町の人の暮らしに根ざす法律のプロ
中邑陽一
Mybestpro Interview
町の人の暮らしに根ざす法律のプロ
中邑陽一
#chapter1
司法書士という職業の人と日常生活で関わり合いになることは、人によっては少ないかもしれません。
「けれど日常生活で時々起こる『困りごと』の際に、お役に立てることがたくさんあるんですよ」
と司法書士の中邑さんは語ります。例えば、知人に貸したお金が返ってこない、家財を壊されてしまったものの修理の話が進まない、一人で暮らす親やお婆ちゃんを悪徳業者から守りたい、など。
「また土地の名義を変更したい時や、毎月のローン返済が困難になった場合、相続のトラブル解決や未然予防なども、司法書士がサポートできます」
デリケートな問題を解決するために法律に関するさまざまな知識を必要とする仕事です。中邑さんのオフィスは、法律に関する書物が整然と並び、テーブルや棚の上は綺麗が保たれており、彼のまっすぐで細やかな仕事ぶりがうかがえます。
「実は金融機関に25年間勤めていたんですよ。その時の経験が今に役立っているかというと……、う~ん」
中邑さんはこう言ってはにかみますが、大きな責任を背負って小さな文字を見定める金融機関の仕事と、法律を読み込みミスなく書類を整える司法書士の仕事には、相通じる部分がありそうです。
「相談を受けに来られた方が『これで安心して寝られる』ってホッした表情を浮かべられる時があります。そんな時、この仕事にやりがいを感じます」
合格率3%とも言われる司法書士の資格に加えて、「簡易裁判の訴訟代理業務」認定を受けており、「成年後見センター・リーガルサポート会員」でもあります。この3本柱が、どんな困った人にどんな風に役立つのでしょう。最近相談が多いという相続トラブルについて、まずは教えてもらいました。
「よく聞かれるのが『ウチの子は兄弟仲良しだから大丈夫』や『財産と言ってもさほどないし』という意見。それでもトラブルは日々起こっているんですよね。それを目の当たりにすると『もっと前にできることがあったのに…』と思います」
#chapter2
「引き継ぐ遺産なんてないし」と思っても、両親が暮らす家の土地建物、自動車や預貯金などは大事な財産。特に土地を引き継ぐためには名義の変更(登記)が必要です。司法書士の中邑さんは登記の仕事の中で、揉め事を数多く見てきました。
「それを踏まえて『遺言にはこんな内容を盛り込んでは』ですとか、『生前贈与と比較して』などといったアドバイスができます。家族はそれぞれ違うものですので、各個人様ごとにお持ちの疑問にお答えできるかと思います」
また、年を取るにつれてだんだん心配になってくるのが財産の管理。いつの間にか認知症が進んでしまったり、病気で突然倒れたりして、正しい判断ができなくなる時がきたら……。そのために知っておくべきなのが「成年後見制度」。判断能力が不十分な人に代わって、家庭裁判所が選任した成年後見人等が、財産の管理や、介護施設への入所契約を結ぶことができる制度です。中邑さんは、全国の司法書士で構成する「公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート」の会員です。
「司法書士は法律の知識を生かして、公正な立場でご本人の財産と権利をお守りできるのでは、と思います。」
#chapter3
中邑さんが持つもう一つの業務の柱が「簡易訴訟代理など関係業務」。この認定を受けた司法書士は、簡易裁判所の裁判手続きにおいて代理人となることができ、また、トラブル相手と和解交渉をすることができます。
「例えば、払い過ぎた借金の利息を取り戻せるかもしれません。払いきれなくなったローンの返済額を見直せるかもしれません。争う2者の間に入って、法の認める範囲の中で和解のために司法書士が実際に動くことができます」
友人とのお金の貸し借り、物損の損害賠償などに関する交渉も、この認定を受けた司法書士の交渉により解決に向かうことがあります。また本人が直接交渉を行う場合も、中邑さんが調える提出書類で、円満に解決できるかもしれません。
「ただし、全てのトラブルを全て円満に解決できる訳ではないんですよ」
と中邑さんは言います。セールスポイントを並べる人が多い中で、中邑さんのこの言葉はともすればマイナスに響くかもしれません。けれど正しく誠実であり続けようとしている証の言葉ではないでしょうか。
「皆さんが思っているよりずっと、司法書士事務所の敷居は低いです。まずはお気軽にご相談いただければと思います」
(取材年月日:2013年5月)
リンクをコピーしました
Profile
町の人の暮らしに根ざす法律のプロ
中邑陽一プロ
司法書士
なかむら司法書士事務所
銀行勤務25年というお金のプロであり、法学部出身で退職後2年で司法書士試験合格という法律のプロ。これまでの経験と知識を元に、相続・遺言問題から債務問題まで幅広いトラブルをカバー。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
プロの執筆コラム
掲載専門家について
マイベストプロ三重に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または三重テレビ放送が取材しています。[→審査基準]