「親族に事業承継する方」のための遺言書の書き方
「相続人になる兄弟姉妹の判断能力に不安がある方」のための遺言
こんにちは、「遺言作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.17】として、『「相続人になる兄弟姉妹の判断能力に不安がある方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
相続人になる兄弟姉妹の判断能力に不安がある場合には、仮に、その兄弟姉妹に財産を遺したとしても、自ら財産を管理することができないことも考えられます。その場合、その兄弟姉妹に財産を承継させてもよいかどうか検討する必要があります。
兄弟姉妹の認知症等による判断能力の衰えの確認
兄弟姉妹に認知症等の病状による判断能力の衰えがあるかどうかは、兄弟姉妹の日常生活から判断することもできますが、兄弟姉妹の主治医の意見を聞くことが適切です。
兄弟姉妹の主治医に長谷川式認知症スケールによりテストを実施してもらうなどして、兄弟姉妹の判断能力を正確に判断してもらう必要があります。
兄弟姉妹の成年後見制度の利用の有無
兄弟姉妹が成年後見制度を利用している場合には、後見人、保佐人、補助人又は任意後見人が選任されていますので、その者の氏名や連絡先などの確認が必要です。
そして、成年後見制度を利用している兄弟姉妹へ財産を残す場合には、事前に後見人等に財産管理の状況や方針も確認しておくことが必要です。
成年後見制度を利用している兄弟姉妹へ財産を残す意思の有無
成年後見制度のうち、兄弟姉妹が「保佐、補助や任意後見」を利用している場合には、兄弟姉妹自身が財産を管理すること、又は兄弟姉妹の意思に基づく財産管理はまだ可能性があります。
しかし、兄弟姉妹が「法定後見」を利用している場合には、兄弟姉妹自身が財産を管理することはできないため、兄弟姉妹に財産を残すべきか検討する必要があります。
なぜならば、兄弟姉妹が「法定後見」を利用している場合には、仮に兄弟姉妹に財産を残したとしても、「成年後見人」が全財産を管理することになり、その使途に制限が課せられることがあります。
この場合、遺言で「兄弟姉妹の子供」に財産を承継させた上で、その子供が兄弟姉妹のために財産を活用するという考え方もあり得ます。
財産管理が難しい兄弟姉妹に代わってその子供に財産を残す場合
兄弟姉妹自身による財産管理ができない場合には、兄弟姉妹に代わって、その子供に財産を承継させた上で、その子供が兄弟姉妹のために財産を活用する方法も考えられます。
その場合には、遺言によりその子供に財産を承継させつつ、その子に対し、兄弟姉妹の世話をするという「負担を付する」方法があります(民法1002)。
条項例
第○条 遺言者は、下記の財産を弟A(昭和○年○月○日生、住所:○○県○○市○○町○○)の長女B(昭和○年○月○生、住所:○○県○○市○○町○○)に遺贈する。この財産を承継させる負担として、BはAが死亡するまで同人と同居し、生活費、医療費を負担し、身辺の介護をすること。
記
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)