保育施設に特化した保守点検・修繕のプロ山岡正範

保育施設に特化した保守点検・修繕のプロ

山岡正範

子どもたちが触れる場所をイメージした上で改善策を提案

　「とにかく子どもが大好きなんです」と開口一番に笑顔で語るのは、宮崎県宮崎市に拠点を置く「Repair Work宮崎」のCEO・山岡正範さん。宮崎県内初の法人事業者として、保育園や幼稚園、認定こども園を専門に、施工の企画プランニング・点検・修繕事業を展開しています。

　「2015年の創業以来、2000件以上の案件を手掛けてきました。滑り台やブランコといった遊具をはじめ、園庭やテラス、水回り、建具など、保育施設の外構、内装、設備に関することはお任せください」

　自分たちが携わるのは、幼い子どもたちの養育の場であるため、細かいところまで留意して作業にあたると言います。
　「例えば壁。子どもは廊下を歩くとき、無意識に手で触れています。汚れていくのは当然ですし、大人が気づかない低い位置に突起物でもあれば手足を傷つけてしまいます。また物があたって壁紙が破れたり、はがれたところを指で広げたり、想定外の行動をとることもあります。先生のお話から子どもたちの姿をイメージし、施工案や改善策を提案しています」

　特に遊具の不具合は、事故の原因にもなるため慎重に調べます。劣化が進んでいる箇所はパーツを交換したり、強度が落ちている部分は補強したり、状態に応じて適切に処置。肉眼では分かりづらい金属内部の腐食状況は、超音波計やサーモグラフィー画像によって診断します。保育中に施工しなければならない時は、午睡の時間を避けるといった気づかいも忘れません。
　「子どもたちがのびのびと遊べるように、安全性には十分に配慮しているので、どんなことでも相談いただきたい」と力を込めます。

楽しく体を動かしながら運動能力を養う「パブリックスポーツクラブ」も開設

　山岡さんは保育士をしていた母の背中を見て育ち、自身も同様の道を志しますが、当時は男性保育者の門戸が狭く大手建築会社に就職します。
　「でもどうしてもあきらめられず、保育関連企業の営業に転身しました。園の要望に合わせ、メンテナンス業者を仲介することもあったのですが、徐々に費用の高さに疑問を覚えるようになりました。子どもたちに必要なサービスを適正価格で提供すべく、起業することにしました」

　施工業で実績を積んだ山岡さんは、中学・高校と陸上競技に打ち込んだ経緯から、子ども向けの「パブリックスポーツクラブ」も立ち上げました。
　「成長が著しい幼少期に、体を動かす楽しさを味わい、運動能力を伸ばすことは重要です。サッカーや体操、体幹運動など多種目に取り組み、さまざまな体の使い方を身に付けることで、将来のケガ防止にもつながります」

　体育館の壁は、弾力性があり衝撃を吸収してくれる木材を腰板に採用。子どもたちがぶつかった時のダメージ緩和に努めています。
　また、保健体育の教員免許を含め各種専門資格を持つスタッフが子どもたちをサポート。同クラブに通う子どもが「宮崎市トップアスリート発掘・育成事業（宮崎市スポーツランド推進課主宰）」のメンバーに選ばれるなど、指導の成果が表れているそうです。

　「注目度も高まり、最近では首都圏から同業者が視察に来るようになりました。子どもたちが元気に走り回れる場所が増えるのは、うれしい限りです」

遠方からの依頼に応えるため、県内に支店を構えるのが目下の目標

　「夢が形になり、みなさんにご用命いただくことに感謝する一方で、事業が順調に進んでいることに、私も周囲も正直なところ驚いている」と遠慮がちに話す山岡さん。宮崎県北部や近隣県の保育・教育施設からの依頼も相次ぎ、声がかかれば遠方でも自ら足を運びます。今後は県内に支店を構え、「一人でも多くのお客さまの期待に応えたい」と意気込みます。

　経営者として忙しく過ごす山岡さんは、4人の子どもを持つ父親でもあります。子育ての信条は「子ども自身に考えさせること」だとか。
　「子どもが何かを始めるときや、進路に迷っているとき、親心から『こうしたら？ああしたら？』と口を出したくなりますよね。しかし、ここで手を貸してしまっては子どものためになりません。選択肢は与えても、悩み考えるのは子ども自身。その経験が、行動に責任をもち、目標に向かって努力することにつながります」。これは山岡さんの両親の教育方針でもあり、自分自身の糧になっていると言います。

　「子どもが臆することなくチャレンジをしていくには、大人による環境づくりが欠かせません。環境が整えば、不安なくゴールを目指していけるはず。わが子に限らず、仕事でかかわる子どもたちに対しても同じ気持ちを抱いています。この点検が、この修繕が子どもたちの未来につながるのだと気を引き締めて、業務に臨んでいます」

　子どもたちの健やかな心身を養い、豊かな経験をあと押しする。子どもたちへの思いを胸に、今日も保育現場へと赴きます。

（取材日：2022年2月）

点検・修繕事業やスポーツクラブ運営を通じて子どもたちの健やかな成長をサポート

子どもたちが触れる場所をイメージした上で改善策を提案

楽しく体を動かしながら運動能力を養う「パブリックスポーツクラブ」も開設

遠方からの依頼に応えるため、県内に支店を構えるのが目下の目標

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