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菊地茂

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 本日も、全国社会就労センター長研修会に出席いたします。


 今日は、井出かほる先生の言葉のご紹介です。


 昭和39年「仏法をアメリカに伝える」という誓いを胸に嶋野榮道(しまの・えいどう)先生が渡米したのは、28歳のときでした。スーツケース一つと仏像一つを持ってニューヨークにたどり着いたとき、所持金はたったの五ドル。とりあえず住む場所を探し、タクシードライバーをしながらの生活が始まりました。アメリカ人たちは、いつも濁っているニューヨークのハドソン川になぞらえて、彼をあざ笑い口々に言いました。「ハドソン川が澄んでも、アメリカに禅寺が建つことはない」と。心打ち砕かれた彼は最初の志を忘れ、座禅もせず、お京も読まず、掃除すらしない日々を送るようになりました。
 そんなある日、師匠・中川老師の言葉をはっと思い出し我に帰りました。「もし、法のために心身を捧げるなら、法の方からやってくる」と。あー自分は、何のためにアメリカに渡ってきたんだと、その日に、嶋野先生は、仕事を断り、その翌日から、朝4時に起き、座禅、読経、掃除をしました。「誰もいなくてもかまわない。ただ禅僧として、為すべきことを為せばいいのだ」と決心すると腹が据わりました。そして、ただ毎日それを続けているうちに、自分の話を聞きに来られる人が次第に増えてきました。そしてその中からあるご夫妻が、「あなたは、はるばる日本からやってきて、アメリカ人のために座禅を教えて下さっている。このお金でお寺を建ててください」と多額の寄付をされたのです。そして三年後、禅堂正法寺が、建立されました。
 つい、日常生活の中で、わたしたちは自分の原点や本業を忘れることがあります。常に立ちかえっていきたいものですね。



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