仙台の行政書士より241125心のメッセージ
本日は、丸山芳浩先生の言葉のご紹介です。
作家の遠藤周作氏の本の中に、こんなお話があります。遠藤氏が入院中、夜、獣の吠えるような声が聞こえてきました。翌朝、看護師さんに聞くと、個人情報保護法が施行されるずっと前の時代でしたので、「末期のがん患者さんです。当人は医師で、もう痛みにモルヒネも効かない状況なので仕方ないんです。」という答えが返ってきました。「じゃぁ、そういう時、どうするのか」と尋ねると、「その手を握ってあげます。そうすると、少しずつ静かになっていくのです。」
この答えに遠藤氏は「そんな馬鹿な。ありえっこない。」と思います。しかしこの後、彼が手術後の痛みの夜を迎え、麻酔薬もこれ以上打てない状況の時、看護婦さんが手をじっと握ってベッドの横に座って下さいました。すると、痛みが少しずつ静まってきたのです。「ひとりではない」、「私のことをわかってくれる人がいる」。この慰めが人の心を癒し、力づけるのだと遠藤氏は自分の体験から書いておられます。
あなたにも過去に味わった心の痛みや、葬り去ってしまいたい苦々しい思い出があることでしょう。しかし、苦しみの体験が豊富であればあるほど、多くの人に深く共感することができるのです。人の心の痛みを鎮める「共感」という宝物が授けられていることを今一度思いめぐらしてみましょう。