お客様に安心してクルマに乗ってもらう為に

「中古で買ってまだ1年なのに、加速するとどこからか車体が震える。別の整備工場に診てもらっても原因が分からず、もう買い替えるしかないと言われた」
先日、そんなご相談で当工場を訪ねてくださった、フォルクスワーゲンにお乗りの40代の男性がいらっしゃいました。
購入してわずか1年でまた車を買い替えるというのは、家計にとっても気持ちのうえでも決して軽い負担ではありませんよね。しかも購入先に問い合わせても、すでに保証期間は過ぎていたそうです。
「どこに相談すればいいのか分からない」という状況で、私のホームページをご覧になり連絡をくださいました。今回はこの輸入車の振動トラブルを事例とし、原因不明と言われた不具合とどう向き合うのか、私の整備の進め方をお話しします。
目次
毎回ではない不調こそ、原因の特定が難しい
整備士にとって最もやっかいなパターンのひとつなのですが、「毎回ではないが、加速時に時々振動する」という症状でした。常に出る不具合なら比較的見つけやすいのですが、条件がそろったときだけ顔を出す症状は、いざ点検すると再現しないことが多いのです。
数分の試運転で症状が出なければ、「異常なし」と判断されてしまうこともあります。短い時間で再現しない不具合は、それだけ原因にたどり着くのが難しいのです。他の整備工場で「分からない」と言われ、買い替えを勧められたのも、おそらくここに理由があったのだと思います。
だからこそ私は、こうしたケースほど「現象がこの目で確認できるまで、しっかりお預かりする」ことを大切にしています。すぐに結論を出すのではなく、お客さまが感じている違和感には必ずどこかに原因がある、という前提で、自分の愛車のように一台一台と丁寧に向き合う姿勢が私の整備の基本です。
試運転とコンピュータ診断機で原因に迫る
お預かりした車は、症状が確認できるまで何度も試運転を重ねました。実際に加速したときの挙動を自分の体で感じ取りながら、どんな条件で、どのタイミングで振動が出るのかを一つずつ確かめていきました。
そのうえで、フォルクスワーゲンなど輸入車に対応したコンピュータ診断機を併用しました。コンピュータ診断機とは、車のコンピュータに蓄積された不具合の記録やセンサーの数値を読み取り、目視だけでは分からない異常の手がかりを得るための機器のことです。
体で感じた症状と、診断機が示すデータ。この両方を突き合わせることで、ようやく原因の輪郭が見えてきます。どちらか一方だけでは見落としや思い込みが起こりやすく、特に輸入車は国産車と電子制御の仕組みが異なる部分も多く、こうした地道な診断の積み重ねが欠かせません。
私が輸入車も含めて幅広い車種を扱ってきた経験が、こうした場面で生きてくると感じています。
高額交換の前に、まず試せる整備を提案
診断の結果、症状を根本から解消するには高額な部品交換が必要になる可能性が見えてきました。ただ、いきなり大きな出費をお願いするのは私の本意ではありません。
なので、「症状の改善が見込めるので、まずはDSGオイルとフィルターを交換させてください」とお伝えしました。DSGとは、フォルクスワーゲンなどに搭載されている、2つのクラッチを使って素早く変速する自動変速機のことです。
結果、このオイルとフィルターを交換したところ、加速時の振動が改善したのです。
私が見積もりを作る際にいつも心がけているのは、お客さまの気になる箇所だけでなく、他に必要な整備がないかも確認したうえで、どこまで手を施すかの最終判断はお客さまにしていただくことです。強制は決してしません。今回も、まず試す価値のある整備からご提案し、結果として大きな出費を避けられました。
今後のリスクまで共有し、納得して乗り続ける
症状が改善し、お客様はとても喜んでくださいました。同時に私は、今後起こりうるリスクについてもしっかりお伝えしました。今回の整備で改善したとはいえ、車の状態は時間とともに変化しますから、先のことまで知ったうえで乗っていただきたいからです。
男性はその説明を一つひとつ理解してくださり、最後に「車を買った時点で、この工場を知っていればよかった」とおっしゃいました。整備士として、これほど嬉しい言葉はありません。
私が前職場で営業をしていた頃から大切にしてきたのは、売り込まず、お客さまのためになる提案をすること。その姿勢は、川﨑自動車整備工場として独立した今も変わっていません。
だからこそ、同じように不調を感じている方にお伝えしたいのは、まずは早めに点検をしてほしい、ということです。原因不明と言われても、諦めて買い替える前にできることは残っているかもしれません。
「いつもと違う」を感じたら、早めの一歩を
車の不調は、放っておくほど原因の特定が難しくなり、結果として修理費用がかさんでしまうことも少なくありません。今回のように「毎回ではない」「何となく違う気がする」という段階で相談していただけると、選べる選択肢もそれだけ多く残っています。
私の工場では、「どのタイミングで何をすべきか分からないので、まずは話だけ聞きたい」といった気軽なご相談も歓迎しています。相談したからといって、必ず何かを依頼しなければならないということはありません。
輸入車だから、保証が切れているから、と相談先に迷っている方こそ、一度ご相談いただきたいと思います。中古車を1年で手放すのか、それとも乗り続けられるのか。その判断材料をそろえるお手伝いができれば、整備士としてこれほど嬉しいことはありません。
まとめ
原因不明と言われた不調も、現象を確認できるまで車と向き合い、診断機と試運転を重ねれば、買い替えずに解決できる場合があります。気になる症状は、早めの点検が愛車を守る一番の近道だと私は考えています。
・加速時など、特定の場面でだけ車体が振動する
・他の工場で原因不明と言われ、買い替えを勧められた
・輸入車の不調をどこに相談すればよいか迷っている
都城市で輸入車の整備・点検にお悩みの方は、川﨑自動車整備工場までお気軽にご相談ください。ホームページ(https://kawasaki-jidousha.com/)からもお問い合わせいただけます。


