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命あるカウンセリング

菊地茂

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 本日は、NPO法人シャロームの会職員全体研修会に出席いたします。


 今日は、丸山芳浩先生の言葉のご紹介です。


 第2次世界大戦中、アウシュビッツ収容所での体験を名著『夜と霧』で著したビクトール・フランクルは、極限生活から生き残った秘密に「人生に意味を見出す」ことを挙げています。
 家族と離ればなれになった彼は、「この極限の苦しみの中で私が生きる理由は何か。それはもう一度愛する家族と会うためだ」と収容所生活に意味付けをしました。しかし、その時、既に奥様は亡くなられていたそうです。
 ナチスドイツに翻弄され、愛する人の死という過酷な現実を前にして、彼は絶望に陥ってもよいはずでした。しかし彼は収容所の体験記を書くことにエネルギーを向けたのです。
 戦後、強制収容所を扱った多くの本が出版された中で、現在も「夜と霧」が残った理由を翻訳者の霜山徳爾さんはこう記しています。「『夜と霧』が人の心を打つのは、フランクルが『告発しない』ことによります」
 自分を虐げた側への復讐心に燃えるのではなく、「どんな環境の中でも人間は意味を見出して生きていくことが出来る」という祝福を分かち合ったところに、人々は「命」を感じたのではないでしょうか。
 煮詰まり、行き詰まった人間関係に「意味」を見出し、クライエントと共に「意味」を創造していく…。命あるカウンセリングのみが成せる業です。



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