「配偶者に判断能力の衰えがある方」のための遺言書の書き方
「子供がいない方」のための遺言書の書き方
こんにちは、「遺言書作成・相続手続きサポート」宮城県名取市のまさる行政書士事務所 菅野勝(かんのまさる)です。
今回は、【遺言書の書き方講座 家族編 vol.5】として、『「子供がいない方」のための遺言書の書き方』をご案内します。
遺言書を作成する皆様共通のメリットは、相続開始時に面倒な遺産分割協議書が不要となり、相続手続きを円滑に進められることです。
遺言作成時に知っておきたいチェックポイントを解説します。
子供がいる場合の条文と遺言書の条項例
子供がいる場合、子は相続人になります(民法887①)。
この場合の子とは、「実子」のみならず「養子」も含まれます。
子供がいる場合には、父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
現在子供がいなくとも、これから生まれてくる子(胎児)は、相続については、既に生まれたものとみなされます(民法886①)。
したがって、胎児を相続人として遺言を残すことはできます。
条項例
第○条 遺言者は、金300万円を妻A(昭和○年○月○日生)の
胎児に相続させる。
2 胎児が死産だった場合には、前項の300万円は、妻A
に相続させる。
子供がいない場合には、父母が相続人となる
相続人となる子供がいない場合には、第二順位の相続人として父母や祖父母(直系尊属)が相続人となります(民法889①本文)。
なお、直系尊属のうち、父母と祖父母が共に存命である場合には、親等の近い親が相続人となります(民法889①だたし書)。
つまり、父母が祖父母に優先して相続人となります。
子供も父母もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となる
子供も父母(直系尊属)もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります(民法889①二)。
まとめ
このように相続人となる人の順番は、法律の条文で定まれております。
遺言書が無い場合、本人の意思とは関係なくご自身の財産が法律で定められた順番で相続人へ渡ることになってしまいます。
ご自身の意思で渡したい方へ財産を確実に遣わしたいのであれば、遺言書として意思を留めておくことが必要です。
また、子供がいない方の相続人が、父母、又は兄弟姉妹、いずれも相続人が1人であれば、さほど問題になることもないと思われますが、相続人が複数人になった場合は相続人間で揉め事になってしまわないように遺言書でご自身の意思を残されることをお勧めします。
また、子供はいないが配偶者が相続人となる方はその場合、配偶者と父母、配偶者と兄弟姉妹と、相続人の関係性が複雑になり揉め事になりかねません。
配偶者がいらっしゃる方は、特に遺言書を書かれることを強くお勧めします。
今回は、以上となります。