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コラム

森永卓郎さんの講演から考える。(3)

2013年10月8日

テーマ:時事の経済コラム

コラムカテゴリ:住宅・建物

経済アナリストの森永卓郎さんの講演を聞きに行き、そこでの要点や私が感じたことや考えの続き。

デフレは終わり、インフレが始まる

アベノミクスが始まって、すでにデフレは終わっています(2014年4月に消費増税を行っても)。デフレの時は、黙っていても現金の価値が上がっていくので、誰でも資産が守れる。インフレの時にはそう簡単にいきません。インフレの時には現金を持っていると物価上昇でドンドン資産が減っていきます。物価上昇に預金金利が追いつくことはありません。
自分が汗水たらした資産は守らないといけなくなりました。

公的年金の目減りが始まる。

公的年金に関して、現在、制度設計より10.6%多く支給しています。これは、デフレの時に物価スライド
で年金の支給を減らさなくてはならないのを、政治的配慮で減らさなかったためです。これを是正していくことが合意しております。
また、2004年の年金制度改革で修正積み立て方式(自己の積立金へ)から年金受給者に支払う賦課方式(現在の年金給付へ)に変更となりました。このことから現役世代が減っていくので年金給付を減らしていく方向へ向かいます(マクロ経済スライド)。
民主党政権の小宮山厚生労働大臣にNHKの番組でこの問題を直接聞いてみました。その時の答弁では、「まず物価スライドの未収分を回収して、すぐさまマクロ経済スライドの積み残しを実行に移します。」これはNHKなので政府の公式答弁と同じです。

公的年金だけでは、貧困層になっていく。

今年でデフレは終わりました。これからインフレになっていきますが、年金は上がりません。その目減り分が未収分や積み残しに充てられるのです。「物価が上がるが、年金は上がらない」状態が私の計算では少なくとも15年間は続きます。つまり年金はずーっと今の額を横ばいです。
来年のインフレ率は、消費税率の引き上げで消費者物価が少なくとも2%上昇、日銀は消費増税とは別に年2%の物価上昇の目標にしている。つまり来年の物価上昇は3%~4%です。
こうして年金額はズルズルと落ちていきます。どこまで落ちていくかと言うと、実は、厚生労働省はHP上でひっそりと発表しているのです。
年金の指標に、並みの現役世代の何割支給されるかというのがあります。今は61%ですが、厚生労働省の試算では20年後にはどの世代も40%前後になる。つまり年金は今の2/3の水準になります。問題は、現役世代の50%を下回る所得水準がOECDの定める貧困ラインなのです。今は、年金生活だけでも貧困ではないですが、20年後は年金だけでは貧困になってしまうのです。

貧困にならないよう頑張りましょう。

今65歳まで生きた女性が、100歳まで生きる確率は6%です。つまり生き残るリスクがあるのです。このままほっておくと、80歳を過ぎた後、ずーっと貧困のまま20年を過ごさなくてはならなくなります。だから、私は、お金持ちを目指すのでなくて、少なくとも貧困にはならないようにしようとずっと言い続けています。その為には、どうやって自分の資産を守っていくのかというのを真剣に考えておかないとなりません。ボーとしていると確実にやられちゃうという時代になりました。大金持ちを目指すよりも、安定的な収入を生む方法を考えた方が良いと思います。生活さえ安定していれば、老後のゆったりした時間を使って楽しいことはいっぱいあります。

私が感じたこと: 本当にデフレは終わったのか??

森永先生の考えの中で、唯一私の考えと異なっている点は、デフレが終わったという点です。森永先生は、世界各国と同じく日銀が金融緩和を進めるのでデフレは終わったと強く言われていたが、私は、消費税率の引き上げで、経済が失速してデフレが続く可能性があると思っております。あとは、不動産会社の経営者として、実際に接している経済感覚と同様であり、数字を踏まえた上のわかりやすい説明でした。

私の解説: 2014年の物価上昇に関して

森永先生は来年3%~4%の物価上昇があるといっていました。この原因が消費税率の引き上げと日銀の金融緩和でした。実は、両方とも家庭の可処分所得の目減りをもらたします。消費税率の引き上げは納税分目減り、日銀の金融緩和では円安により原材料費の増加で目減りを起こします。つまり、インフレになったからと言って、我々の労働力が増加はしないのです。経済が停滞しておるのに物価が上昇する(インフレが起きる)スタグフレーションが起こる可能性があり、その後デフレの可能性も私はあると思います。

私の解説: インフレに関して

インフレの定義は、経済のメカニズムにおいて持続的な物価の上昇現象のこと。つまり、モノの価格が上がる現象を言います。インフレ(モノの価格が上がる現象)には、良いインフレと悪いインフレがあります。モノの価格は「エネルギー・原料費(海外付加価値)」と「労働費(国内付加価値)」に分かれます。(厳密には、原料費もすべて労働力であると言えますが、資源のない日本においてはこの方がわかりやすいので、)
良いインフレとは「労働費(国内付加価値)」の増加による物価の上昇現象です。これは家庭の可処分所得が維持もしくは、増えるので景気は好循環となります。では、悪いインフレとは「エネルギー・原材料(海外付加価値)」の増加による物価の上昇現象です。これは家庭の可処分所得が目減りし、景気は悪循環となります。
今、政府は労働者の給与の増加(労働費(国内付加価値)の増加)に繋げて、良いインフレを起こそうと頑張っています。名目賃金でよいので”労働者給与の増加”それが、本当に日本経済のポイントになります。

(終わり)
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この記事を書いたプロ

三浦孝広

地域密着がモットーの不動産のプロ

三浦孝広((株)三住)

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