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高齢者の「安心して生きる」と「想い通りの最期を迎える」を支える終身サポート事業を展開

高齢者の課題解決をトータルでサポートするプロ

茶屋元崇行

茶屋元崇行 ちゃやもとたかゆき
茶屋元崇行 ちゃやもとたかゆき

#chapter1

「おひとりさま相談室」を開設。多職種のネットワークで本人の希望を実現

 大分、別府、豊後大野エリアで葬祭場などを運営する「ファイン」の統括本部長・茶屋元崇行さん。年間で1000件を超える葬儀を執り行うとともに、一人暮らしの高齢者に向けた終身サポート事業を展開しています。

 「独居老人や孤独死の増加が問題になる中、私たちも一人寂しく亡くなられる方を何度も目にしてきました。元気なうちから一緒に人生のゴールを考え、準備をお手伝いするためJR大分駅南口にあるコレジオ大分ビル2Fに『おひとりさま相談室』を開設しています。24時間・365日、フリーダイヤルやメールで問い合わせができ、ご本人やご親族、医療・福祉関係者様のご相談もご利用いただけます」

 地域包括支援センター、社会福祉協議会、医師会、士業などとチームを組み、医療や相続、不動産など幅広い分野をフォロー。茶屋元さん自身も社会福祉士、身元保証相談士、宅地建物取引士であり、看護師資格を持つメンバーも在籍しています。

 「病院の付添や買物支援、入院・入居時の身元引き受け、生活を支援する任意後見契約、葬儀や納骨のプランニングなどもいたします。事前に備えることで、不安を安心に変え、充実した日々を過ごしていただきたいですね」

 亡くなった後の遺品整理、健康保険証や運転免許証の返還、年金、公共料金の解約手続き、SNSアカウントの削除、ペットの飼い主探しといった行政では手が届かない部分もカバー。万一、自社が破綻しても、利用者の財産が失われないよう預かり金は信託口座で管理しています。

 高齢者を見守り、社会課題の解決を目指す仕組みが評価され、2024年に大分商工会議所の「おおいたビジネス オブ ザ・イヤー」にも選ばれています。

#chapter2

子ども食堂への寄付など、遺産の使い道で意志を示し“生きた証し”を残せる

 茶屋元さんは地元の岩田学園中学・高校を経て法政大学法学部法律学科に進学。当時から街づくりに関心を持ち、社会起業や政策提言、市民活動(NPO)などを学びました。

 大学卒業後は地元に帰り、市民の生の声を聞こうと記者として大分合同新聞社に就職しました。

 「程なくして、仕出し弁当店を営んでいた父が葬祭事業を始めると聞き、力になるべく株式会社ファインに転職しました。当時、都市圏では既に、親族など限られた人が集い、出費や精神的な負担を抑えられる家族葬や直葬が普及し始めていましたが、大分ではまだ知られていませんでした。シンプルな料金体系と温かみのある“お別れ”を広めたいとも思っていました」

 現在は宅地建物取引士として相続不動産の利活用を提案するほか、浄土真宗本願寺派教師としても活動。寄付や社会的投資が進む世の中を目指す社会福祉ファンドレイザーとして社会福祉の活動資金を調達する取り組みも行なっています。

 「単なる資金集めではなく、社会課題を認知させ、支援者を巻き込みながら各団体の成長を支えるのが私の役割です。本人の遺産も同様で、相続人がいなければ国に帰属しますが、自身の意志を示し“生きた証し”を残すことも可能です。例えば子ども食堂の組織や里親の活動を続ける団体に財産を寄付された方がいました。終活は人生の終点を意識するだけでなく、新たな地域とのつながりを生む起点にもなります」

茶屋元崇行 ちゃやもとたかゆき

#chapter3

「利用者の自己決定権を尊重し、遺志を尊重し実現すること」を使命に活動

 茶屋元さんにとって仕事における信念は「本人の自己決定を尊重し、遺志を実現すること」。これまで経験した二つのケースが、特に自身の糧になっていると話します。

 「家族と十分に話し合い、完璧に終活を進めた方がいました。息子さんと一緒に相談に来られ、デリケートな事柄を避けることなくやり取りされていました。葬儀後、息子さんから『自分たちは父の想いを果たせました。あの時の会話は切なく、しんどかったけれど、正面から向き合えて良かった』と、声を掛けていただきました」

 もう一つは末期がんを患った身寄りの無い高齢者からの依頼。茶屋元さんが案内した寺院の永代供養の墓に入りたいと希望していたが、契約が間に合わずに亡くなってしまいます。

 「全てを当社に任せたいとおっしゃっていただきましたが、契約が成立するまでは病院や施設の担当者、ケアマネジャーも葬儀社を手配できず、私も勝手に動けませんでした。残された財産は国に保全され、保健所で火葬のみのお別れとなりました。願いをかなえられず、本当に悔しかったですね」

 個々が望む締めくくりに向けて伴走する役割を訴求し、地域福祉に貢献することで業界の社会的価値を向上させたいと考えている茶屋元さん。「これからもシニアのQOL(生活の質)の向上や、エンディングの満足感・納得感を高めることに努めてまいります」と力を込めます。

(取材年月:2025年3月)

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茶屋元崇行

高齢者の課題解決をトータルでサポートするプロ

茶屋元崇行プロ

葬儀

株式会社 ファイン・みんなの後見センター

24時間・365日対応で日々の生活やエンディングに向けた準備を支援。社会福祉士や看護師が常駐し、行政書士、地域包括支援センター、社会福祉協議会、医師会などと連携して高齢者が安心して暮らせるよう助ける。

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