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サモアでの話(6)

菊地茂

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 本日は午前中、シャロームの会のメンバーお花見会に出席して、午後は株式会社橋本店創業135年記念コンサートに出席いたします。

 今日は、坂口明先生の言葉のご紹介です。

 私が、サモアでボランティアをしていたのは2年2ヶ月でした。その間に妻は2回サモアに来てくれました。
 妻は、私がお世話になっていたサモア人の同僚や教会の牧師さんご一家ととても親しくなり、妻がサモアを離れる時は大勢でわざわざ空港まで見送りにきてくれました。サモア人たちは、情熱的に妻をハグしたり、頬にキスをしたりして別れを惜しんでいました。
 私は、サモアの人たちのようにはどうしてもすることができず、ただ妻と握手をして「気をつけてね。」とだけ言って別れました。それを見ていたサモア人たちは「私たちは、ハグしたり、キスしたりしているのに、夫である君は握手だけかい?」と言って、ぎこちない別れの挨拶をしている私たちを見て笑っていました。でも、それがかえって彼らの目には新鮮に映ったようで、「日本人って人前ではあまり感情を露わにしないんだ」と分かってくれたようでした。
 言葉ではっきり、自分の意見を表明することが大事だと、学校では教えられて育った私たちの世代です。しかし、卒業して数十年経った今になって思うと、言葉にできない思いを推し量ることができることは素晴らしいのです。かえって言葉がすべてとする考え方は、人間関係に何かギスギスしたものを生じさせるように思います。
 あの時、言葉にできなかった妻への思いを、私は今でも鮮明に思い出すことができます。妻への感謝と別れることの寂しさ、その思いを私はそのとき以来ずっと持ち続けているように思います。離れて住むことによって妻との距離はより縮まりました。

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