通信販売は送料無料でないとだめなのか?実際のデータを使った検証 通説の間違いと、送料無料と客単価をどう掛け合わせるか

小寺淳一

小寺淳一

テーマ:通販で商品を売る

通販で盛んに言われているのが「送料無料」のキーワード。
Yahoo!ショッピングでは「送料無料」対応をどの割合でしているかで「優良店」判定の一つにもなっており、また楽天では39ショップ制度があり、実行店では3900円に到達すれば送料を無料にする施策を行っています。 
では送料無料は果たしてどのくらい効果があるのでしょうか?筆者のショップデータをもとにまとめております。(具体的数値は出せませんが、平均の+〇%という形で記載いたします)



通信販売には売上の方程式といわれるものがあり、
 売上金額 = 「アクセス数」 × 「転換率」 × 「客単価」
これに当てはめるとおおよその売り上げが予測できるようになります。
 例: アクセス10,000 × 転換率10% × 客単価3,000円 = 3,000,000円
こちらに当てはめて検証をしていきます。


送料無料商品の購買状況

筆者のショップでは商品無料にしている商品は約3割あります。
している商品の傾向としては、2000円以上のやや高めの商品、セット商品、値付けに事情(競合状態・メーカー希望)のある商品などです。

〇転換率について

転換率はお店に「アクセス」した人が「購入」に至った確率です。こちらが高ければ購入してもらいやすいという数値になります。

送料無料商品に絞った場合、筆者のショップの転換率平均値は

 全体の転換率 +4% (3月速報数値)

となっておりました。
転換率で言うと送料無料にしたほうがアクセスしてきたお客様が買いやすいという結果になります。

〇送料無料商品の平均購買数

転換率が高く客単価が伸びるのが理想ですが、客単価を上げる際に大事なのが購買数です。
お客様一人がその商品をいくつ買ったかの数値です。
送料無料商品に絞った場合、筆者のショップの購買数平均値は

 1.17個(3月速報数値)

となっておりました。複数個をセットした商品も混じってはいるので実際に動く商品数はもう少し多いですが、1個・1セットなどほとんどの場面で1ずつ動くことになります。
ちなみに送料有りの商品の場合、同条件で3.2個なので、圧倒的に少ない結果となっております。

〇なぜ購買数が伸びないのか?を考察

送料無料時の転換率が高いということは、購買決断に至る支払い時の安心感が高いことが言えるかと思います。送料計算など余計な心配をせずに購入できるのはやはり大きいことといえるでしょう。ただし購買数に限っては安心感が裏目に出て、複数購買の意欲が削がれる、顧客心理としてスモールシンキング(小さな思考)になってしまうことが考えられます。


送料無料商品のまとめ 転換率UPには向くが・・・

送料無料商品のデータからの結論として、購入を決断する後押しになることは間違いないとみてよいかと思います。ただし、客単価の面からみると、購入数が限りなく”1”に近づく負の側面もあることをきちんと理解しておく必要があります。

客単価を上げるためには?




客単価を上げるためには複数個の購入・もしくはほかの商品との同時購入が大事になってきます。ちなみに複数購入するには買いたくなるような理由が必要です。
買いたくなるような型には3つあり、それぞれ
 「目標型」「必要型」「セット型」 があります。
一例をあげると
1.一定金額以上でプレゼントがつく。→「目標型」
2.いくつか買ったら送料無料になる。→「目標型」
3.2つ目以降が魅力的な価格になる。→「目標型」
4.セットで必要なパーツ・商品が他にある。→「必要型」
5.色違いや種類などがある。→「必要型」
6.お得なセット価格がある。→「セット型」
7.他の商品とセットでお得になる。→「セット型」

「送料無料をすれば売上は上がる」 は本当なのか?

転換率が上がるという意味では間違いではありません。購入者が増えるということは単純に顧客獲得につながりますし、次回以降のリピーター獲得につながりやすいとも言えます。
ですが、大きな問題が二つあります。

〇客単価が上がらない

先のコラムで記載した通り、実際のデータを見比べても複数購入が少なく、購入数量が1に限りなく近づくという欠点があります。理由としてはすでに送料無料なので安心感が売上からは悪いほうに作用してしまい、また「目標」がないため満足して購入活動を終えてしまうからです。

〇2つ目以降が割高に感じる

送料無料で商品を買えるということは商品代+送料代がセットになって表示されているということなので総額がすぐにわかるので非常に安心感があり購入に結び付きやすいのが利点です。 ただ2つ目を買おうとした場合、2つ目以降も商品代+送料代の価格で購入することになります。この場合お得感どころか送料の二重取りをするように感じてしまい、むしろ損をするような感覚すら感じてしまうでしょう。

39ショップシステムが合理的な理由

楽天の39ショップ(3900円以上購入すれば送料無料)システムをすれば売上が上がるというのは、複数買いたくなる「目標型」がしっかり入っているからです。
500円の商品に600円の送料がついている場合、
購入されるお客様にとってよく使うような商品であれば8個買うと送料が無料になるので、1個以上お得という心理が働き3900円を目標にするようになります。
この場合同一商品のみならず、店内のほかの商品を購入する可能性もありますので「客単価」が上がり売り上げが伸びる施策といえます。
(ただし値上げで利益面が苦しくなっているので送料ラインを上げてほしいとは思います)

筆者がここ最近感じることは3900円の目標があっての送料無料が効果があるのであって、
いつの間にか送料無料にすれば売上は上がるにすり替わっていることが通販の運営・経営で危惧しているポイントです。

オススメの送料無料シーン

筆者の送料無料オススメシーンとしては、単価が高い商品・セット組をしている商品、オプションで追加料金・お得な料金体系になっているものが挙げられます。

 目標型の送料無料の使い方

 〇送料無料ラインを決める

自社ショップやYahooショッピングなどは統一送料無料ラインがないので、自店舗で定めることが出来ます。自店の商品販売単価をきちんと勘案し設定するとよいでしょう。
オススメラインは 2000円以下が多ければ5000円、2000円以上であれば商品単価×2~3倍がベストでしょう。

 〇一定数量・金額以上でおまけを入れる

おまけやプレゼントに条件を付けるのも効果的です。こちらも魅力的な(利益を圧迫しない程度の)ものをつけることで複数買いを誘導できるでしょう。

 〇オプションで2つ目以降のお得価格を設定する。

通常時でも効果の高い方法ですが、商品自体に送料無料設定がついている場合は先述にもある通り2つ目以降に商品代に送料代が乗っていることがネックになります。この場合少々の値引きでも効果はありますが、できるのであれば送料代に相当する分を値引きすると効果は高いでしょう。

 必要型の送料無料の使い方

 〇単価の高いもの

商品の話題性や認知度にもよりますが、転換率が低めのものが多くなります。この場合利益が十分にあれば送料無料で転換率を上げて売上UPを目指すのもありだと思います。

 〇関連商品の有料オプションを設定する

メインの商品にプラス必要なものであれば追加で購入し客単価を上げることにつながります。送料無料で転換率が上がっているので積極的に商品を見せていきましょう。

 セット型の送料無料の使い方

 〇同一商品・色違いなどを複数個セットする

送料無料設定で一番見受けられる内容で、設定した複数個商品が売れるので客単価を上げやすくなります。 ただしSKUシステム(AMAZONで導入されている同一店同商品在庫共有システム)がないモール・販売システムの場合、1個売りとセット売りが別商品扱いされるので、商品検索への分散影響が出てきます。

送料無料の理解について まとめ

転換率が上がるので送料無料に設定すること自体は効果があるとみてよいかと思います。ですがとりあえず送料無料という使い方をすると客単価が全く上がらず、送料負担が降りかかり確実に経営を圧迫します。またセット売りのみの対応だと客単価アップの限界があるのと、ページ閲覧や売上が分散するので上位検索にあたりにくくなるデメリットがあります。 送料無料神話のように語られていますが、内容をきちんと理解していないEC担当者や売り込み業者が多く見受けられます。
送料無料を活用しながら客単価を上げる際におススメは「目標型」の目標を複数設定するのがおススメです。複数の目標があると2段階・3段階と目線を上げることが出来ますので大口のお客様がつきやすく、客単価を伸ばすことが出来ます。
しっかりと理解し送料無料を上手に使うことで売り上げを伸ばしていきましょう。

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小寺淳一
専門家

小寺淳一(ECコンサルタント)

マーブルライフ

大手ECモール・自社サイトなどを約8年運営した実績があります。送料や発送、商品開発などのノウハウをもとに、個人や小規模事業者のECサイト開設をサポート。コストを抑えて利益を最大化するコツを伝授します。

小寺淳一プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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