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珈琲ブレイク:スマホやパソコンでの空間オーディオ

利光哲哉

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スマホの音質、気にしたことありますか? 6800円で購入したmoto g64y 5GにはDolby Atmos(ドルビーアトモス)が搭載されています。日常使っているXiaomi Poco F7 Ultraには、映画用ですがAIスーパーシネマ(3Dサラウンドステレオサウンド)が搭載されています。

Dolby Atmosの機能は、米国のドルビーラボラトリーズが開発した立体音響技術です。従来の左右や前方・後方からの音に「高さ」の情報を加えることで、まるでその場にいるかのような没入感のある三次元的な音響空間を創り出します。
Dolby Atmosの音楽データと、CDや一般的なストリーミングで聴く音楽(ステレオ音源)との最も大きな違いは、音の作り方と聴こえ方にあります。一般的な音楽データが「平面的な絵画」だとすれば、Dolby Atmosの音楽データは「立体的な彫刻」のようなものです。

1. 音の作り方:「チャンネルベース」 vs 「オブジェクトベース」
①一般的な音楽データ(チャンネルベース):
音楽を制作する段階で、すべての楽器やボーカルの音を「左」と「右」の2つのスピーカー(チャンネル)に割り振ってミックスします。完成した音源は、どの環境で再生しても、その決められた左右のバランスでしか聴こえません。5.1chサラウンドなども、このチャンネル数を増やしたものになります。
②Dolby Atmos(オブジェクトベース):
各音(ボーカル、ギター、ドラムなど)をそれぞれ独立した音のオブジェクトとして扱います。そして、ミキシングの際に、それらの音を仮想的な3D空間の「ここ!」という任意の位置に配置します。データには「この音は、この位置から鳴らす」という位置情報(メタデータ)が記録されます。

2. 音の聴こえ方:平面的 vs 立体的
①一般的な音楽データ:
音が左右のスピーカー(またはヘッドホンの左右)から聴こえてくるため、音の広がりは平面的です。
②Dolby Atmos:
高さの概念が加わるため、音が頭上を通り過ぎたり、後方から回り込んできたりと、まるでライブ会場やスタジオにいるかのような没入感を体験できます。アーティストが意図した通りの音の位置や動きが、より忠実に再現されます。
【Dolby Atmos:】https://www.dolby.com/ja/technologies/dolby-atmos/
ということで、仕事用のデスクトップパソコン(Windows11)にも、Microsoft ストアでDolby Access(Dolby Atmos for Headphones)を購入してインストールしました。 Windows11には、立体音響の仕組みとして、Windows Sonic for Headphonesが標準搭載されています。

a. Windows Sonic for Headphones:
Windowsに標準で搭載されている無料の立体音響技術です。手軽に立体音響を試すことができます。
b. Dolby Atmos for Headphones:
Microsoft Storeから専用アプリ(有料)をインストールすることで利用可能になります。より高精度で多くのコンテンツに対応しており、特に映画との親和性が高いとされています。
c. DTS Headphone:X:
こちらも専用アプリ(有料)のインストールが必要です。Dolby Atmosと並ぶ主要な立体音響技術で、特にゲームにおいて高い評価を得ることが多いです。

Dolby Atmosの機能を生かすためには、空間オーディオに対応した音楽データが必要になります。Amazon Music Unlimitedでは、Dolby Atmos と 360 Reality Audio (ソニー開発)が採用されており、「空間オーディオ」などで検索することが可能です。
パソコン版のAmazon Music Unlimitedには、Dolby Atmosの機能が内蔵されているため、パソコン側の立体音響はオフにして、音楽を聴きます。聴くときは、ヘッドホンが必須です。Amazon Musicアプリは、接続されているのがステレオスピーカーだと認識すると、Dolby Atmosの多チャンネル音源をリアルタイムで2チャンネル用に最適化した「ステレオダウンミックス」を再生します。ヘッドホンとスピーカーでは、立体音響を実現する仕組みが根本的に異なります。
・ヘッドホン:
左右の耳に直接音を届けるため、音の到達時間や音量を精密にコントロールして脳を「錯覚」させ、仮想的な3D空間を作り出す「バイノーラル技術」が非常に有効です。Amazon MusicアプリやDolby Accessはこの技術を使っています。
・ステレオスピーカー:
スピーカーから出た音は、部屋の中で左右の音が混ざり合ってから耳に届きます(クロストークと言います)。このため、ヘッドホンのように脳を精密にコントロールすることができず、仮想的な立体音響の再現は極めて困難になります。

したがって、PCとステレオスピーカーという環境でDolby Atmos音源を再生した場合、Amazon Musicアプリは立体音響を再現しようとはせず、最も音質が良い方法としてステレオダウンミックスを選択して再生します。
通常のステレオ音楽(YouTube、Spotify、CDなど)を聴く場合は、Windowsの立体音響 (Dolby Access)をオンにすることで、ステレオ音源を仮想的にサラウンド化します。音が広がるように感じられますが、あくまでシミュレーションです。
Dolby Access(Dolby Atmos for Headphones)が最も効果を発揮するのは、対応しているPCゲームをプレイする時や、映画を観る時です。これらの用途では、オンにすることで非常に高い没入感が得られます。

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利光哲哉(DXコンサルタント)

利光コンサルティング

約40年のIT実務経験と大学での教育・研究実績を基に、生成AIをスマホ等で活用するなど中小企業のDXの最初の一歩からを支援。社員が主役の業務改革を支援します。企業に「テクノロジーの民主化」を!

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