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工業デザインを意匠権で保護するテクニックを解説します

2021年1月6日 公開 / 2021年2月26日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

意匠権とは

製品の外観デザインは意匠権により保護することができます。
意匠権の保護対象となる意匠は、物品の形状、模様、色彩やこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます。
意匠権を取得するには、特許庁に対して製品の六面図等が記載された書類を提出し、特許庁の審査官による審査を経て登録査定となる必要があります。
意匠権を取得すると、出願日(特許庁に書類を提出した日)から最長25年の保護を受けることができ、他社の製品の意匠が意匠権の意匠と同一または類似する場合には販売差し止めや損害賠償請求を求めることができます。
また、物品全体の意匠だけではなく、製品の一部分についても意匠権で保護することができます。


工業デザインに関する意匠制度活用事例集 - 中部経済産業局より

意匠権を取得するメリットは

意匠権を取得する最大のメリットは、独創的なデザインが施された製品がヒットしたときに他社に似たようなデザインで追随されにくくなることです。
他社によるデザインの模倣が遅ければ遅いほど自社製品の認知度が高まり、製品や企業のブランド構築につながります。
とりわけ、資金や人材等のリソースが限られる中小企業にとっては、自社独自の製品についていかにブランド構築していくかが大事になってきますが、その際に役立つのが意匠権等の知的財産になります。
また、意匠権により製品のデザインだけではなく技術的特徴やコンセプトを保護することができるケースもあります。
先ほども述べましたように製品の一部分のデザインについても部分意匠により保護することができますが、自社の様々な製品群で共通するコンセプト等についてはこの部分意匠を活用することにより製品コンセプトを他社に真似されないようにすることができます。

グッドデザイン賞獲得と意匠権取得の併用によりブランド構築を

独創的な工業デザインについては、グッドデザイン賞に応募することにより受賞することも検討すべきであります。
グッドデザイン賞は世界4大デザイン賞の一つともいわれ、受賞すると社会を導く「よいデザイン」であることを人々に伝えることができ、受賞作のアピールや企業のイメージアップに役立ちます。
なお、最近では工業用デザインだけではなく、サービスのコンセプト等についてもグッドデザイン賞を受賞するケースが増えています。
グッドデザイン賞は意匠権とは異なり他社の模倣を防止する機能はありませんが、ブランド構築には大いに役立ちます。
このため、他社によるデザインの模倣を防ぎつつ自社製品のブランド力アップを目指すためにも、グッドデザイン賞の獲得と意匠権の取得の両方を目指すのが望ましいといえるでしょう。

2020年グッドデザイン金賞


2020年12月26日の大分朝日放送マイベストプロファイルに出演しました。
是非動画もご覧ください。

この記事を書いたプロ

加島広基

特許出願から知的財産に関するアドバイスまで、知財のプロ

加島広基(INCULABO(インキュラボ))

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