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コラム

進化する流通業界と今後の展望 通信販売業界はどのように進むのか? 展示会・関西物流展の視察からみえた技術の進化と課題

2023年5月9日

テーマ:最新レポート 通販を取り巻く環境

コラムカテゴリ:ビジネス

関西物流展
2023年4月10~12日開催 場所:大阪市 インテックス大阪

物流・倉庫業務に必要な最新の設備・機材などが一堂に会した展示会です。
オートメーション、無人などを実現するロボットやコンピューター、システムなどを出展しており人手不足が叫ばれている次世代の運送業務をイメージできる展示会となっております。
今回はこちらをいろいろと取材させていただき、そこから得られた情報をもとに運送業界が抱える課題と展望についてまとめております。
後編では自動化が進む大手倉庫出荷・在庫管理にどのように中小業者が対応・対抗していくのかをまとめます。



運送の自動化は当分先


荷積み・荷下ろしの点ではドライバーの負担は和らぐことが予想されますが、長距離ドライバーの長時間労働抑制による2024年問題に代表されるように、運送業界では人手不足が深刻化しております。
ですが、運送に関する自動化は技術的に開発されておらず、
技術開発(LEVEL4)は開発目標 2025年 LEVEL5は未定です。
インフラ整備も欠かすことが出来ず、すべての個所の安定且つ高速通信環境の整備
責任・管理に関する法整備なども開発状況・環境次第でまだまだ流動的に検討をする必要があり事前準備で何とかなるような話でもありません。

技術を開発できても一般的に普及されるまでには主要高速道路でおおよそ10年以上、その他になれば20年規模先の話と見たほうが良いかと思います。
運送の価格が急激に下がることは考えづらく、多少の運送規模差ならほぼ同等の運送条件を持っていると考えるべきです。激安運送料金を示している場合は倉庫作業費で埋め合わせしているか資金注入をしているとみてもよいかもしれません。

入荷から梱包までの費用をどう見るか


自社出荷と外部倉庫出荷では主に以下3つの点で比較する必要があります。

〇倉庫管理費

自社倉庫を構えてする場合と比較します。
自社倉庫の費用は 主に倉庫取得費用(賃貸の場合は賃料)、機材代、維持費
外部倉庫の費用は 月額倉庫代・在庫費ですが、事務所・倉庫一体の場合は事務所代を加算

自社倉庫の場合初期費用が掛かるのが特徴です。
倉庫・機材代は減価償却費で計算になります。電気代・水道代などの維持費を加算して計算します。
外部倉庫の費用は 月額倉庫代・在庫費ですが、事務所一体型の自社倉庫の場合は外部にすべてを預けてしまう場合は事務所の費用が新たにかかってしまうため、事務所賃料(取得時は減価償却分)を加算する必要があります。
(一部預ける場合、倉庫を新たに取得する場合を除く)

〇入荷・出荷作業費

自社倉庫の費用は 人件費(出荷従事時間)、資材代、+運賃
外部倉庫の費用は ピッキング費+運賃

人件費に関しては出荷従事時間で計算します。また常時従事作業員と、パートなど非従事作業員の費用をある程度しっかり計算しましょう。
運賃と合わせて検討する必要があるのは、運賃を安く見せるためにピッキング費用のつけ方を工夫している倉庫会社もあるので、トータルで考える必要があります。

〇運送費

主に運送メニューの比較
特別な契約をしなくても安く発送できる発送メニューもあります。(レターパックプラスなど)
自社発送の場合はこのメニューで発送することも出来ますが、外部倉庫の場合はこういった発送メニューを利用できる場合はほとんど見受けられません。
特にメール便系の発送メニューがどのくらいしっかり使えるかどうか、自社では出来て外部の場合使えない場合は価格差が大きいため注意が必要です。

まとめ

倉庫管理費、入荷・出荷作業費、運送費を合わせて検討する必要がありますが、商品サイズ・販売方法でおおよそ向き不向きを検討することも出来ます。
〇商品が小さい場合←自社倉庫向き 外部倉庫向き→商品が大きい場合
〇セット・複数販売が基本←自社倉庫向き 外部倉庫向き→1個売りが基本の場合

自社倉庫のメリットとしては
運送メニューを選びやすい、状況に応じた発送方法ができる、ピッキングが費用を気にせずできることが挙げられます。発送方法が固まっていない場合や、数量などで発送方法が変わる場合などでは自社倉庫から発送するほうがよいでしょう。

外部倉庫のメリットとしては
費用がわかりやすく計算できる、大型商品を比較的安価に預けられる、発送方法が固定されているものなら安く送れることが挙げられます。
〇ピッキング代などのオプションがとにかくネック
商品が1個の発送であれば外部倉庫の発送が有利です。
問題は複数個販売できたときに、ピッキング代が非常に高い場合が多いことです。
2個以上の場合に1個当たり50~80円追加料金が必要なことが多く、複数販売できた時に発送費が跳ね上がっていき、利益を大きくひっ迫します。
この問題があるのでメール便の対応ができたとしても複数個口入れたときの1通あたりの運賃が自社発送よりはるかに高い金額をつけることも多くあります。

この記事を書いたプロ

小寺淳一

個人や小規模事業者のEC開設・運営を支えるコンサルタント

小寺淳一(マーブルライフ)

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