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ほほえみを絶やさないために

菊地茂

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 本日は、シャロームの会「松島いやしの家」の打ち合わせ会に出席いたします。

 今日は、渡辺和子先生の言葉のご紹介です。

 「顔で笑って、心で泣いて」という言葉は、何となくわかるのですが、心に笑顔を持つというのは、どのような場面をいうのでしょう。
 信仰詩人といわれ、若くして亡くなった八木重吉が、次のような詩を残しています。
 
 いきどおりながらも
 うつくしいわたしであろうよ
 哭きながら 哭きながら
 うつくしいわたしであろうよ

 この詩がうたっている「うつくしいわたし」こそが、心に笑顔のある人なのかもしれません。
 三十代の後半で四年制大学の学長に任命された私は、教職員や学生から、あいさつされるのが当たり前と考え、そうしない相手に、“いきどおり”を感じる傲慢な人間でした。
 その私が、ある日「ほほえみ」という詩に出会って変わったのです。その詩の内容は、自分が期待したほほえみがもらえなかった時、不愉快になってはいけない。むしろ、あなたの方から相手にほほえみかけなさい。ほほえむことのできない相手こそ、あなたからのそれを、本当に必要としている人なのだから、というものでした。
 最初、「そんな不合理な」と思った私はやがて、それこそキリストが求める「自分がされて嬉しいことを、他人にしなさい」という愛の教えなのだと気付いて、実行したのです。
 ところが、私からのほほえみを無視する人たちがいました。そんな相手に“いきどおらず、美しいわたしであるために”、私はこう考えることにしたのです。「今の私のほほえみは“神さまのポケット”に入ったのだ」と。そう考えて、心のの中でニッコリ笑うことができるようになりました。美しい私であるために、むしろ、ありがたく思えるようになったのです。


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