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喜びと悲しみをともに保つ

菊地茂

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 本日は午前中、心の障がい者の就労支援に関するご相談を、午後はNPO法人設立申請と建設業許可申請のご相談をお受けいたします。

 今日は、前島誠先生の言葉のご紹介です。

 心の苦しみは心みずからが知る、
 その喜びには他人はあずからない……
 笑う時にも心に悲しみがあり、
 喜びのはてに憂いがある。 [箴言・14章10、13]

 人は自分のそのときの気持ちに左右されやすいものです。うれしいときにはあたりかまわずはしゃいでみたり、悲しいときには見る影もないほど落ち込んでしまいがちです。そればかりではなく、周囲の者にまで自分の気持ちを押しつけようとしたりするのです。
 聖書は教えます。苦しみを知るのは、「その人自身の心」、終わりには「喜びも悲しみとなる」と。
 ユダヤ教の結婚式には、珍しい習慣があります。一つの杯のワインを当事者二人が飲み交わした後で、そのグラスを新郎が片足で踏み砕くという儀式です。一般には、紀元七○年のエルサレム神殿の破壊をしのぶシンボルだと言われています。
 けれども、その奥にもう一つの大事な意味があるのです。
 人生のもっとも喜ばしい瞬間においても、悲しんでいる人のいることを忘れてはならない―このことを結婚する二人に思い起こさせるための儀式なのです。
 喜びと悲しみ、笑いと涙、この二つをともに保つことができて、はじめて人は人でありうるというのです。


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