「実親以外に養親がいる方」のための遺言書の書き方
「親の判断能力に不安を感じる方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.13】として、『「親の判断能力に不安を感じる方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な「遺産分割協議書」が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言を作成しようと思った時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
子供がいない方、配偶者がいない方は、親が相続人となります。仮に、その親が自ら財産を管理できないことも考えられます。親が自ら財産を管理できない場合には、その親に財産を承継させてよいものかどうか検討する必要があります。
親の認知症等による判断能力の衰えの確認
親に認知症等の病状による判断能力の衰えがあるかどうかは、親の日常生活から判断することもできますが、生活を共にしていない場合は判断が容易ではありません。
この場合、親の主治医の意見を聞くことが適切な判断であるといえます。
親の主治医に長谷川式認知症スケールによるテストを実施して、親の判断能力を正確に判断してもらうことが必要です。
親の成年後見制度の利用の確認
親が既に成年後見制度を利用している場合には、後見人、保佐人、補助人又は任意後見人が選任されています。
まず、それら後見人等の氏名や連絡先等を確認します。
成年後見制度を利用している親へ財産を残す場合には、事前に、後見人等に連絡し「親の財産管理の状況や方針」を確認しておく必要があります。
成年後見制度を利用している親へ財産を残すかどうかの確認と注意
成年後見制度のうち、親が「保佐、補助や任意後見」を利用している場合には、親が財産を管理すること、又は親の意思に従った財産管理はまだ可能性があります。
しかし、親が「法定後見」を利用している場合には、親が財産を管理することはできません。
親が「成年後見」を利用している場合は、親に財産を残すべきか検討する必要があります。
なぜなら、親が「成年後見」を利用している場合は、仮に親に財産を残したとしても、「成年後見人」が全財産を管理することになり、成年後見人の行為は、裁判所の監督の下、その使途に制限が加えられてしまい、思い通りならない可能性があるからです。
そのため、親に財産を遺すではなく遺言書で本人の兄弟姉妹へ財産を遺し、親のために財産を活用するという考え方も検討する必要があり得ます。
ただし、親が法定後見を利用しており、仮に、親の遺留分を侵害する内容の遺言を残した場合には、成年後見人から遺留分侵害額請求をされることがありますので注意が必要です。
財産管理が難しい親に代わって兄弟姉妹に財産を残す場合の条項例
親による財産管理ができない場合には、親に代わって、兄弟姉妹に財産を承継させた上で、その兄弟姉妹が親のために財産を活用する方法があります。
その場合は、遺言により兄弟姉妹に財産を承継させつつ、その兄弟姉妹に対して、親の世話をするという負担を付する方法(負担付遺贈)の検討も有効であります(民法1002)。
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度において、負担した義務を履行する責任を負いますので、遺言書がまったくない状態よりも実現性が担保されます。
条項例
第○条 遺言者は、下記の財産を弟B(昭和○年○月○日生、住所:○○県○○市○○町○○)
に相続させる。
この財産を相続させる負担として、弟Bは母A(昭和○年○月○日生、住所:○○県○○
市○○町○○)が死亡するまで同人と同居し、生活費、医療費を負担し、身辺の介護を
すること。
記
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)