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飲めなくても水を慕い求める

菊地茂

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 本日は午前中、財団法人移行申請の打合せを税理士事務所といたしまして、午後は、国籍帰化許可申請のご相談をお受けいたします。

 今日は、前島誠先生のことばのご紹介です。

 谷川の水を慕い求める鹿のように、
 神よ、わたしの魂はあなたを慕う。  [詩編・42編2]

 一読してどうお感じになるでしょうか。
 水を探し求めて鹿は谷川を見つけた。渇いた喉を潤すことができた。その鹿のように、わたしもあなたを慕い求める―そうとらえるのがふつうでしょう。
 ところが、この詩人の思いは全く別の所にありました。なぜならこの鹿は、水を飲むことができなかったからです。
 「谷川」は原文にAFYK(アフィック)とあります。これは水の流れていない枯れ川(ワディ)を指すことばでした。
 イスラエルに雨が降るのは冬の機関で、雨量も極端に少ないのです。大雨の直後に水の流れることはあっても、ふだんは乾いた地面が原野を帯状に貫いている。これがワディです。車で砂漠を横断するときは、わたしもこのワディを利用したものでした。
 ちなみに「ヨルダン川」は、〈水の流れ下る川〉という意味。めずらし川なので、それが固有名詞になったというわけです。
 人の心は時として渇きます。水を求めてもなかなか見つからない。どうしたらよいのでしょうか。聖書は教えます。
 涸れ川の鹿に習え。たとえ水が飲めなくても、あなたは水(神)を慕い求めよ。それが生きることなのだ―というのです。


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