再建築不可物件を見極める
私のホームグランドの佐世保市は、日本の西のはずれ長崎県のさらに西のはずれです。
はずれですが、ハズレではありません!
三方を海に囲まれ、風光明媚な地方都市です。
長崎空港まで1時間、長崎市まで1時間半、福岡市まで2時間。
佐世保市中心街からでも、あっという間に美しい海や山にたどりつきます。
と、観光案内はここまで。
そろそろ、本題に戻ります。
今回は、田舎暮らしを希望されている方に、建築士の視点から、おすすめポイントをご案内します。
このコラムは、田舎が暮らしを模索している方にターゲットを絞っていますが、それ以外の方々にも参考になると思います。
ぜひ、最後までお付き合いください。
まず、佐世保市の都市計画区域図をご覧ください。
地図の下半分に、目につくオレンジの「市街化区域」があり、取り囲むように黄色の「市街化調整区域」があります。
建築主事を置く佐世保市ですが、市街化調整区域が思ったより大きいといえます。
この2地域が「(線引き)都市計画区域」で、地図では佐世保都市計画区域とされています。
地図の上半分に、グレーの「都市計画区域外」があります。
都市計画法では、都市計画区域と都市計画区域外に大別されているのです。
なお、緑の江迎都市計画区域と呼ばれる飛び地と、宇久島都市計画区域の島があります。
「未線引き都市計画地域」です。
市街化区域と調整区域に分ける(線引きする)のが都市計画区域の大原則ですが、現時点で切り分け(線引き)が難しいが都市計画区域に準じた規制を行う区域です。
地図にはありませんが、その名の通り「準都市計画区域」もあります。
詳しい内容は、割愛します。
結論を先に言うと、田舎暮らしに適した区域は「都市計画区域外」です。
都市計画区域に比べ規制が緩く、不動産価格も格安です。
建築基準法の集団規定となる、建蔽率・容積率などの規制がなく、一般的な住宅は建築確認も不要です。
都会からの転入者が自給自足の農園を営んだり、別荘・セカンドハウスとしてリフレッシュの地とするなどに適しています。
対して、都市計画区域は田舎暮らしには不向きです。
「市街化区域」は当然ですが、佐世保市の過半となる「市街化調整区域」もお勧めできません。
調整区域では、転入者が住宅を建てるには、農業委員会の審査を受ける必要があります。
審査に期間も必要ですが、趣味程度の農業では許可を得ることは無理と思われます。
さらに、不動産価格は市街地に近いこともあり以外に高額です。銀行の融資は、逆に厳しくなります。
転売も難しいです。
もちろん確認申請は必要です。
線引き都市計画区域と比較すると、未線引きと準都市計画区域が、都市計画区域ではお薦めです。
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さて、マイホームタウンの佐世保市都市計画区域外のPRを少々。
佐世保市の都市計画区域外は、いわゆる「平成の大合併」の地域です。
合併前はそれぞれに独立した「町」だったので、町の単位ごとに支所があり行政サービスもそこそこ。
中心部には商店もそれなりにあり、郵便局・銀行・病院もあります。
小学校も中学校もあります。子供たちは皆素直で、気持ちよく挨拶をしてくれます。
念のため、都市計画区域外の一般的なデメリットも少々。
・公共交通機関が少なく、車がないと生活が不便になる場合があります。
・仕事の量質ともに都会とは比較になりません。
・地域コミュニティの結束が強く、慣れないうちは人間関係に悩む場合があります。
田舎ならではの不便さは、十分周知のこと。いらぬ心配ですね?
そこで、建築面からの注意事項も少々。
・用水路には排水が出来ないため、流末処理に困ることがあります。
・下水道はほぼないので、浄化槽となります。
・水道は簡易水道の場合もあり、ライフラインは特に事前確認が必要です。
・田舎の業者ほど発信が少ないので、建築会社の選定は難しいと思われます。
閑話休題
都市計画法は、都市の秩序ある整備と発展を図るものです。
すでに都市化が進んでいる区域を基準に、都道府県知事が都市計画区域を指定します。
長崎県の都市計画区域一覧をご覧下さい。
指定区域以外が都市計画区域外となります。
線引き都市計画区域はわずかです。
要するに、県内は「田舎」だらけ?なのです。
未線引きも含めると、県内の多くが田舎暮らしに最適の地となります。
佐世保のPRをしてきましたが、五島、雲仙、島原、対馬などなど。
どこも素敵ですよ!!
雑談に最後までのお付き合い、ありがとうございました。