「法定相続人が一人もいない方」のための遺言書の書き方
「再婚している方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.19】として、『「再婚している方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
離婚し、前配偶者との間に子供がいる場合
離婚しており、前配偶者との間に子供がいる場合には、その子供にも相続権が認められます。
そのため、その子供と現在も密接な関わりがあるか否か、同居しているか否かにかかわらず、その子供に財産を相続させるのかについて、はっきりと決めておく必要があります。
現配偶者との間にも子がいる場合
現配偶者との間にも子供がいる場合には、前配偶者との間に子供と「共に」相続権があります。
そのため、前配偶者との間の子供と現配偶者との間の子供に、それぞれどの財産を残すかをはっきりと決めておく必要があります。
遺留分侵害額請求されるリスクについて
前配偶者と離婚した後全く連絡を取っておらず、前配偶者との間の子供に財産を残す気は全くないということもあります。
しかし、前述のとおり、前配偶者との間の子供にも相続権が認められ、さらに、法定相続分の2分の1の遺留分が認められます(民法1028・1031)。
仮に、前配偶者との間の子供に一切の財産を残さないという内容の遺言を残した場合には、前配偶者との間の子供から「遺留分侵害額請求訴訟」を提起される可能性があります。
前配偶者との間の子供から「遺留分侵害額請求訴訟」を提起されるリスクを避けるため、前配偶者との間の子供にも最低限の相続分、例えば、前配偶者との間の子供の「遺留分に近い割合の財産」を残すことが考えられます。
また、前配偶者との間の子の遺留分を侵害する内容の遺言を残す場合には、遺言作成に当たって、どうしてそのような遺言を残したのかについて、心情を「付言事項」として記載しておくこともも一つの方法ではあります。
不動産を所有している場合の注意点
遺言を残さなければ、相続財産は現配偶者及びその子供、そして、前配偶者との間の子供との「共有」となります。
不動産を所有し、その不動産に配偶者とその子供が住んでいる場合、相続によりその不動産も前配偶者との間の子供との「共有財産」となります。
もしも、遺産分割の話合いが上手くいかなければ、現配偶者及びその子供と前配偶者との間の子供との間で不動産を巡り紛争が生じ、場合によっては、現配偶者及びその子供が住んでいる家を売り払うことを余儀なくされることもあり得ます。
不動産を所有し、その不動産に配偶者とその子供が住んでいる場合は、現配偶者(及びその子供)に不動産を相続させる旨の遺言を残すことが必須です。
そうすることで、不動産は相続開始と同時に現配偶者(及びその子供)の所有となり、さらに現配偶者(及びその子供)は相続開始と同時に、単独で、不動産の名義変更をすることができます。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物を、遺言者の配偶者である妻幸子(昭和○年○月○日生)に相談させる。
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)