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変動金利と固定金利住宅ローンの違いは?どっちが得?をわかりやすく解説

栗山琢磨

栗山琢磨

テーマ:資金計画・住宅ローン

住宅ローンの検討はマイホーム購入の際、多くの人にとって大きな課題となります。
長期間の返済を考え少しでもお得な住宅ローンを選びたいとなれば金利の事が気になるはず。
そんな時、銀行間の金利条件だけでは無く、変動金利と固定金利の存在に目を向けていますか?
「変動金利?固定金利?名前は知ってる」
「どっちを選んだ方が得なの?」
マイホーム計画を考え始めてから住宅ローンの話題に関心を寄せていると変動金利、固定金利という名称が耳に入る機会はありながらも、両者の違いがよくわからなかったり、外形的な違いは理解していても本当のところはどちらを選ぶべきかよく分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
なにせ住宅ローンの返済はマイホーム購入の一時で終わるものではありません。
マイホーム購入後も長期間にわたり家計負担の中で大きなウエイトを占める存在であると共に、金利は住宅ローン返済の条件を大きく左右します。
そうした中で変動金利と固定金利の選択は、住宅ローン返済開始後の先々を考えた時に本来非常に大きなテーマなのです。
両者の違いを理解して納得のいく選択をしたいですね。
今回はマイホーム計画には欠かせない、変動金利と固定金利住宅ローンの違いについて、住宅購入コンサルタントでありファイナンシャルプランナーでもある私がわかりやすく解説いたします。


・変動金利と固定金利住宅ローンの違いとは?


マイホーム購入で住宅ローンを検討する際、金利の水準は誰もが気になるはずです。
そんな中どの銀行の住宅ローン金利が何パーセントという事に目が集まりがちですが、一体どのような金利タイプの水準であるかがわからなければ本来比較のしようがないのです。
どのような金利タイプとはどういう事か?
これに関わるのが変動金利と固定金利の違いという事になります。
まずは両者の違いから説明しましょう。既にご存知の方もこの機会に再確認しませんか。

固定金利の住宅ローン

固定金利住宅ローンの仕組みはとてもシンプルでわかりやすく、借入開始時に定めた適用金利が返済期間中推移します。
例えば35年返済、金利1.5%の住宅ローンであった場合、返済期間中に市中の金利水準が上下しようとも適用金利は変わらず、当初定めた金利での返済額が継続されます。
これに該当する住宅ローン商品としてはフラット35が代表格と言え、皆さんも耳にする事があるのではないでしょうか。
固定金利のメリットは毎月の返済額が先々の金利水準によって変化する事がないので「先々世の中の金利は今後上がるのかな?」と言ったような事に左右されないわかりやすさが挙げられます。
但しデメリットもあります。
後ほど紹介する変動金利の住宅ローンと比較した場合、固定金利の方が一般的に返済当初の適用金利は高い水準となります。
この金利差がどっちを選ぶかの判断を左右する事となるのですが、その見極め方については先の項でわかりやすくお話ししましょう。
固定金利はもう一つ注意点があります。
例えば前述のフラット35の場合、建築する住宅の性能によって返済初頭の10年間、そこから更に当初5年間を優遇金利が適用される場合があります。
この場合、本来の適用金利が1.5%であったとすると1〜5年1.0%、6〜10年1.25%、11年〜1.5%といった様に段階的に当初の金利水準が引き下げられます。
但し、上記の場合であれば6年目と11年目に適用金利が段階的に変わる為、返済額も変化する事には注意が必要です。

変動金利の住宅ローン

次は固定金利に対して変動金利の住宅ローンです。
こちらの違いは世の中の金利水準に合わせて金利が上下するのが特徴です。
因みに世の中の金利とは正確には変動金利の場合、銀行が優良企業向けの融資に適用する「短期プライムレート」、固定金利は「新発10年物国債利回り」に連動する仕組みとなっております。
つまり先々の適用金利は確定しておらず、少々わかりにくいのは世の金利水準推移によっては返済額が上下する可能性のある住宅ローンであると言うことです。
最大のメリットは、先の固定金利と比較した場合に変動金利の方が当初の適用金利水準が低い事です。
当然のことながら同じ融資額で両者を比較した場合は変動金利の住宅ローンの方が当初の返済額は低く抑える事ができます。
しかしながらデメリットになるのが先に説明した金利の変動が上向きで起きる可能性です。
こうした場合は返済額は上昇し、その金利上昇幅によっては固定金利と返済額が逆転する可能性も起こり得ます。
こうしたリスクを低減させる為、変動金利住宅ローンには「固定期間付き変動金利」と言うタイプも存在します。

固定期間付き変動金利

前述の様に変動金利のデメリットは金利の上昇ですが、リスク許容度が固定金利の様な全期間までは不要である場合向けに、多くの金融機関で固定期間付き変動金利というタイプが変動金利住宅ローンの中に設けられております。
仕組みとしては個々に設定された期間内は先に説明した固定金利と同じ様に市中の金利情勢変化に関わらず住宅ローン開始時に設定された適用金利で推移しますが、その期間が終了した時点で通常の変動金利と同じ機能に条件が変わります。
つまり期間により固定金利と変動金利の両方の機能を使い分ける住宅ローンと言えます。
また、固定金利の期間については3年、5年、10年、15年(金融機関により更に細かな設定有り)といった様にいくつかの選択肢が設けられているものが主流となっており、
「変動金利は心配だけど固定金利までは・・・」
という場合の選択肢として考えられるでしょう。

・住宅ローンは変動金利と固定金利どっちが多い?


さて、固定金利と変動金利の住宅ローンですが、一体どっちを選ぶのが得策なのでしょうか?
これを考える前に、実際にマイホーム購入を済ませた人々は、どちらの金利タイプの住宅ローンを利用しているのか気になりませんか?
これについては国土交通省が実施している「民間住宅ローンの実態に関する調査」から読み取る事ができます。
令和2年度の調査では国内1274社の調査対象金融機関から得た1237社の回答結果に基づく統計が報告されております。
調査結果における「個人向け住宅ローンの実績」内の「新規貸出額における金利タイプ別割合」を見ますと各金利タイプ別の割合は以下の通りとなっております。
因みにフラット35は証券化ローンに含まれます。

・変動金利型  :  63.1%
・固定金利期間選択型:19.9%
・全期間固定金利型 : 4.6%
・証券化ローン  : 12.4%
(国土交通省 令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書参照)


これを見ますと結果は歴然としており、新規住宅ローンの2/3近くが変動金利で融資されており、固定期間付き変動金利も含めれば、実に8割以上が変動金利と余りにもわかりやすい結果です。
これだけを捉えれば「多くの人に評価されているのは変動金利の住宅ローン」であり、それを参考にするならば難しい違いは分からねども、これだけ多くの人に支持されている変動金利を選んだ方が固定金利よりも良さそうにも思えてくるかもしれません。
果たしてそう結論付けて良いものなのか?
更に両者の違いを深掘りしてみましょう。

・変動金利と固定金利どっちが得かで選んでない?


それにしても大差のある変動金利、固定金利の融資実績です。
両者のメリット、デメリットの違いを比較した時に「どっちが得か?」の観点が「どっちが安心か?」を上回って評価されているとも読み取れます。
確かにこの結果を裏付ける様に、マイホーム計画を進めている方に対するハウスメーカーや不動産会社の営業マンへの資金相談の場面でも、変動金利の住宅ローンを勧められるケースが圧倒的に多いのではないでしょうか。
寧ろ比較というよりは変動金利での借り入れを大前提にした資金計画の流れになっているかもしれません。
そのオススメの根拠は「どっちが得か?」と言う観点で語られるケースが常態のようです。
但し!
住宅ローン借り入れ当初の返済額が固定金利よりも変動金利が低く抑えられるのは前述の通り事実ですが、問題はその先です。
金融商品の検討で欠かしてはならないのが「リスク」と「リターン」双方の検証ですが、この点において「どっちが得か?」という観点はリターンにスポットを当てたものです。
それでは「リスク」、即ち金利上昇局面の事態は検証されているでしょうか?

・リスクとリターンを比較する


リスクとリターンを考える時に、よく例えとして「ハイリスク、ハイリターン」「ローリスク、ローリターン」という言い回しがありますね。
一般的に人のマインドはリスクが少なくリターンが大きいものを志向し、リスクが高くリターンが小さいものは敬遠する思考が働きます。
これは金融商品の選択やマイホーム購入に限らず、日常生活における物事の判断全般において共通する傾向と言えるでしょう。
また、リスクを承知でリターンを狙うのであれば、それはある種の「賭け」であり結果は不確実なものとならざるを得ません。
一方でそのリスクが許容度を超え不利益が見過ごせない場合には「回避」するか、尚も実施する場合は「リスクヘッジ」つまり保険を掛ける行動をとるのが合理的な判断と考えるはずです。
但しこれはリスクとリターン双方が定量的に分析されていなければ、冷静に判断を下す事は難しいでしょう。

・変動金利と固定金利のリスクとリターン


それではこのリスクとリターンの考え方を主題である住宅ローンの変動金利と固定金利の違いに置き換えてみます。
まずは多くの方に選ばれている変動金利の観点から。
変動金利のリターンに該当するものは固定金利との金利差です。
これを約1%前後とした場合、ゼロ金利の現状を考えれば金利水準の更なる低下を考慮する必要は無く、リターンの最大値はこの1%前後の金利差という事になります。
これに対しリスクはどうでしょう。金利に上限はあるでしょうか?
そうです。上限はありません。
では金利上昇の可能性はどうでしょうか?
これに関しては様々な見解が入り込む余地がありますが全てが説に過ぎず、今後の金利動向について確定的な予測を立てる事は不可能であるとするならば、ここにリスクが存在します。
また、よく営業マンから発せられる「長く続いた低金利がそう簡単に」や「金利上昇なんて想像できますか?」と言ったフレーズには何も根拠が含まれない情緒的なものに過ぎず、リスクの評価としては相応しいとは言えない点には注意が必要です。
反対に固定金利の観点で評価してみます。
リターンに該当するものはリスクヘッジに該当する機能が備わる点です。この機能は変動金利には付帯されておりません。
それに対しリスクは何か?
リスクヘッジに要するコストが掛かります。
これが変動金利との金利差であり、もし金利上昇が起こらなければこのコストは無駄払いに終わってしまいます。
つまり、両者を比較した場合、「どっちが得か?」「どっちが安心か?」というリターンの目標にそれぞれ違いがあり、そのどちらを優先的に選ぶかという観点。
また、リターンを得る為のリスク値が「未知数」「1%前後の金利差」という違いを合わせ考えた時に、どちらが合理的か判断を下し選択するという手順が妥当なのではないでしょうか。

・1%のコストを払っても安心を選ぶ
・1%のリターンを期待して不確かなリスクには目をつぶる

ここから先は個々の考えにおいて判断が分かれてくるかもしれません。
返済期間や返済負担額も判断を左右する要素となるはずです。
短期間での返済期間であるならば、金利変動のリスク許容度も余裕が持てるかもしれませんし、反対に家計上の余力に不安があればリスクヘッジを効かせておいた方が安心であるとも考えられます。
いずれにしましてもリスク、リターンの性質と皆さんの状態や考えを十分にすり合わせをしてどちらの住宅ローンを利用するかを選んでいくのが手堅い進め方なのではないでしょうか。

・変動金利と固定金利住宅ローンの選び方のまとめ

ローン
マイホーム計画を進める際、誰もが少しでも負担を押さえたり、不安な課題を解消しようと腐心されるはずです。
これは住宅ローンの選択も同様であり、そもそも言われるまでも無く皆さんここに注力している事でしょう。
しかしながら、案外深い議論無しに感覚的なプロセスで決着されてしまっているのが、変動金利と固定金利どっちを選ぶかの検討ではないでしょうか。
これらの選択もマイホーム計画における将来の負担や不安を左右する重要なテーマです。
どっちが得か?どっちが安心か?優先課題は勿論、それに伴う負荷も併せて理解した上で合理的な選択をしたいですね。

パートナーズライフプランニング の「マイホーム購入サポート」では今回テーマとしました変動金利、固定金利の違いは勿論、金利のメカニズムも含めわかりやすく皆さんの資金設計のご相談にお手伝いいたします。
公式ホームページでは、土地探しや間取りづくり、ハウスメーカー探しも含めた家づくりの情報を豊富に揃えております。
併せてご覧いただければ幸いです。

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栗山琢磨(住宅購入・家計設計コンサルタント)

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ハウスメーカーでの経験とファイナンシャル・プランナーの知見から、住宅購入をサポート。将来を見通した資金計画から、土地探し、間取り図作成、住宅会社選びまでトータルで相談に応じ家づくりの満足度を高めます。

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