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関係回復

菊地茂

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 本日は、シャロームの会で心の障害者の就労支援のご相談をお受けいたします。

 今日は、渡辺裕子先生の言葉のご紹介です。

 私の友人の娘さんは、フランスで生まれて、フランスで育ったのですが、20歳になって自分のいる位置への問いが強く湧きおこってきたようです。
 それは、また「自分に問う力」がついてきたということでもあるのだと思います。「私は日本人?フランス人?どっち・・・」。彼女が今しきりと「日本に帰りたい」と言っていると友人からのメール。「それなら、ぜひ我が家へ。大歓迎!」と友人にメールの返信をしたところです。
 「私の存在は何?」というこの問いは、異国で育った人だけではなく、私たち一人一人が問われている問いであり、この問いに私たちは答えなくてはならないのだと思います。
 私の母は、認知症を体験しましたが、「帰りたい、帰りたい」をくり返していました。自分が暮らしていた家にというよりはもっともっと本能的な願望なのだと感じました。本能に近くなればなる程、自分のいのちのルーツである神の元へ帰っていきたい。つながっていたい思いは強まり、そして又、この絆が確かである時に最も安心していられるのだと思うのです。
 日本で生まれ、日本で育ったとしても、自分のいる位置がわからない。どこにつながっているのかわからない。どこにもつながっていないような関係の喪失感でいっぱいなのが、今の時代なのではないでしょうか。それすら感じられなくなっていることを思う時、異国で育ったからこそ、この喪失感をしっかりと感じ取れているし、その分、より深い関係の回復の体験が与えられるのかもしれません。

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