実家の鉄工所
前回に続き、伝統技法 左官編です。
昔の家の外壁や内壁、土間、台所、風呂場など
ほとんど左官の仕事でした。
現在は、住宅の左官工事は玄関の土間と基礎の幅木くらいで
昔ながらの土壁や塗り壁など無くなり
外壁はサイディング貼りで和室の壁やリビングの壁は
クロスを貼ることがほとんどです。
しかし、自然素材や個性的な家を望む人も増えてきている中で
漆喰や珪藻土などを室内の壁に塗ったり
外壁もサイディングのように目地が出るのがイヤだということで
モルタル塗りの上に珪藻土を塗り
鏝で模様をつけたり櫛引仕上げにしたりして
個性的な家に仕上げることも増えています。
外部の塗り壁や土間の三和土(たたき)、内部の漆喰や聚楽など
採取する場所により色や粒子が違い、
色々な場所の土を倉庫に保管しているという事です。
一人一人の生活スタイルやくつろぎ方も色々ですが
昔の家に居て気持ちがいいのは、木や土など自然にある材料で
できているからです。
心からほっと落ち着く家、仕事の疲れを癒してくれる家
そういう家づくりも必要だと思います。
内装に自然素材の木や漆喰、珪藻土を使う事で
クロスでは味わえない落ち着いた雰囲気の空間になります。
この職人塾で初めて知りましたが
土の採取場所で色が違ってくるので
部屋の雰囲気で色を選ぶ場合は
在庫の土がない場合は、その色の土を
採取してくるしかないという事でした。
今回、職人塾で講義していただいた左官さんは京都の方で
土専用の倉庫を持っているそうです。
そして、土に一緒に混ぜる「苆」(すさ)にも色々な種類があって
壁の仕上げによって選ぶそうです。
貝で造った土壁
昔の土壁の家、土間のある家・・・夏ひんやりと涼しくてくつろげる空間!
そんな家づくりが今後増えて行くのではないでしょうか?
それは、日本の気候、風土に適した
バウビオロギーという概念であると思います。
バウビオロギーについて
戦後のあわただしい大量住宅供給や、近代建築への批判が高まるにつれ、
1960年代に入って、ドイツにおいて、
まずは自然に適した住まいとその工法の検討が始まりました。
このパイオニアの時代は、
特に医者のパーム博士と獣医のビーレンベルク博士によって促進されました。
1968年に「健康な住まいづくり研究会」が生まれ、
1973年に最初のバウビオロギー研究所が誕生しています。
バウビオロギーは70年代にスイス、オーストリア、オランダにも広まり、
その後、1980年代半ばにイタリア、そしてアメリカ、イギリス、ニュージーランド、
オーストラリアに広がりました。
日本では、90年代に入って、
住環境、室内環境の諸問題が顕在化してきましたが、
上記の国際的ネットワークの中で、
2005年3月に「日本バウビオロギー研究会」が設立されました。
21 世紀に生きる現代人の課題は、、
自身の肉体と同様に、地球という有機体を健やかに、かつ美しく保つことにありますが、
20世紀は、文明の進歩、産業の進歩の旗印の下に自然を絶え間なく破壊し続けました。
自然を支配したと勘違いしたその代償として、ここ数年の自然災害が指摘されねばならないでしょう。
私たちの都市や人口密集地域は、生けるものと敵対する人工の風景と化しています。
それが増大する環境破壊、環境病というかたちで、顕在化しているのです。
自然を規範とする建築への希求には、儲けとか技術ではなく、
まず人間がその中心にあるべきです。
意識改革を伴う教育と住環境の再建のために、バウビオロギーは不可欠です。