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 今日は、前島誠先生の言葉のご紹介です。


 バビロンの川のほとりにすわり、
 シオンを思い出して涙を流した。
 われらはその中の柳にわれらの琴をかけた。  [詩編・137編1-2]

 この詩編はユダヤ人の食後の祈りの一部として、週日―日曜から金曜―に唱えられるものです(土曜日の安息日にはこの代りに詩編126を用います)。
 紀元前六世紀、戦争に敗れたユダヤの民はバビロンに連れ去られます。そこで彼らを待っていたものは、バビロニア人から受ける屈辱と、ひたすら忍従の日々でした。苛酷な労働のあとで川辺に座り、はるかに故郷のシオンの丘を思う、その心情が初めの二行に切々と込められています。
 ある日のこと、バビロニア人が言いました。
 「お前らの都シオンの歌を歌ってみろ―」
 ユダヤ人たちは歌いませんでした。ただ黙って手にしていた竪琴を、柳の枝に掛けたのでした。
 引用句のあとにこうあります。
 「われらは外国にあって、どうして主の歌をうたえようか」
 自分たちがどんなにみじめな状況に置かれていても、民族の誇りを失わない―ユダヤ人たちの、主への熱い思いがひしひしと伝わってきます。この思いが、やがて平和と解放につながることになったのでした。


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