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サモアでの話

菊地茂

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 本日は、シャロームの会で心の障がい者の就労支援に関するご相談をお受けいたします。

 今日は、坂口明先生の言葉のご紹介です。

 「パパラギ」という本があります。サモアの酋長ツィアビがヨーロッパを訪れた際、彼の目にどう文明が映ったかという視点で書かれています。彼は、パパラギ(白人)は、“投げられた石のように人生を走る”と表現し、お金を“丸い金属と重たい紙”と呼び、「これがパパラギの本当の神様だ」と言います。そして、「パパラギは貧しい。だから物に憑かれている。物なしには生きられない。」と物質文明を批判します。
 実際には、ドイツ人のショイルマンという人が、ツィアビの名を借りて書いた本だというのが定説ですが、この文明批判は的を射ており、現代社会に住む者に、本当の幸せとは何かを考えさせてくれます。この本はドイツでは170万部も売れ、現在も世界中で読まれ続けています。
 今、ブータンのGNH(国民総幸福量)という考えが、注目を浴びています。目に見える豊かさよりもっと大切なことがあることに、現代人が気付き出したと言っていいでしょう。しかし実は、既に「パパラギ」の書かれた1920年頃には、「金銭や物質の豊かさによって人は幸福にはなりえない」という考えが存在し、それに共感す欧米人がたくさんいたことに驚きます。
 与えられたもので満足すること、それを隣人と分かち合うこと、そして、目に見えない豊かさを大切にすること。そこに、真の幸せが存在することを、「パパラギ」やブータンのGNHは私たちに教えてくれています。
 「幸せは、いつも自分の心が決める」(相田みつを)



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