「兄弟姉妹が法定相続人になる方」のための遺言書の書き方
「特定の子供に多く財産を残したい方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市まさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.9】として、『「特定の子供に多く財産を残したい方」のための遺言書の書き方』についてお伝えしたいと思います。
遺言書を作成する皆様共通のメリット・理由は、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言作成時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
特定の子供に特に残しておきたい財産の特定
自分の死後、特定の子(例えば、障がいを持っている子)の生活を心配し、その子供に対して、居住用不動産など子の生活に必要不可欠な財産を残したいと希望する場合があります。
その場合、具体的にどの財産を残したいかを特定する必要があります。
条項例
第○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物を、長男A
(平成○年○月○日生、住所:○○県○○市○○町○○)
に相続させる。
1 土地の表示 (省略)
2 建物の表示 (省略)
特定の子供に法定相続分より多くの財産を残す場合の注意点
特定の子供に法定相続分を超える財産を残そうとする場合、それが他の相続人の遺留分を侵害するときには、他の相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
その結果、当該子供が相続人間のトラブルに巻き込まれ、かえって、その子供の利益を損ねることなりかねません。
このようなトラブルを回避する方法としては、子供に法定相続分を超える財産を残すとうい遺言をする場合にも、他の相続人の遺留分を侵害しない程度に留めることです。
他の相続人の遺留分を侵害しなければ、子供がトラブルに巻き込まれる危険性は低くなります。
仮に、「特定の子供へ多くの財産を残す」という遺言が他の相続人の遺留分を侵害していた場合には、遺言者がどうして子に多くの財産を残そうとしたのかを「付言事項」として遺言に記載することも有用であります。
遺言に遺言者の考えを明確に記載することにより、他の相続人から特定の子供への遺留分侵害額請求を行わないように説得する効果を期待できます。
付言作成例
【付言】
私の亡き後、二郎が安心して暮らしていけるように、自宅以外の財産を全て相続させることにしました。
妻花子には自宅を死因贈与しましたので、一郎は妻花子からの相続によりゆくゆくは自宅を取得することになります。
一郎は、将来、自宅を相続するので、二郎に対しては、遺留分侵害額請求を行使しないでください。一郎にも財産分けが出来ずに、申し訳ないのですが、これまでに大学までの学費等を送ってきたこともあり、このことをも酌んでください。