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100万人に愛されるよりも

菊地茂

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 本日は建設業許可申請と心の障がい者の就労支援のご相談をお受けいたします。また午後は、A型事業連絡会の研修会に出席いたします。

 今日は、金藤晃一先生の言葉のご紹介です。

 コンサートに100万人のファンを動員するカリスマロックスターが、自殺をしました。後日、あるコラムニストが、彼の死を悼みながらも「彼は100万人の人に愛されたが、自分で自分を愛することができなくて、死んでしまった」とドキッとする表現で彼を評しました。自分で自分を愛していない人は、仮に100万人の人から愛されても幸福を感じず、かえって不安になってしまうようです。
 精神科医で認知療法家のデイビット・バーンズは「幸せを感じるのに、必ず愛情を要求する態度を依存と言う」と言いました。自分で自分を愛していないと、他者に依存することで自分の存在不安や虚無感をごまかそうとし、結果、様々な心の問題や人間関係のトラブルが発生してきます。
 援助交際に走ってしまった女の子たちのケアに献身している女性の講演を拝聴する機会に恵まれました。その方曰く、「彼女たちに決定的に不足しているもの、それは『このあるがままの自分が好き』という根本的な自尊感情です。自尊感情が不足しているので、結果的に自分を安売りするような行動に走ってしまうのです。だから、私がまず彼女たちにかかわる時に心していることは、彼女たちの自尊感情を取り戻させることです。健全な自尊感情を持った女の子は、二度と援助交際はしません」。ふとユング心理学者の河合隼雄先生の言葉を思い出しました。「援助交際は、魂に悪いからやめなさい」。河合先生は「援助交際は、体に悪いからやめなさい」とはおっしゃいませんでした。確かに援助交際を続ける限り、健全な自尊心は育ちません。だから「体」ではなく「魂」に悪いとおっしゃったのだと、あらためてその言葉の深みを味わうことができました。

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