今後の日本経済の見通しは、曇りです。(2)

三浦孝広

三浦孝広

テーマ:時事の経済コラム

前回は、「日銀の追加の金融緩和の国内景気に対する効果は、現状の景気を下支えする程度」
と著者が考えるていることを示しました。

今回は、この追加の金融緩和で、思わぬ効果が生まれる事を示したいと思います。

世界が驚いた追加の金融緩和

国内の景気に対しては下支えする程度ですが、海外は大変な驚きと期待を与えました。

  『「日本銀行が10月31日に決めた追加の金融緩和策は、世界中に驚きを持って受け止められた」、
  「主要な株式相場が値上がりする世界同時株高の様相となった」』
    *引用:読売新聞(電子版)
  『「ハロウィーン(欧米の伝統行事)・サプライズだ」、「日本の刺激策が世界市場を席巻した」』
    *引用:米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)

日銀が、世界経済を救う

日銀が追加の金融緩和を発表した日は、折しも米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の終了を決定した2日後でした。
世界は米国の量的金融緩和の終了をとても恐れておりました。米国では主だった資金需要がないため、緩和された資金の多くは発展途上国に流れました。その資金が米国に還流するのは確実で、その資金の穴埋めをするのに日銀が手を上げた形になりました。

実際に起きていることを考えると本質が見える

よく、「だぶついた資金が発展途上国に流れる」、「自国へ資金が還流する」という表現を目にするが、実際はどういう行動が行われているかを考えないと本質が見えないことがあります。

 ほぼゼロ金利でお金が借りられるが、米国には儲ける方法が見つからない。そんな時、発展途上国は年7%で成長し、儲ける方法があったら・・・、米国で借金して、発展途上国で商売しますよね。
これが「だぶついた資金が発展途上国に流れる」です。ただでお金がもらえる訳ではありません。ドル建ての借用書付きです。
(ただでお金がもらえるなら・・・、私が我先にもらいに行きます。)

 だけど「米国の金融緩和が終わって、金利が掛かるようになるかもしれない・・・」となったら、もう大変。簡単に話を進める為の例として、100の資本金の内、1割の自己資金を出して9割を借金している人がいます。単純に2%の金利増加で、1年間に1.8のお金を余計に返さなくてはなりません(借入額90×増加金利分0.02)。自己資金は10ですから、自己資金に対する増加した金利負担分の割合は18%です(増加した金利負担分1.8÷自己資金10)。これは、5年借り続けたら自己資金分のお金を返さなくてはならないことを意味します。(金利変動リスク)

 「発展途上国での商売がうまくいってるんだ。金利変動なんて大丈夫」と考えて商売を続ける人もいますよね。でも、周りの米国人が商売をやめて、発展途上国の資産(土地や建物)を売って、発展途上国の通貨にして、それをドルにして借金を返します。この発展途上国の資産を売るという行為で、不動産価格の下落がおき、また、発展途上国の通貨にしてそれをドルにする行為で、ドル高に向かいます。つまり、発展途上国の資産と通貨の下落が起こるのです。(為替リスク)
 資産と通貨の下落が起こったらもう無理です。頼みの経済成長も鈍化します。そうなれば・・・、ドル建ての借金は返せません。
 なので、そうなる前に為替リスクが本格的に出る前に精算し、利益を確定させるようとする動き。これが「自国へ資金が還流する」ということです。
(*発展途上国の資産と通貨の下落が強く起こった現象が、アジア通貨危機です。)

日銀は、米国を救う!!

先の話でもわかるように、難しいのは金融緩和を始める時では無く、金融緩和を止める時なのです。特に大きな資金が入ったときは、引き上げる前の含み益は大金でも、引き上げてみると暴落でその半分ということはよくあります。
(株をされている方はお分かりだと思いますが、売って確定させて初めて儲けが分かるものです。)

今回、日銀が追加の金融緩和をすることを発表し、資金源になることを世界にアピールしたので、為替リスクが大幅に減少しました。米国は想定以上に楽に資金の引き上げを実行できると思います。

逆に日本は、「金融緩和の出口戦略」という難しい宿題を背負いました。
(日本のことだから、一生資金の引き上げを行わず、債権国として、儲けているのか、儲けていないのか分からない状態を続けていくのかな。でも、そんな日本のおかげで・・・、今、配当・利子の収支の黒字で・・・、日本の経常収支の黒字を保っている・・・。何が良いのかなんて後から振り返ってみないと解らないものですね。)

円安が一段と進む。

今後、ドル建ての借金から円建ての借金に変わる方向に進むので、小泉内閣の時のような、円キャリアトレードが起きます。(また、FRBはゼロ金利を続けるといっているので、不確定ですが、今回の量的金融緩和の終了で米国債の金利の上昇が起こると思われます。その金利に引かれて、日本のお金が米国に移動すると思います。)

これにより、円安に進み、2年後位に1ドル120~125円になると思います。
*これは予想ですので、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」でお願いいたします。

次回につづく。

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三浦孝広
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三浦孝広(宅地建物取引士)

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「地域密着」をテーマに商圏を店舗から半径2Kmすることで、他社より地元情報をどこよりも多く取りそろえ、諸費・広告費を抑えることで低価格を実現しているのが強み。不動産活用と相続・法律の資格保有も強み。

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