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土地の境界トラブルを解決に導き、隣地同士を笑顔に

土地の境界問題を解決に導く不動産登記のプロ

後藤泰孝

後藤泰孝 ごとうやすたか
後藤泰孝 ごとうやすたか

#chapter1

建物の新築・増築に伴う登記のほか、土地の登記もお任せ

 土地や建物の売買、相続などで必要な「不動産登記」。登記のために、不動産の用途や境界を明らかにする調査や測量、申請の手続きなどを行うのが、土地家屋調査士です。

 宮崎市にある「後藤土地家屋調査士・行政書士事務所」の後藤泰孝さんは、20年以上の豊富な実績をもとに、業務を行っています。

 家を新築した場合、建物の引き渡しまでに登記申請が必要です。まず、土地家屋調査士が、建物の所在地や構造、大きさなどを調査・測量し、建物図面を作成。法務局に「建物表題登記」を申請します。続いて司法書士が、所有権など権利に関する登記を行います。

 ほかに、建物を取り壊したときの「滅失登記」、増築したときの「建物表題部変更登記」なども扱います。「建物は目に見えるものが対象なので、調査は比較的スムーズです」と後藤さん。

 一方、土地の登記は難解だと言います。土地を売る、相続で分割するなどの際に、隣地との境界線を明確にする必要がありますが、所有者が自由に決めることはできません。「仮にブロック塀や境界杭、境界プレートがあったとしても、正確な境界を示しているとは限りません。法務局など各役所が保有する資料を精査しながら、現地を調査・測量し、第三者の立場から境界線を特定します」

 境界線を特定する過程で、重要となる手続きが「境界立会い」。隣接する土地の所有者全員から証言をとり、専門的な根拠を示しながら、境界線について合意を得ます。「隣地の方ともめている場合もあり、途中で怒り出す方もおられます。双方に認識のずれがある場合も、公正に解決策を導きます」と話します。

#chapter2

数々の経験で養われた「聞く力・交渉する力」が強み

 学生時代から数学・物理が得意だった後藤さん。大学卒業後に大手輸送機器メーカーの研究・開発会社に入社し、エンジンの研究を行っていました。家族の都合で宮崎県にUターンし、土地家屋調査士の仕事を知ります。「測量機器やパソコンが好きで、得意な数学を生かすことができると思い、測量会社に勤めながら資格取得を目指しました」

 1999年に、土地家屋調査士事務所を開業。業務以外の多様な経験も、後藤さんの強みです。これまで、音楽コンテストの審査員、地域でソフトボールの監督や高校野球の審判を務めるなど、幅広く活躍。スポーツで鍛えた体力は、屋外での調査や測量がメインとなる土地家屋調査士の仕事に役立っています。

 学生時代には、音楽コンテスト「ポピュラーソングコンテスト」(ヤマハ音楽振興会主催)で、九州代表の審査員として2年連続参加。「1年目の1982年のグランプリはあみんの『待つわ』で、ヒット曲を世に送り出した一人という自負があります。音楽の審査と土地の調査に、一見共通点はなさそうですが、第三者の視点で物事を見極めるという点ではつながっています」

 また、ソフトボールの監督時代には、別チームとのトラブルを解決。同じ球場を共同で利用するために取り決めていた時間を相手側が守らず、いざこざに。「相手チームの監督から怒鳴られながらも、じっくり言い分を聞きました。最終的にこちらの要望が通り、相手も笑顔になりました」。土地の境界線を特定するための境界立会いで発揮される、後藤さんの「聞く力・交渉力」がうかがえるエピソードの一つです。

後藤泰孝 ごとうやすたか

#chapter3

目に見えない境界線を知ることは、暮らしの安心につながる

 近年、境界線をめぐるトラブルは増加傾向にあります。対策の一つに、裁判をせずにトラブルの早期解決を目指す「筆界特定制度」があります。

 この制度では、土地所有者からの申請を受け、法務局の筆界特定登記官が、土地家屋調査士など筆界特定委員の意見に基づき「筆界」を特定します。筆界とは、その土地が初めて登記された際に区画された境界のこと。土地の所有権が及ぶ範囲である「所有権界」と一致しない場合もあります。後藤さんは10年近く筆界特定委員としても、現地調査や測量などを行っています。

 年々感じるのは、境界特定のために避けて通れない、境界立会いを行うことの難しさだそう。「最近は、近所付き合いが希薄になっており、個人の考え方も多様化しています。『うちは関わりたくない』と拒否されることも多く、立会いを成立させること自体が困難を極めます」

 それでも、境界立会いを経て、隣地の土地所有者双方が納得する形で合意できると、「お互いにすっきりした」と感謝されることがほとんどだそう。「隣地との境界がはっきりすることで、ブロック塀を堂々と設置できたり、相続対策として図面を残せたりと、未来のトラブルを防ぐことができます」と話します。

 「隣地間で、境界線のわだかまりがあれば、人間関係にも大きく影響します。もめごとがある限り、ご近所との笑顔の交流は実現しません。笑顔を導くために、貢献したい」と話す後藤さん。土地の境界を明らかにすることは、将来にわたり安心して住み続けるための備えになります。

(取材年月:2021年6月)

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後藤泰孝

土地の境界問題を解決に導く不動産登記のプロ

後藤泰孝プロ

土地家屋調査士

後藤土地家屋調査士・行政書士事務所

土地家屋調査士として、宮崎県で20年以上の実績。豊富な経験に基づき、調査、測量、登記申請に取り組みます。土地の境界トラブルには、聞く力と交渉力を強みに、隣地間に笑顔の交流をもたらす解決を目指します。

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