関西テレビに弊社のきものリメイクが紹介されました。

タンスの奥に、一度も袖を通さなくなった着物や帯が眠ったままになっていませんか?母や祖母から譲り受けた一枚、お宮参りや七五三で着せた晴れ着などは、「捨てるには忍びないけれど、もう着る機会もない」という状態。私のところには、そんなお気持ちを抱えた方が毎月のようにご相談にいらっしゃいます。
私は染織ガラス工芸家として、お預かりした着物地や帯地を、お皿や壁掛け時計、LEDライト、衝立(ついたて)といったガラス工芸品へとリメイクする仕事を続けています。きものリメイク清新として、約30年この業界に身を置いてきました。
このコラムでは、私が日々向き合っている「着物地のガラス工芸リメイク」とはどういうものなのか、なぜ古い着物がここまで美しく甦るのか、そして実際の制作工程を、職人の視点から一つひとつお話ししていきます。
目次
色あせた着物ほど、ガラスで鮮やかに甦る理由
多くの方に驚かれる点なのですが、実は少々の色やけや色あせは、ほとんど気になりません。むしろガラスに加工すると、素材そのものの色より彩度が上がり、色合いが濃く、重厚感を増して仕上がります。
私が用いているのは、友禅ガラス工芸という技法です。友禅ガラス工芸とは、着物や帯などの生地をガラスと樹脂、UVシートで挟み込んでサンドイッチ状にし、高温・高圧でプレスして一枚のガラス工芸品に仕立てる加工のことです。
この加工をすると、黒など濃い地色は彩度が増して漆のように見え、重厚感が出ます。ベージュなどの薄い色は明るく光沢感が増し、柄もクッキリと冴えて綺麗に映えます。写実的で絵画のような友禅の絵柄が、額装したかのように引き立つのです。
素材は、シルクが一番美しく仕上がりますが、綿・麻・ちりめん・化繊・紙など、ほとんどの素材で加工できます。金加工や刺繍、金糸・銀糸の唐織なども、裏を樹脂加工しますので問題ありません。
「うちの着物は古いから無理だろう」と諦めていた方こそ、一度ご相談いただきたいと思っています。
相談から納品まで、私が踏む制作の工程
「どんな流れで進むのか分からないと不安」というお声をよくいただきます。ここでは実際の工程を順を追ってご説明します。
まず、仕立て上がった着物を一旦解いて反物の状態に戻す、本解きから始めます。本解きとは、着物の縫い合わせをほどいて元の一枚の布に戻す作業のことです。この段階で汚れのある部分は使わないよう選り分けます。
次に、ご希望の柄取りに沿って型紙でイメージを取り、写真をメールやLINEでお送りして仕上がりのイメージを共有します。ガラス製品以外のリフォームの場合は、パソコン上で仕上がりをシミュレーションしてご確認いただきます。ここで概算費用と納期をお伝えし、ご承認をいただいた時点から加工を開始します。
私がこの柄取りの工程でいちばん神経を使うのが、縫い合わせの結合部分です。着物は一枚の布を直線で裁断して縫い合わせているため、つなぎ目の柄が自然に見えるよう柄を合わせること——ここに職人としてのこだわりを注いでいます。
ガラスの製作は石川県・加賀の工房で行い、その他の必要な加工を京都で仕上げてお客さまのもとへお届けします。納期はお皿類で約30日、ガラス額で約40日、衝立は約2か月半ほど。ガラス額や衝立には、専用の木製脚もこちらで製作します。贈り物にされる場合は、化粧箱・包装・熨斗を付けて対応します。
日常で使える形に——思い出を未来へ残す
私がこの仕事でいちばん大切にしているのは、思い出の着物や布が「飾るだけ」で終わらず、日常で使えるものになるという点です。直径10cmほどの豆皿から28cmの大皿、長皿やランチョンマット、壁掛け時計、大きなものでは衝立まで、暮らしの中で毎日目にし、手に取れる形にしてお返しします。
ガラスコーティングの中には透明のUVシートが挟み込まれており、これが長期間の色やけ防止になります。だからこそ文化財などの長期保存にも適しているのです。お皿には皿立てを付け、すぐ飾れる状態でお渡ししています。
お宮参りの初着や七五三の晴れ着をガラスパネル額に収めたり、祖母が愛用していた訪問着をプレートにしたりすると、お客さまからは「想い出が具現化して感激した」というお声をいただきます。
鷹や兜、松竹梅といったおめでたい図柄、留袖の吉祥文様、西陣織の繊細な刺繍——着物に描かれた華麗な世界観を、そのまま暮らしの中に持ち込んでいただけます。
制作事例は、ホームページや友禅ガラス工芸品の紹介ページ(https://www.yume-seisin.com/lp/)でご覧いただけます。
なぜ、ここまでリメイクにこだわるのか
私はもともとコンピューター業界で働いていました。父の死をきっかけに、3代続く染め物の家業を支えるため着物業界へ転身し、1995年に独立。ガラス工芸品に着手したのは2017年頃、金沢の問屋さんから着物のガラスへの活用法を聞いて、「面白い」と感じたのが始まりでした。
昔の着物や帯は、もう今では作ることができません。当時の素材や職人の技術は今よりはるかに優れており、再現が不可能だからです。後継者もおらず、職人自体が減っている今、ご家庭に眠る貴重な着物や帯を永久に残していただきたいという一心で、この仕事を続けています。
「古いから価値がない」ということは決してありません。むしろ二度と目にすることのできない、家宝とも言える存在だと私は思います。タンスに眠ったままでは誰の目にも触れず、物自体が劣化していくばかりです。買取に出しても二束三文にしかならなかった、と嘆かれる方を私は何人も見てきました。それならば一度、ガラス工芸品として未来へ残す道を考えてみていただきたいのです。
この技法は、全国を探しても私どもにしかない唯一無二のものです。きものリメイク清新では、関西テレビの特集で「驚きのきものリメイク」として紹介されました。着物のお手入れやたんすの活用法についてはホームページ(https://rimeiku-seisin.com/)でも詳しくご紹介しています。
まとめ
古い着物は、価値がなくなったのではなく、まだ姿を変えて生き続けられる。私はそう信じて、一枚一枚と向き合っています。芸術的な美しさを備えた着物を、ぜひ子々孫々へと伝えていきましょう。
・形見や思い出の着物を、捨てずに残したい
・タンスに眠る着物/帯の活用法に悩んでいる
・お子さまの晴れ着を、暮らしの中で飾れる形にしたい
着物地のガラス工芸リメイクのご相談は、夢工房 清新(きものリメイク清新)まで。まずはお気軽にご相談ください。
これからの新しい「友禅ガラス」の方向性
北陸地方、とりわけ石川県には、加賀百万石の伝統を受け継ぐ数多くの産地があり、本物の伝統工芸品が今日まで大切に守り伝えられています。
なかでも、加賀友禅、輪島塗、山中漆器、九谷焼、金沢箔などは、石川県を代表する伝統工芸として広く知られています。
一方で、加賀には古くから「加賀びいどろ」と呼ばれるガラス工芸の歴史があることは、意外にもあまり知られていません。その伝統は現代の「加賀ガラス」へと受け継がれ、近年では金沢箔を取り入れた作品や、九谷焼・漆芸との融合による新たな工芸表現も生まれています。
そのような背景のもと、私どもは様々なガラス工芸の中でも、「友禅ガラス」という新しい名称と価値を提唱いたします。
「友禅ガラス」とは、その名のとおり、加賀友禅の繊細で華麗な美しさと、ガラスが持つ透明感や光の表現力を融合させた新しい工芸品です。伝統技法である手描き友禅の意匠がガラスを通して新たな命を吹き込まれ、これまでにない美の世界を創り出します。
さらに、LEDなどの光と組み合わせることで、友禅模様は一層鮮やかに浮かび上がり、オーロラのような幻想的な輝きや、ステンドグラスにも通じる華やかな光彩を空間に映し出します。その美しさは、単なる装飾品の枠を超え、人々の心を癒し、感動を与える新しいインテリアアートとしての可能性を秘めています。
友禅ガラスは、加賀友禅という伝統文化を未来へ継承するとともに、ガラス工芸との融合によって新たな価値を創造するものです。伝統と革新が響き合う新しい加賀の工芸として、国内はもとより世界へ向けて発信していきたいと考えています。
【実際の事例】北陸新幹線金沢駅構内のトイレ入り口
男性側 「兼六園の花鳥風月」加賀友禅作家 百貫華峰作
女性側 「アケビ」加賀友禅作家 毎田健治作



