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小林仁

「物語」のある商品でお客さまの背中を押す印鑑と認定証作りのプロ

小林仁(こばやしひとし) / 記念品オーダメイド

小林印房

コラム

時代の転換点 印鑑からデジタル社会の本人確認へ 電子署名って何だろう!【序章:背景】

2021年4月24日 公開 / 2021年5月3日更新

テーマ:デジタルとアナログの二本柱で次の社会を

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 働き方改革マイナンバー管理

河野行政改革大臣による突然の押印廃止宣言【世の中どうなる!】

2020年9月14日(月)
いつもの様にNHKのニュースを見ながらお昼ご飯を食べていた時
『えっ! 今何って言ったぁ?』
河野行政改革大臣は定例の記者会見で
​民間からの行政手続き約1万5000種類について、
99%以上の手続きで押印を廃止するとを明らかにした。
83種類は存続するものの、「認め印」は全て廃止になる。
存続した83種類は、印鑑証明が必要なものや
登記登録、銀行への届け印などとしている。

NHKアナウンサーは無表情で
淡々とこう伝えた。

『ついに来たか!』

今時代は
アナログ社会からデジタル社会へと
大きな時代の転換点を迎えています。
良い点もあれば混乱や戸惑いもあると思います。
小林印房として創業90年、三代にわたり印鑑作家として
関わってきた
僕の視点で、これから起きようとしている社会変革を
『どう考えたら良いのか』
今現在、僕が理解している内容と背景・展望について
解説したいと思います。

印鑑を押す為に出社しなければなりません。

新型コロナウイルス感染拡大防止騒動で
世の中が緊急事態宣言で大混乱していた同年4月頃
『印鑑を押す為に出社しなければなりません。』
テレワークを阻害しているのは『印鑑の古い習慣です。』
ニュースやワイドショーなどでも大きく取り上げられました。
世論喚起の大キャンペーンの様にも思える程でした。
『そうかもしれないけれど、それだけでなないでしょう!』
というのが僕のその時の率直な思いでした。

1990年頃から世の中は急激にパソコンが普及し始めた

時を戻して30年程前NECのPC9800シリーズのごついパソコンが出現し
Windows95を求めて長蛇の列になって話題となった映像を今でもよく覚えています。
この頃から徐々に徐々に徐々に
場合によっては急速にデジタル社会構想は始まっていたんだと思います。
更に時を戻して
1985年当時、僕はこの家の長男として家業を継いで小林印房の三代目として
生きていくんだと決めた時
その、ひたひたと忍び寄るデジタルパソコン社会への足音を感じることは出来ていませんでした。
この事は、僕の後々の大きな後悔でもあり
一方で、大きなエネルギーの原動力にもなっています。

平成の30年間で世の中は大きく変わった

ありとあらゆる業種・業態・事業・教育の中に
パソコン(デジタル要素)が浸透していった。
WEB検索・メール送信・記録の保存
今まで紙ベースの台帳付け合わせでは到底できなかった
抽出やマッチングが瞬時にできるようになった。
郵便で発送していた文書が写真付きで瞬時に無料で
全国・全世界へと送れる様になった。
文書やファイルを保存できるようになった。
世の中は大きくかわりましたよね!


便利さを享受した社会は
みるみるうちにオフィスの様子も様変わりして
パソコン一人一台があたりまえになり
手で文字を書くことすら珍しい光景へと変わっていきました。

そのころペーパーレス社会の始まりとも言われはじめ
『数年後には紙は半減する』と言っていた有識者も現われました。
自分の職業がいつ世の中から『不要です』といわれても
おかしくないと思える危機感もその頃から抱き始めていた。

しかしながら社会構造は変化しながらも
人々の暮らしの中では
紙文化の目に見える安心感や慣れ親しんだ習慣も根強かったせいか
結果的には紙の消費はさらに増えることとなった。

このことは
急速な変化への抵抗とも思える社会の反応と思えた出来事でした。

同時に起こった機械化と流通の進歩と出現

同時にその頃から印章業界でもパソコンで文字編集して
スピンドリルで彫刻できる印章彫刻機が出現してきました。
これによりアルバイトでも機械操作で【なんちゃって印鑑】が作れる様にも
なった、一方で熟練の職人さんもデジタル的に感性や技術を
注入することで、より独自性のある個性的で職人芸的な印鑑を
作れるようにもなった。

半面デジタルの特性上、複製復元が可能な特性を持つため
社会秩序を保つための倫理観も作り手には求められる様になる。

もちろん多様性もあるので全てがこれに置き換わったわけではない。

更にインターネットと物流の進化によって
これまで地域の商圏として成り立っていた購買習慣が崩れ
激安ネット販売も出現し価格の乱立と共に価値観も多様な選択にもなった。
更に更に100円ショップが全国展開され100円の認印も
認知され消費されるようになり認印を押してあることだけで
本人と推測するという有効性も疑わしいと思える社会構造も芽生え
簡易な認印ではどこでも誰でも簡単に所有できるという点で
『本人確認の具』として疑念を感じられるようになってきた。

印鑑が社会システムを担ってきた社会的優位性

かつてのアナログ一辺倒だった世の中では
『この印鑑を持っている人は確かにこの人だ!』の優位性や有効性は
保たれていたと思います。
今でも独自性のある印鑑であれば充分本人であることを証明できる
と考えていますし、その真正度は高いと思っています。

100年程、時を戻しましょう!
当家創業者の祖父たちの家内制手工業全盛の時代
機械も無く流通も無い時代は
各地に点在した職人達が一つ一つ作るより他は無かった。
必然的に個々の手質や感性によって作られた千差万別の印鑑により
『この印鑑を持っている人は確かにこの人だ!』の優位性が保たれた。
これこそが固有の価値であり【印鑑の社会的優位性】であると僕は思います。

本人確認には軽度と重要度がある

私たちが生活をする中での社会的諸々の手続きには
軽度なものから重要度の高いものまでレベル観があります。

例えば軽度なものとしては
荷物の受取票や回覧の『見ました』のしるし から
確認を示すための
公的な証明書を必要としない範囲のものです。
この時に使う印鑑は軽度なもの専用の簡易な印鑑で充分です。

今回の押印廃止騒動は
比較的軽度な確認を示す範囲のもので
押してあっても押してなくても
さほど『どうでも良いもの』を指していると思っています。

しかしながら長年慣れ親しんだ習慣から
朱色で何か押してあった方が信頼性が高いように感じる様ですし
『ポン!』とひと押しなので便利さや趣(おもむき)があります。
日本人特有のきめ細かな心遣いともつながるところがあって
長年、文化として親しまれてきたんだと思います。

重要なものとしては
銀行の口座開設届出印や
金銭の貸し借りの契約書や不動産契約書のような
公的な印鑑証明書を必要とする重要度の高いものです。
この時に使う印鑑は
独自性のある個性的な再現性のない固有の印鑑です。
重要な契約書類に関しては今までどおり
重々しく内容を確かめて厳粛に美しく押して書類の正当性を主張します。
そして重要な時に使う印鑑事態は厳格に管理保管するというのが
紙文化の中での自分の意志を守る方法となります。
これを、デジタル空間でどうやって【本人の意志であることの正当性】を確かめるのか?

これが最大の関心事で興味があります。

サインと印鑑それぞれの文化が残した功績


諸外国はどうでしょう!
サインは必ず自分で書かなくてはいけません。
しかし、現代のコピー機やスキャナーの性能、転写プリンター等のデジタル機器の進歩発展によって
悪意を持っての偽造サインと見分けがつきにくくなってきた。
この紙面上のサイン文化にも『偽造ができるのではないか?』『疑わしさ』を伴うものになってきたとも言えるようです。
世界的に様々な面で不都合や矛盾を抱えるようになってきたとも言えるのかもしれません。

日本の印鑑制度や印鑑文化は世界的少数であったにも関わらず
朱色に込めた繊細で細やかな美的感性や意志を表す責任感
自分で押さなくても託すことが出来る便利性的な利点もあり
代理が効いたり印鑑証明書の添付で本人の意志を証明できる制度であることが優れている。
このことは日本の社会秩序と倫理観と経済を円滑にまわせた影の功績として
多勢のサイン文化に交わることなく独自の社会システムとして
この一時代をささえた文化の一つとして優れていたものと考えています。

日本の分かち合う文化からもたらされるものとして
これからも、自分の意志を表すアナログ的な手段として世界に誇れる【日本的なるものの価値】
として残ってほしいと思っています。

令和になりコロナ騒動と相なってデジタル社会へ

コロナ騒動と相なって人と人との接触の機会を少なくする政策がとられています。
令和3年(2021年)9月にはデジタル庁の新設
令和5年(2023年)10月1日からはインボイス制度が始まります。
全国の行政機関のシステム統一のためにガバメントクラウド構想も進められているようです。
個人ではマイナンバーカードの普及促進
企業ではGビズプライムアカウント、eシールなど
それぞれの対象によってデジタル的な認証システムが想定されているようです。

電子署名って何だろう

これまでのアナログ的の紙面契約の社会システムの中では
サインや印鑑証明で個人や法人の意志や正当性を確認してきました。
デジタル的な社会システムになると紙面ではなくて
WEB上で個人や法人の正当性や意志の確認が必要となります。
その時に、公的認証機関と民間事業者との契約のような形で
個人ではマイナンバーカードを使ったり企業ではGビズアカウントやeシールを使いながら
公的認証局を挟む形でWEB上で確認できるような仕組みになるんだろうと想像しています。
重要度によって無料で出来る範囲もあるでしょうし、民間事業者の有料サービスとして
提供される範囲もあるんだろうと思えています。
この意味においても印鑑での認証制度はランニングコストがかからなかった点でも
優れている社会システムであったことを付け加えたいと思います。

デジタルはあらゆる面において有効なのか

デジタルの得意性の特徴としてビックデーターを対象とした
一斉処理と検索抽出があります。
今まで出来なかった事が出来るようになる点で便利になる事もあるでしょうし
管理社会に繋がるという点で懸念されるむきもあるようです。
なりすましや不正アクセス・虚偽のメールなんかもあり
全てに対して好都合に働くわけではないことも充分理解する必要もあるでしょう。

日本的なるものアナログ的なるものの価値と信頼性


欧米も含めて1000年以上もの間、紙文化の社会構造が続いてきた中で個々の特性も育まれてきました。
これからは便利になる反面、繋がっていない自由な権利主張も見直されていくかもしれません。

デジタルとアナログの二本柱で次の良い社会を

全世界的に社会システムの転換点を向かえています。
デジタル社会への移行懸念は便利な点もあるけれど危うさもあるという二面性を常に持っている点にあると思います。
急速にすすみつつあるデジタル社会なのですが
歓迎する人もいるし、抵抗する人もいるんだと思います。
ある程度時間をかけて当面の間はデジタルとアナログ
両輪で進められていくのが社会を安定的に進化させる手段として選択されるべきと思っています。

次のコラムでは、これから始まるであろうデジタル認証について更に具体的に考えてみたいと思います。

この記事を書いたプロ

小林仁

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小林仁(小林印房)

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