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一流のエンジニア

菊地茂

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 本日は午前中、シャロームの会の施設を見学される方々のご案内をして、午後は、メンバー全体会に出席し、心の障がい者の就労支援のご相談をお受けいたします。

 今日は、坂口明先生の言葉のご紹介です。

 「技術力とは、何が起こるかを予測する力、これに対して計画を立てる力、そして予測を超えることが起きた時に対応する力の総和だと定義しよう。これらに即座に答えを出すだけの知識と経験と論理と、知らないことを聞くための人脈が必要だ。それが一流のエンジニアの条件だ。」国土交通大臣賞を受賞したあるエンジニアの方の言葉です。私は、「その通りだ」と感動しました。
 実は、私は約30年、建築の構造計算を生業としてきました。特に8年前の耐震偽装事件以来、建築設計の世界は大きく変わり、建物の安全性を確認する上でも、構造設計という仕事が、重要な役割を果たしていると確認されるようになりました。
 しかし、この仕事は、実に地味で孤独です。そのためにどうしても人との交流が減ってきます。むしろ、人との交流が苦手な人間が、この世界に残っていくのかもしれません。いつの間にか、計算や理論が主となり、数字で表せないものは、適正に評価できなくなってしまうのです。そしてそのような姿勢が、エンジニアの矜持(きょうじ)だと誤解さえしてしまうのです。
 そんな時、この「一流のエンジニアは、知らないことを聞く人脈が必要」という言葉を聞いて、私の心に温かい血液が流れてきたように感じました。やはり、技術も人間の温かさを持たないと成り立たないのです。冷たい金属やコンクリートを扱っていても実際に建物を造るのは血の通った人間なのだということを思い出させてくれました。(※矜持=誇り、プライド)

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