充実感と赤鉛筆の関係
皆様の職場では働き方改革が進んでいますでしょうか。
いわゆる働き方改革関連法は、実質的には2019年4月から改正施行されています。いよいよ2024年度からは、これまで猶予されていた運送業や勤務医にも時間外労働の上限規制が適用されます。法令順守はもちろんですが、人手不足の影響もあってどの事業所でも働き方改革に取り組まなければ生き残っていけないという状況に変わりはありません。
今から約30年前の1992年(平成4年)に大学を卒業し、東京都内の老舗百貨店に入社した私は晴れて社会人となりました。バブルも終焉を迎えていた頃ですが、世の中はまだまだ賑やかだったように覚えています。
ちょうどその年にある法律が制定されます。「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」
いわゆる「時短促進法」と呼ばれるこの法律に、初めて年間総実労働時間1,800時間という目安が明記されます。それから時短に向けて様々な法改正が進められてきました。
確かにこの30年間で働き方に関する法律は大きく変わりました。しかしながら、想定どおりに労働時間は減っていません。昨年度、過重労働が原因で死亡するなどして労災の請求があったのは全国で3,486件。これは過去最高を記録しています。労働時間は減るどころか人手不足も相まって一向に無くなっていないのが現状なのです。
一体なぜでしょうか。私は決定的な原因が2つあると確信しています。
特に(私も含めて)シニア世代は時間の長さだけで課題を解決することに慣れ過ぎています。男性(夫)が職場で長時間働き、その給料で家族が生活をする。一方で女性(妻)は家庭を守る。まさに「男は仕事、女は家庭」今ならこんなことを言うと大問題になりますが、平成の頭ぐらいまでは当たり前の光景だったと思います。
確かに時間の長さ(量)は価値に変わります。高校野球でも週に1回だけの練習で甲子園に出場しようというのは、いくら練習を効率化しても無理があります。しかしながら、それ(時間の長さ)は長期間に及ぶ時間の長さであって、徹夜で勉強しても身に付かないのと同じ。
そして、体力や集中力には限界があるので「長時間を長期間」では逆に生産性は上がりませんし、時間の長さだけで課題を解決するのに工夫は必要ありません。ただ、体力勝負というだけ。
30年以上も法改正してきて、労働時間が思うように減らなかった原因はこの「時間の長さだけで課題を解決できる」という思い込みにあると確信しています。
ちなみに、もう1つの原因は時間の使い方(タイムマネジメント)を学ぶ機会が無かったから。なるべく早めにその機会を設けることで、1つ目の思い込みも作られないので一石二鳥です。
働き方改革と労働生産性はセット。そのためにはタイムマネジメントを知らないと進まないというわけです。