自己使用の「建物」を所有している方のための遺言書の書き方
「親に多くの財産を残したい方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.14】として、『「親に多くの財産を残したい方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
親に特に残しておきたい財産の特定
自分の死後、親の生活を心配して、親が住んでいる自分名義の家など親の生活に必要不可欠な財産を親に残したいと思います。
その場合、具体的に、親に残したい家(不動産)を「特定」し遺言書に記載することが必要です。
条項例
第○条 遺言書は、遺言者の所有する次の土地及び建物を、父A(昭和○年○月○日生、
住所:○○県○○市○○町○○)に相続させる。
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)
親に法定相続分よりも多くの財産を残しておきたい場合のトラブル
親に対し、その後の生活を心配し、法定相続分よりも多くの財産を残したい場合、それが他の相続人の遺留分を侵害したときには、他の相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります(民法1028・1031)。
その結果、親が相続人間のトラブルに巻き込まれ、かえって、親の利益を損ねる可能性があり注意が必要です。
親に法定相続分を超える財産を残すという遺言をする場合、考えられるトラブル回避方法としては他の相続人の遺留分を侵害しない程度に留めることです。
他の相続人の遺留分を侵害しなければ、親がトラブルに巻き込まれる危険性は低くなります。
仮に、親へ多くの財産を残すという遺言が他の相続人の遺留分を侵害していた場合には、どうして親に多くの財産を残そうとしたのかを「付言事項」として遺言に記載することも有用です。
遺言に遺言者の考えを明確に記載することにより、他の相続人から親への遺留分侵害額請求を行わないように説得する効果を期待できます。
付言事項 文例
私の父はとても苦しい生活の中、私の生活や教育にできる限りのことをしてくれました。
そのお礼の気持ちを込めて、私が先に死ぬようなことがあれば、相続財産の半分を父に残したいと思います。
妻Aは、私の心情を十分に理解して、私が父に財産を残すことを理解してください。