとにさまざま用語が出てきます。こうした用語を漢字で書けるようにするのも暗記に効果的です。

脳の記憶という働きは、3つのステップから成り立つとされています。脳が入力された情報を受け取る「記銘」、記銘されたものを忘れずに保つ「保持」、そして、必要に応じて呼び出す「想起」の3ステップです。「記銘→保持→想起」、このうち「想起」は勉強の復習にあたります。暗記を確実なものにするには定期的な復習が必要です。

はじめにお話ししたように、高校入試の理科の問題は、知識だけではなく思考力や判断力を重視するようになっています。そのため暗記だけでは解けない問題がありますが、暗記することで理解度を増し、そのうえで思考力や判断力が必要になる問題に取り組むというプロセスが大切です。

受験前は問題集で知識の定着

最後に受験前の勉強についてお話ししたいと思います。受験前に大切な勉強は、問題集で知識を定着させることです。

しかし、中学の理科は4分野あり、各分野で学習する範囲も広く、理科の全単元を最初からやるのは大変です。問題集を活用するコツは、まず、中学1年から中学3年までの教科書から、自分が理解できていないと思う単元を書き出し、その単元に集中することです。

中学1年の最初からやり直すことも有意義ですが、受験前の勉強としては効率が悪い方法です。一度、自分が理解できていない単元、苦手な単元を書き出して整理し、その単元に集中するほうが、意識的な勉強になり、効果も高くなります。

もう一つ大切なことは、問題集には単元ごとの要点をまとめた説明が載っています。そこをまずじっくり読むことです。問題集を前にすると、すぐ問題に取りかかりたくなるものですが、問題集は各単元の要点の説明、その説明をふまえた例題と解説、そして類題という流れになっています。

成績向上の第一ステップは、自分が勉強する単元の内容を理解することです。そのためには要点をまとめた説明を、「絶対に理解して覚えるぞ」という気迫で熟読することが大切です。この努力に時間とエネルギーを注ぐことが、問題集を有意義に活用することになるのです。

実際に問題集の要点をまとめた説明を熟読してから問題に取りかかると、理解がぐっと深まります。受験前はなおのこと「単元の要点をまとめた説明熟読→例題→類題」というステップを踏み、効率的に勉強するよう心がけることが大切です。

おススメ問題集10選

中学の理科のおすすめできる問題集をあげておきます。
・「全国高校入試問題正解 理科」旺文社
全国47都道府県の公立高校とおもな国立・私立、高等専門学校の入試問題が収録されています。

・「きちんとこれだけ公立高校入試対策問題集 理科」旺文社
受験で確実な得点につながる「標準問題」のみを厳選収録した1冊。

・「わかるをつくる中学理科問題集」(パーフェクトコース問題集)学研プラス
中学理科の全分野の要点まとめ、基本問題・実戦問題で構成されています。

・「教科書ワーク理科」(中1、中2、中3)文理編集部
学校の教科書の内容に沿った問題集です。

・「実力アップ問題集」(中1、中2、中3)シグマベスト文英堂
基礎からまんべんなく力を伸ばせる問題集です。

・「高校入試 入試問題で覚える 一問一答 理科」旺文社
 高校入試の過去問を基にした一問一答形式の問題集です。

・「高校入試 パターン別攻略 理科」数研出版
 過去問から出題傾向をつかみ、実践力を強化する問題集です。

・「自由自在問題集 理科」受験研究社
中学3年間の学習内容を総復習できる問題集です。

・「最高水準問題集 高校入試 理科」シグマベスト文英堂
ハイレベルな問題にチャレンジしたい人向けの問題集です。

・「ハイクラステスト理科」受験研究社
教科書レベルから難関入試レベルまで揃えた問題集です。

まとめ

中学の理科の問題は、暗記系、理解系に分かれます。しかし、理解系の問題でも覚えるべきことを覚えていなければ、そもそも問題を理解することができません。

暗記系8割、理解系2割という理科の特徴を考えれば、やはり覚えること、暗記に力を入れる必要があります。

「暗記が苦手」という生徒でも、同じ問題を繰り返すことで、覚えるべきことが身についてきます。あとは覚える範囲を広げ、暗記量を増やすことです。暗記量が増えれば理科の試験の得点が上がります。その意味では、理科は得点アップを狙いやすい科目でもあるのです。

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杉山健司
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杉山健司(学習塾講師)

杉山学習塾

生徒一人一人の個性にあわせて『勉強の処方箋』を用意する、きめ細かな個別指導を行っています。的確な指導で勉強の楽しさを知り、学習意欲が備わった生徒はどんな勉強をしたいかを自発的に考え、急速に成長します。

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